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ビジネスモデル変革のうねり

2015年05月22日 12時01分57秒 | 学習支援・研究
産業界で起きているビジネスモデル変革のうねり―
―第2回:成功事例に学ぶレベニューイノベーション

作成者:柳浦 健一郎、
投稿日:2015年3月26日
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276185_l_srgb_s_glこんにちは、SAPジャパンの柳浦です。
産業界で起きているビジネスモデル変革を整理し、
レベニューイノベーション(売上構造変革)に迫る本連載。
第2回では、レベニューイノベーションの成功事例を取り上げながら、
この潮流について考えてみたいと思います。


写真:イメージ

MPS市場でリーダーのポジションを獲得したLEXMARK
ケンタッキー州に本社を置くLEXMARK(レックスマーク)は、
売上高37億ドル、従業員約1万2,000人のプリンターベンダーです。
1991年にIBMのプリンター部門からスピンアウトする形で誕生した同社ですが、
設立当初はプリンターのハードウェア販売、
ソフトウェアなどのオプション製品の販売、
その他プリンターインクや用紙などの消耗品販売、
アフターメンテナンスといった、
一般的なプリンターベンダーのビジネスモデルを踏襲していました。
ところが、2007年あたりから現状のビジネスモデルに危機感をいだき、
従量課金型ビジネスへの変革に取り組み、
さらには印刷に関するあらゆるニーズに包括的に応える
マネージドプリンティングサービス(MPS)を提供するなど、
ビジネスの軸足をサービスへと移しました。

ビジネスモデルの変革に合わせて現状のビジネスを精査した同社は、
2007年にそれまで行ってきたコンシューマー向けの
インクジェットプリンター事業を売却、
さらに2012年8月には法人向けのインクジェットプリンター事業からも撤退し、
日本の船井電機に関連する技術と多くの資産を売却するなど、
ビジネスの選択と集中にも積極的に取り組みました。
現在では、従来型のプリンタービジネスを手がけながら、
従量課金ビジネスやMPSビジネスを拡大しています。

MPSビジネスは、プリンター機器や
ソフトウェア、サービスを組み合わせて顧客の全社的な印刷効率を最適化し、
コスト削減を促すことを目的としたコンサルティングサービスです。

たとえば、オフィスのフロアで何人の従業員が働き、
何台のプリンターがどのように設置され、
どのプリンターの稼動率が高いかといったデータ分析を通じて、
フロアに設置するプリンターの台数や設置場所の最適化を
顧客にアドバイスしています。
また、印刷に関するワークフロー全体を見直し、
どのようにデジタル化すれば印刷コストの削減につながるか、
オフィスの外部から印刷するニーズが寄せられた際には
どのようなアプリケーションを用いて、
どのような認証プロセスを踏めば安全に印刷できるかなど、
ドキュメント印刷に関わるすべてをコンサルティングしながら、
顧客のコスト削減や業務効率向上に貢献してきました。
それが結果的に顧客満足度向上につながり、
包括契約による顧客と深い関係性構築を実現することで
LEXMARKに長期の安定収入がもたらされることになるわけです。

売上高37億ドルという業界では決して大きくはないLEXMARKが、
ゼロックス、HP、キヤノンなど
巨大なプリンターベンダーを抑えて、
MPSの市場でリーダーのポジショニングを獲得した理由は、
「いち早く」ビジネスモデルの変革を進めたこと、
そして「ビジネスの選択と集中」による
サービスレベルの最大化を実現したことにある、といえるでしょう。

ビジネス変革を支えるSAPのソフトウェア
LEXMARKのようなビジネス変革を実現するうえで、
デジタルトランスフォーメーションも欠かすことができません。
つまり、機器やソフトウェア、サービスをITでつなぎ、
一気に移行スピードを速めたわけです。
印刷した枚数を正確にカウントし、
それに応じて課金して請求書を発行するといった一連のプロセスでは、
バックグランドのITが重要な役割を担っています。
従来はこれらを実現するシステムを
すべて手組みで開発するしかありませんでしたが、
SAPでは課金型ビジネスに合わせて、統合課金、
請求、債権回収のコンポーネントで構成された
SAP Billing and Revenue Innovation Management(SAP BRIM)と呼ぶ
ソリューションを用意しています。

