goo blog サービス終了のお知らせ 

気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

風 4

2020-04-15 22:44:00 | ストーリー
風 4






あっという間に三週間が過ぎ
その間 何度か西田さんとデートをした

一緒に買い物したりドライブしたりサーフィンしたり… イチャイチャを求めてきたり… とか

女の子と毎日電話をかけるなんて初めてで、それがいつの間にか習慣になっていた

彼女の積極的なアプローチに始めは戸惑ってたけど俺も彼女に気持ちが傾いてるのを実感していた

たったの三週間でこんなにも気持ちが深まるもんなんだな


仕事中も今 西田さん何してるんだろうって想うようになった

綺麗で可愛いだけじゃなくて ちょっとわがままで強引だけどそれも嫌な強引さじゃない

上手に甘えられて結局俺は従うような流れで彼女の手の上で転がされてるような関係だけどそれも悪くないと思えてしまう

本能的というか天真爛漫で自由奔放なところが彼女の魅力

それとエッチとかイチャイチャするのが好きで素直に俺を求めてくれるのが可愛くて嬉しかったりする

自分がして欲しいことを素直に伝えてくれるからどんな事が好きなのか どんな風にしてもらいたいのかもわかってきたし男の本能でそれに応えようと燃えるっ


あと一週間で約束の1ヶ月が終わる
でも俺はその後も付き合いは続けたいと思っていた


『颯真くんに会いたいなぁ~♡ 明後日私仕事がお休みだから行ってもいい?』

「うん、いいよ(笑)」

『じゃあ晩ご飯作るね!何食べたい?♡』

そんな感じで30分 毎日電話で話をした



ーーー



俺の部屋で飯を食いながら西田さんはちょっと寂しそうな顔をした

「あと5日で1ヶ月だね。」

「そうだね。」

「決めてくれた?」

「ん。決めたよ。」

チラッと俺の顔を見て何も言わずまた食べだした

時々窓から湿度の高い風が吹きこんできてカーテンが揺れる

テレビの画面にはバラエティー番組が流れていて俺は音を小さくした

「答え、聞きたい?」

「うーん… どうしようかな…」
困ったように微笑んだ

「じゃあ5日後に言うよ(笑)」

「わかった… 」
答えを聞くことを恐がってるのか? 可愛いな(笑)

「西田さんはほんとに料理上手いね(笑) それに綺麗だし… なんで俺なの。」

「タイプだったし優しいし… 今はいろんな所が… 好き…かな」

俺の顔も見ず少し顔を赤らめているように見える
出会った頃よりも、付き合い始めた頃よりも、最近の反応の方が可愛い

「なんでそんなに可愛い反応するようになった?」

急に真っ赤な顔になった
「可愛い反応って、なに!?」

彼女の首筋に汗が滲んでいた
「言葉通りなんだけど(笑) なんか蒸し暑いよな。クーラー点けるよ。」

「ん(笑)」


雨でも降りそうな湿度になってきて窓を閉めてクーラーを点けた


「今夜… 泊まってくだろ?」

彼女は表情を曇らせた
「その前に颯真くんに話さなきゃならないことがある… 」

「え?」

静かな口調で
とつとつと話し始めた



ーーー



それは俺もまだ彼女と知り合ってもいない二年前の西田さんの行野さんの話だった

二年前の西田さんはグラビアアイドルから舞台女優に切り替えた時

その頃 同じく舞台女優を目指していた行野さんと知り合ったようだ

当時の二人は直ぐに気心の知れた仲になった
お互い夢に向かって一緒に稽古練習をしたりと良好な仲だったようだ


その二人の仲がある事で亀裂が入った

ほんの小さな脇役だったがそこに空席ができ二人の内から決めるという事になった


ーー 結果その役は 行野さんが選ばれた

それを妬んだ西田さんは行野さんの大事なものを奪ってしまった

それは
当時 行野さんが結婚を約束していた恋人の男性

それでも 行野さんは西田さんを許したのは行野さんがその事を誰かに漏らしたせいで西田さんが芸能の世界に居づらくなり辞める結果になってしまったからだと告白した

お互い腹にいちもつを抱えてまだ友人関係を続けているのは

友人関係を保つ事でお互いの闇部分を漏らされたくない牽制とか打算があったのかもしれない

そうだとしても 何故まだ二人に繋がりがあるのか俺にはどうしても理解できない


それに なんでそんなことを俺に告白したんだと問うと 彼女は行野さんとも繋がっている俺にいずれ耳に入るかもしれないからと言った…


そうじゃないんじゃないか?

俺を行野さんに取られるかもしれない
それならいっそ自分から打ち明けてしまおうと思ったんじゃないのか?

