互いのおやすみの袖をくぐり抜けて
眠ってしまう夜
カーテンのからくもころも
しずかにみだれていく
パラフィン
セロファン
今日一日の気持ちの彩りを
春のように乗せ
舟の波が立つ
すぐそばに眠るひとを遠ざかる
浅い余韻のさらさらと
白いフリルは長いこと岸辺に打ち寄せる
さあ思いふりきり前へ前へ
過去が紡ぎだす未来へ
昏い海原をめくりめくりゆく
さあゆめみよゆめみよ
風景の鏡に無数の感情の思い出が宿る
たましいの万華鏡へ入っていこう
灯籠のゆらめく
渡り廊下を歩いていく
歩いているのは足なのか
細長い床板がずれながら
どこまでも続いている
見知ったひとびとが
枝を越え
幻灯のように
いれかわりたちかわり
あらわれて去る
ここへは幾度も来たことがある
旅館、学校、友人の家
(地下には深いプールがある)
どこであろうとここはここで
闇と虹がトンネルの先で結ばれている
ちぐはぐな断片ばかりの出来事が
キルトのようにつながって
ひとつに染まる
切実で甘く懐かしくてかなしいグレー
映画の中の
謎めいた路地へ迷い込むヒロインの
粉々に砕けたガラスを踏むヒール
この世のものではない心地
その心地がそのまま天穹である世界
黄金色からバラ色に移り変わる空
地上のスズメが見え始め
さえずりが聞える
顔を隠している
ひじをくるりと回して
あなたが寝返りを打った
となりで起きあがるわたしの気配が
あなたの夢にどんな余波を送っただろう
それはもうはるかこの世のものではない因果
薄衣のような朝の
ひんやりした空気が部屋を滲ませている
おはよう
重力がもどってきて
ぽっかり明けた地球に
くちの形だけで放りこむことば
眠ってしまう夜
カーテンのからくもころも
しずかにみだれていく
パラフィン
セロファン
今日一日の気持ちの彩りを
春のように乗せ
舟の波が立つ
すぐそばに眠るひとを遠ざかる
浅い余韻のさらさらと
白いフリルは長いこと岸辺に打ち寄せる
さあ思いふりきり前へ前へ
過去が紡ぎだす未来へ
昏い海原をめくりめくりゆく
さあゆめみよゆめみよ
風景の鏡に無数の感情の思い出が宿る
たましいの万華鏡へ入っていこう
灯籠のゆらめく
渡り廊下を歩いていく
歩いているのは足なのか
細長い床板がずれながら
どこまでも続いている
見知ったひとびとが
枝を越え
幻灯のように
いれかわりたちかわり
あらわれて去る
ここへは幾度も来たことがある
旅館、学校、友人の家
(地下には深いプールがある)
どこであろうとここはここで
闇と虹がトンネルの先で結ばれている
ちぐはぐな断片ばかりの出来事が
キルトのようにつながって
ひとつに染まる
切実で甘く懐かしくてかなしいグレー
映画の中の
謎めいた路地へ迷い込むヒロインの
粉々に砕けたガラスを踏むヒール
この世のものではない心地
その心地がそのまま天穹である世界
黄金色からバラ色に移り変わる空
地上のスズメが見え始め
さえずりが聞える
顔を隠している
ひじをくるりと回して
あなたが寝返りを打った
となりで起きあがるわたしの気配が
あなたの夢にどんな余波を送っただろう
それはもうはるかこの世のものではない因果
薄衣のような朝の
ひんやりした空気が部屋を滲ませている
おはよう
重力がもどってきて
ぽっかり明けた地球に
くちの形だけで放りこむことば