SAP BRIMは、通信業界で電話料金の徴収用などに採用されてきた
実績のあるソリューションで、高度な
エンジンを活用して効率的に課金計算し、
請求処理まで一連の流れを実行します。LEXMARKは、
従量課金ビジネスへとシフトチェンジするにあたり、
SAP BRIMをコーディングすることなくそのまま導入することで
クイックにスタートを切ることに成功しました。

サービスビジネスを支えるSAPのソフトウェアについては、以下を参照ください。
製造業の「モノ」から「コト」への事業変革。サービス事業の強化の流れ:その⑤ SAP機能(課金/組み立て/社内ソーシャル
http://www.sapjp.com/blog/archives/8032
製造業の「モノ」から「コト」への事業変革。サービス事業の強化の流れ:その⑥ SAP機能(顧客管理/調達/利益分析)
http://www.sapjp.com/blog/archives/8464
IoT(Internet of Things)により加速するレベニューイノベーション

従量課金ビジネスを中心としたレベニューイノベーションは、
製造業やIT業界などあらゆる産業で始まっています。
ここでは、LEXMARK以外でもビジネスモデルを変革して
成功を収めている企業を簡単に紹介しておきましょう。

ドイツに本社を置くコンプレッサー専業メーカーの
ケーザー・コンプレッサーでは、
生産設備で活用される圧縮空気を作り出す
コンプレッサーを製造事業者などの顧客に販売し、
その運用、保守、アフターサービスを提供する
モデルでビジネスを展開してきました。
しかし同社は大手企業ひしめく市場で優位に立つため、
コンプレッサーを売るのではなく、
圧縮された空気そのものを顧客に提供し、
使った分だけ料金を払うモデルにビジネスを変革させ、
シェアを伸ばしています。
詳細は以下の記事で紹介しています。

参考記事 :“空気を使った分だけ払う”
サービスへビジネスモデルを変革させたケーザー・コンプレッサー


その他にも、航空機エンジンをはじめとして
幅広い分野でビジネスを行っている大手メーカーのGEでは、
エンジンそのものを売るのではなく、
飛行機が飛んだ時間(パフォーマンス)に合わせて課金する
サービスを新たなビジネスモデルを採用しています。
IT業界においても、クラウドビジネスにおいて
初期費用をおさえて低価格で提供し、
利用したリソースの分だけ料金を支払う
従量課金体系が浸透しつつあり、
2015年はさらに多くの業界で
同様の動きが出てくることが見込まれます。

執筆中にも続々と
新たなサービスモデルに関連する記事が
報道されてます。

GEA、乳業、飲料、醸造、食品、医薬、化学などの
業界向けに製造プラント及びエンジニアリングを提供するGEAの予測保守サービス
http://www.sapjp.com/blog/archives/11190
シーメンス、産業機器業界向けの新たなサービスhttp://www.siemens.com/press/en/pressrelease/?press=/en/pressrelease/2015/digitalfactory/pr2015030152dfen.htm&content[]=DF

こうした流れが加速する背景には、
IT技術の進化が隠れていることも見逃せません。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)と呼ばれるように、
従来のパソコンやモバイルデバイスだけでなく、
身の回りの機器などに埋め込まれたセンサーが
インターネットにつながる技術が急速に普及しています。
その結果、プリンター、コンプレッサー、
航空機のエンジンなど、ありとあらゆるデバイスの稼動状況を把握して、
新たな付加価値を顧客に提供することが可能になりました。
このようにIT技術の進化は、それまで
初期コストの高さがネックで市場への浸透が難しかった
機器や製品にパラダイムシフトをもたらしました。
そして今まさにレベニューイノベーションの時代
到来したといえます。

次回の最終回では、IoTやテクノロジーの進化が
製造業のビジネスをどう変えていくのか。
その未来を予測してみようと思います。

http://www.sapjp.com/blog/archives/10817より

企業の人材育成

2015年05月22日 00時16分32秒 | キャリア支援
「OJTこそ人を育てる」は、日本企業の盲点だ
成功し、選ばれる人材になるための3つの方法

東洋経済オンライン
2015年5月6日(水)06:00


(写真:stuartjenner / PIXTA)