今は混乱と懐疑的な思いで冷静に彼女に向き合えそうもない



「… ごめん 今夜はもう、、帰ってくれないか」

西田さんは今にもこぼれ落ちそうなほど涙を溜めた瞳で俺を見つめてゆっくり立ち上がり部屋を出ていった


… 人間不信になりそうだ

それは彼女にだけじゃなく行野さんにもだ
行野さんは一見 純粋で健気にも見えるほど人の良さそうな子

一生懸命自分の夢に向かっていて その夢を応援したくなるような子だったんだ

そういうのも行野さんのほんの一面だったってことだよな

男や配役を取った取られたとか嫉妬や告げ口?みたいなドロドロしたことになってたとか…

なんか もう全部が意外すぎて想像もつかなくて信じられない

ほんと訳わかんねぇ…


パタパタと雨が窓に打ちつける音が聞こえてきた

… 西田さん
傘 持って来てなかったな


俺は傘を持って彼女を追いかけた

雨に濡れ
泣きながら歩いている彼女に傘を差し出した


「… この傘 持っていっていいから… 」

「颯真くん… やっぱり優しいね」


雨に濡れて冷たくなった手が俺の手に一瞬触れた
俺の手から傘を受け取り彼女はまた歩きだした

ずっと天真爛漫で太陽のような彼女の後ろ姿がとても小さく見えた

このまま 彼女を帰してもいいんだろうか

迷っている内に彼女の姿はとうとう見えなくなった






ーーーーーーーーーーー

予兆の頭痛

2020-04-11 20:29:26 | 日記

3、4日前からずっと鈍い頭の痛みが止まらない(鎮痛薬は全く効かない)

地震が起きる直前から落ち着くまで続くこの頭痛は毎回のことです。

横になると少しマシになるので久しぶりのお休みの今日はダラダラと横になっていました~

まだ頭痛が治まらないのまた揺れると思います

どうかお気をつけください。



風 3

2020-04-10 20:33:00 | ストーリー
風 3






行野さんがあの合コンに参加していた色白男と付き合ってるって聞いた

あの色白男
合コンの時 “自分だけは違う”って空気出して俺らのことを見下してた

行野さん なんであんな奴と付き合ってんだ

そりゃ 誰が誰と付き合っても俺には関係ないけど
あの男はダメだろ!

… って
指摘する程 俺と行野さんは親しいわけじゃないからな


西田さんからLINEが来た
“颯真くん、まことちゃんと4人で遊びに行こうよ”
4人?

“4人って?”

“吉川くんだよ”

吉川… あっ!あの色白男か!

“気乗りしないな。”

“なんで?吉川くん嫌い?”

この人はストレートに聞いてくるな… (苦笑)
“向こうも嫌だろうし”

“吉川くんは颯真くんに会いたいみたいだよ?”

はぁ!? なんでよ!!

“だから行こうよ!ね!!”

西田さんはほんとに強引だ
結局俺が折れる流れがいつの間にかできてしまってる

その4人が会う当日
気乗りしないまま集合場所に到着した

行野さん一人が先に到着していた

会うのはあの合コン以来
二人だけなのは初めて

何となく気恥ずかしくて
早く西田さんが来ないかとソワソワした

行野さんは俺と西田さんはデートしてるのかと聞いてきた

デートらしいことなんてしていない
ただ、サーフィンをして飯食って、たまにLINEしてまた飯を食いに行った程度だ

だから2回だけだ

行野さんは少し驚いた表情をした
二人は付き合っていないのかと聞かれ 付き合ってないと答えると 困った顔をした

結局 何故行野さんが困った表情になったのかわからないまま西田さんが到着した


あのいけすかない吉川ってヤツだけが遅れて来やがった

遅刻したにも関わらず
悪びれる様子もなく仕切り始めた

やっぱ俺、コイツはアカンわ!

どこに行くのかと思いきや東京ディズニーランドだった

思いっきり千葉やん!!
てっきり遠出でもすんのかと思ったぞ!!

半ば呆れ気味で いけすかん吉川についていった

思いっきり地元のディズニーランド程度のことで偉そうに仕切りたがる吉川を俺は心の底から嫌いになれそうだわ

しかも やたらと行野さんと話してるし!

… そっか
付き合ってるなら 当然か…

なんか来るんじゃなかった
二人が良い仲なのを認めざるを得ないだろ

なんでこんな奴と付き合ってるんだ
ほんっと わかんねぇ!

