春
2016年04月12日 | 詩
一生懸命願ったわけでもないのに
ふたを開けた色えんぴつの箱の中のように
あちらこちら
とりどりの花が咲いている
大抵のことは上手に願うことさえ難しいのに
季節の花束は毎年必ず届けられる
わたしが忘れてしまっていても
道の先からやってきた
ぬくんだ風に包まれると
レンズの厚みのように
あたりが二重になる
ずれた縁に手をかけると
同じ驚きが見える
この風が来た道は過去の方角
一瞬の空気の中で
わたしふわっと浮きあがり
まとっていた形容詞
剥がれ落ちていく
想像の翼の広さ分の
大きさを思い描きながら
わたしのいる場所の小ささに安らって
路地やピンク象の公園で
夕焼けチャイムまで遊んでいた頃のように
雲の厚みをすり抜けて
鈍くふくらむ陽の光を横切って
薄く淡い花びらが踊っている
うれしそうに
さみしそうに
ふたを開けた色えんぴつの箱の中のように
あちらこちら
とりどりの花が咲いている
大抵のことは上手に願うことさえ難しいのに
季節の花束は毎年必ず届けられる
わたしが忘れてしまっていても
道の先からやってきた
ぬくんだ風に包まれると
レンズの厚みのように
あたりが二重になる
ずれた縁に手をかけると
同じ驚きが見える
この風が来た道は過去の方角
一瞬の空気の中で
わたしふわっと浮きあがり
まとっていた形容詞
剥がれ落ちていく
想像の翼の広さ分の
大きさを思い描きながら
わたしのいる場所の小ささに安らって
路地やピンク象の公園で
夕焼けチャイムまで遊んでいた頃のように
雲の厚みをすり抜けて
鈍くふくらむ陽の光を横切って
薄く淡い花びらが踊っている
うれしそうに
さみしそうに