日経平均株価が15年ぶりに2万円の大台を回復したのに象徴されるように、
日本企業の勢いが増してきています。
国際的に活躍する企業は攻めの経営を鮮明に、
つまりグローバル成長戦略の実行に向けてシフトアップしてきています。

しかし、ここで企業は大きな問題に直面しています。
事業の成長を担う人材が圧倒的に足りないのです。
海外拠点の幹部、M&A先の企業に送り込める人材、
多くの部門や提携先など複雑な利害がからむプロジェクトの推進者、
国内の営業部門の構造改革をする参謀人材などなど、
成長戦略にとって必要な人材が足りません。

実はここに日本企業の落とし穴があったのだと思います。
それは「人材は職場で上司が育てるもの」
「OJTこそ人材育成」という思想です。

OJT中心の人材育成は時代遅れに
この思想は、日本が市場として成長し、さらに海外へは
高品質の製品を輸出して成功を収めてきた時代にできた思想であり、
確かに日本企業の強さを象徴するものでした。
しかし、現在は生産拠点を海外に移すだけではもはや難しく、
事業のサプライチェーン全体を新興国中心の成長市場に移していかなければなりません。
つまり世界中のあらゆるところで
「事業経営」をしなければならない時代です。

自前の経営資源だけでは各国の市場拡大と
競争相手のスピードに追いつけないと悟った日本企業は、
相次いで海外企業の買収に動きました。
その結果、連結での財務的成長はできましたが、
それは外国人が外国で稼ぎ、
そのお金をさらに成長する海外に投資する
というサイクルが回り始めただけともいえます。

会社はどんどん成長しているわけですが、
日本を中心に働く日本人がそれに合わせて
豊かになるわけではありません。社員にとって、
「会社は成長しているが、自分が活躍できるフィールドが
広がる気がしない。いつかチャンスが巡ってくるという実感がない」
というのが素直な感覚ではないでしょうか。

今、企業の人事部は、必死になって社内からタレント人材、
将来のリーダーとなるべき人材を発掘しようとしています。
例えば売上高4兆円超、従業員数10万人超のある電気機器メーカーでは、
重要ポストを担う候補人材を早く見出し、
育成する「ファスト(速い)トラック」を構築中です。
リストアップされた数十人のメンバー年齢は、
最年少は20代後半、最年長が40歳でした。

「優秀であるがゆえにかえって異動しづらく、
同じ部門で永らく『塩漬け』状態になっている人材はいないか?」
「職場のしがらみで身動きが取れなくなっている人材はいないか?」
を必死になって探しています。

ファストトラックでリーダーを探すだけではなく、
ある領域の専門家、スペシャリスト人材を発掘したり、
キャリア形成の面で先が見えない、という社員に対して、
会社は上司とメンバー間で通常行われる目標、評価の面談だけではなく、
「キャリア面談」制度を導入したり、
キャリアカウンセリング室を新設したりする動きが活発です。

キャリアは人材がつくってきた総面積
キャリアという言葉は、ポストや職種のように誤解されがちですが、
そもそも、経験、実績、能力、社内外の人脈、将来への希望、
仕事や人間関係面での価値観など、その人材が作ってきたもの全体の総面積です。
こうした本質的な意味でのキャリアを作っていくとなれば、
自分が経てきた道を定期的に棚卸しして見える化したり、
上司や同僚、先輩と対話することが必要になります。

欧米系のグローバル大企業はほぼ100%、
「タレントマネジメントシステム」という人材発掘の仕組みを持っています。
その人の「職歴」「教育履歴」「資格」「志向」「保有スキル」などを
ITシステムで一元管理されていて、
社員本人にとっては希望する職種やポストに対して、
自分はどんなスキルが
不足しているかが見える状態になっています。

会社側は、今後必要となるポストの担当者や後継者になりうる「スキル」
「志向」「経験」を持った人材を素早く、
しかも地域や部門を超えて探しだすことが
できるようになっているのです。もはや、
「AさんはB部長に気に入られている」といった
つかみどころのない話ではなくなるのです。
このような流れ、つまり人材を会社の「資産」として
「見える化」する動きは間違いなく
これからの人事の主流になっていきます。