「颯真くん?」
西田さんが俺の顔を覗きこんできた

「えっ、な、なに?」

「やっぱり無理に誘っちゃったから嫌だった?」

「いや、、」
その会話に行野さんが俺の顔を見た

「そう… だったの?」
申し訳なさそうな表情をして

俺はそんなことないと笑顔を作った

ディズニーランドで 行野さんと吉川は二人は乗り物に乗って 一緒にアイス食って 本当に仲良さそうに見える

ほとんど何も知らないのに
話もまともにしてないのに

行野さんが気になって目が追ってしまう

ふと あのアパートで出会った女の子と既婚者の男のことを思い出した

あの頃と同じ胸の痛み
こういうのって
切ないって言うんだろうな

俺 行野さんのこと
好きなのかな



ふいに西田さんから腕を引っ張られ驚いた
「私達はあっちに行こう♪」

「えっ、あ、あぁ、、」
行野さんが俺達に軽く手を振った

「私とだと つまんない?」

「いや、そんなことない、よ、」

「好きでも嫌いでもないんでしょ(笑)」

図星を突かれた
本当に嫌いじゃないけど好きでもない
好意的に想われることは嬉しいけど

本当にそれだけだった

「… ごめん」

「だよねぇ~ もっと興味持って知って欲しいんだけどなぁ(笑) ふふっ(笑)」

行野さんと吉川がふと浮かんだ
「付き合いだしてから好きなる事ってあるのかな… 」
「あるよ!相手のことをもっと知って好きになるって事だってあるよ!」

「… そうなんだ。」

「だから、だから、、私と付き合わない?」

え?

「西田さんなら俺みたいなのより格好良いやつと付き合えるよ。俺なんてほんとどこにでもいるような男だし。」

「そんなことないよ。颯真くん格好良いし優しいし男らしいよ? 短い期間でもいいの。もっと颯真くんに私のこと知って欲しい。」

訴えるような目で俺を見上げながら
腕を俺の腕に絡ませてきた

西田さんの胸の感触が腕に伝わって
男の本能がグラグラ揺れた

「あっ、いや、ほんと、それは、」
腕をほどこうとしたら西田さんは余計に力をこめた

「じゃあ1ヶ月だけでもいい。」

どうして俺…?