そんな中で、私達ひとり一人も意識すべきポイントが3つあります。

1.自分のキャリア・アスピレーションを熱く示す
まず、自分のキャリア・アスピレーションを確立し、
適切な機会をとらえて上司やその上の上司に伝えることです。
アスピレーション(aspiration)という言葉は、
熱望という意味です。単なる異動希望ではなく、
自身のやりがいと事業や組織への貢献の方向性を示すのです。

これまでの日本企業では、異動は
会社の都合、業務の割り当ては職場の都合、
という傾向が強かったため、
アスピレーションを表明することに気後れしているかもしれませんが、
これからは強くアスピレーションを表明していないと、
チャンスを得ることはできません。

普段から自分の経験や実績、周囲にも伝わるように整理して伝えること。
面談では、自分の長期、短期両方のキャリア目標を
熱く語るべきです。そうした姿勢は
必ず周囲に伝わり、目に留まります。

2.「研修」の中で目立つ
「研修」は会社にとって人材発掘の場でもあります。
そのことを意識していない人がとても多いように感じます。
考えてみれば、普段は違う仕事をしている人が一堂に会している貴重な場です。
会社にとっては人材を一気に観察できる
数少ない場でもあるのです。

それなのに「この忙しい時に研修に呼ばれて迷惑だ」
というような空気を出している人は、
大変勿体ないことをしています。
研修の場で目立つことは何も悪いことではなく、
個人サイドからのアピール方法として実は大変強力なのです。

研修の中でいい意味で目立つポイントは、
「とにかく発言すること」「目に力を込めること」
「正論を語ること」「理想を語ること」です。
職場のしがらみや嘆き節は飲み会だけにしておきましょう。

こんな人材は必ず講師の目にとまります。
特に外部から招聘された講師はその人と初対面です。
初対面の相手にインパクトを与える事、
これはこれからのビジネスパーソンとしての
必須スキルなのですから、臆することなく、
そういう態度をもって参加すべきです。

3.社内にサード・プレイスをもつ
サード・プレイス(第3の場所)とは、
スターバックスコーヒーのビジネスコンセプトです。
第1の場所は「家」、第2の場所が「職場」。
スターバックスは第3の場所というわけです。
そう聞くと、NPOへの参加や地域ボランティア、
趣味の集まりなど、サード・プレイスをもっている人はたくさんいますが、
できればサード・プレイスを社内にも持つべきです。

世界で最もグローバルリーダーを輩出しているといわれるGEでは、
リーダーを見極める際に、本業以外に
もう一つ本業とは全く異質な社内プロジェクトに参画させるそうです。

リーダーは変化に柔軟で多様性を活かせる人でなければ務まらない、
そんな能力は本業以外の組織やチームに貢献するという機会によって
開発される、という考え方です。
自分の得にはならないことでも、自身の成長、
関わる人へ貢献しようとする姿勢を見ているのです。
個人にとってもそういう奉仕精神を磨くには絶好の機会です。

自社の中にサード・プレイスたる場所はきっとあるはずですから、
ぜひ探して入ってみることをお薦めします。
社内で普段遠い位置にいる人たちの中に形成されたその人の印象は、
意外とチャンスに直結するものです。

「成功する人」は、煙たがられるほどうるさい
売上高3000億円超、従業員数約2万人のある電気機器メーカーで
海外人事畑が長く、これまで数百人の日本人の海外異動を手掛けてきた方に、
「海外で成功する人と失敗する人の差は何か?」と尋ねたところ、
「成功する人に共通しているのは、多弁で、自分の意見を言う人。
職場でどちらかというとうるさがられていたり、
煙たがられていたりする人。失敗する人は
生真面目でイエスマン」と教えてくれました。

これからはあらゆるビジネスがプロの世界になります。
プロはアピールしてチャンスを得るのです。
今、人事は過去にないほど真剣にアピールする人材を探しているのです。

http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/bizskills/toyokeizai-68672.htmlより