それにグラビアやってたぐらい綺麗でスタイルも良くて性格だって悪くない西田さんがこんな俺なんかにそんなプライドもないようなこと言うんだ


1ヶ月…

結局
西田さんに根負けして1ヶ月間付き合うことになった

やっぱり俺は最後は西田さんのペースに巻き込まれてるな…

東京ディズニーランドを出る頃
空はもう真っ暗になっていて俺以外の三人は満足そうに会話をしていた


「あのね、私、颯真くんと付き合うことになった♡」

えぇっ!!なんでここで言う!?
咄嗟に行野さんの顔を見た

行野さんは戸惑ったような複雑な表情をしていた

吉川が驚いた口調で
「あれ?二人まだ付き合ってなかったの!?てっきり付き合ってるのかと思ってたよ!(笑)」と大袈裟に驚いた

行野さんは吉川のその大袈裟な口調に苦笑いした

「じゃあここで解散ね(笑)」
舞浜駅から俺と西田さん 行野さんと吉川で別れて解散した

まさか行野さんの前で公表するなんて

でも…
短い間だけど付き合うって決めたことは本当だし仕方ない

西田さんがこれからどうする?と聞いてきた

4人で晩飯食いに行けば良かったんじゃないの?と言うと 二人きりがいいの!と嬉しそうに笑いかけてきた


「たったの1ヶ月しかないんだもの。時間がもったいから。ねえ?飲みに行こうよ(笑)」

俺の腕にまた腕を絡ませ俺は引っ張られるように電車に乗った

俺の自宅の方向とは真逆の方向に電車は走っていく

どこに行くのかと聞いたら西田さんの住んでいる町の駅前に沢山 飲食店があるからそこに行こうと言った

まぁ 西田さんが帰りやすい場所の方がいいもんな

女子が好きそうな洒落た居酒屋に入ったらタイミングよく小さな個室に空きが出てそこに座ることができた

4人以上は座れない程度の個室の広さ
この位の狭い空間 俺は案外落ち着く

西田さんはチューハイを頼んで俺はやっぱりビール
乾杯して料理が届く頃にはもうチューハイを空けるほど早いペースで飲んでいた

大丈夫かと聞くと全然大丈夫!と微笑んだ顔は明らかに赤い

結局 西田さんはチューハイを5杯も飲んだ
嬉しいからだよっ♡と酔って潤んだ瞳で見つめてきた

俺はビールを7杯飲んだ
けど元々酒には強い俺はそんなに酔ってなくて

彼女を部屋の前までタクシーで送り届けることにした

マンションの前に着いて一緒に降り
「じゃ、俺帰るから。」
待たせておいたタクシーに乗り込もうとしたら西田さんに引き留められた

少し呂律の回らない状態でタクシーの運転手に西田さんは金を渡した
「これで足りますよね? もうここでいいですから、、」

そう言ってタクシーを帰してしまった

「なんで?」

駅まで遠くはないから歩いて行ける距離だけど
西田さんのやることは全てが強引でよくわからないところがあって戸惑う

「送ってくれるんでしょぉ?」
目の前のマンションを指差した

「部屋まで送れ、ってこと?」
支えるように彼女の肩を抱いて 彼女の指示通り部屋の前に送り届けた

部屋の鍵を出してドアを開くと上がって行くでしょと言う西田さんに いきなり女の子の部屋になんか入れるわけないよ、と言う俺

付き合ってるのに?と甘えるように見上げてきた

こういう表情も彼女の作戦かもしんない
でも 男の俺はこういうのに弱い

私にはたったの1ヶ月しか時間がないんだもん
毎日会える訳でもないからちょっとでも傍にいたいと言う西田さんを無下に断ることもできず

結局 俺は彼女の作戦に乗ることになってしまった

俺 ずっと西田さんのペースに流されてる

そんな反省と言い訳じみた思いで西田さんと部屋に入った

西田さんの部屋は意外と可愛くて 女の子の部屋だなぁとドキドキした

おぼつかない足取りでチューハイとビールを持って俺の隣に座った

まだ飲むの!?と聞くと飲むと笑った

俺の腕にもたれかかった西田さんにドキドキして間がもたずテレビを点けるとWOWOWの映画が流れた

しばらくビールを飲みながら見てると西田さんはうとうとし始めた

抱き上げてベッドに寝かして布団をかけると本格的に眠ったようだった

帰ろうと時計を見るともう終電はとっくに出た時間になっていて

仕方なく俺は映画の続きを見ながらその場で寝てしまっていた


目が覚めると西田さんは起きていてシャワーから上がったところのようだった

目線の高さに大きなTシャツの下から長く綺麗な脚が出ていて思わず目を反らした

「ごめっ、俺 寝てて、、」

「おはよう…♡ ふふっ(笑) 朝ご飯作るからその間にシャワー使っていいよ。」

「いや、もう帰る、、」
立ち上がった俺にまだ帰らないでと抱きついてきた

シャンプーの匂いがした
女の子の匂い…

「どうして帰っちゃうの? そんなに私のこと嫌い?」

嫌いとかじゃなくて俺がここに居ちゃいけない気がするから

「嫌い?」とまた甘えるように見上げてきた

「そうじゃなくて、、」

「じゃあ朝ご飯食べてね♡ お腹空いたでしょ?」


シャワーを借りることになった

西田さんのあの感じ、嫌いじゃないから困るんだ!
俺、ほんと単純な男だよな

新品で予備に買っておいたという歯ブラシを貰って歯を磨きながら

もしかして…
西田さんとキスとかしちゃうのか? 俺!

なんてことを ふと思った


髪を乾かしてドアを開くと

さっきの大きなTシャツだけの姿のままの西田さんが料理を運んでいた

なんで着替えてないの!?
パンツが見えそうでつい見ちゃうじゃん!!


テーブルの上はめちゃめちゃカラフルだった

色とりどりなサラダにオムレツにオニオンスープとか
男の一人暮らしのテーブルには並ばないようなものばかりだ!

なんか 感動…

「いただきます!!!」
張り切ってる俺に西田さんは楽しそうに笑った

料理も上手くて綺麗でスタイルも良くて
あざとい可愛さで甘えてくるなんて俺って幸せ者なんじゃ?

朝飯はほんと旨くて全部平らげた

腹いっぱいで満足してると西田さんがコーヒーを入れて隣に座った

脚っ!脚ーっ!!

「い、いつも、そんな格好、なの?」

「うん(笑) 楽だもん(笑)」

まぁ自分ちだもんな、うん
体育座りのように膝を立てた

パンツ見えそうだぞ!ヤバいんじゃないッスか!?


「コ、コーヒー飲んだら、俺、帰る、、」

「どうしてそんなに帰ろう帰ろうとするの?そんなにここ居心地悪いかな… それとも私のせい?」

あなたのその格好のせいですよ!!
「あ、脚が… ちょっと… 」

「えっ?脚!? どこか痛いの!?」
西田さんは心配そうに俺の太ももを撫でた

さっ、触らないでっ!俺のが反応しちゃう!
「ち、違うから!俺、帰るよ!」

慌てて立ち上がったら西田さんも立ち上がり腕を掴ませた

「颯真くんともっと一緒にいたいのに… 」と悲しそうな顔で見上げてきた

そんな顔しないでくれよぉ…
「… わかった」

「脚… 本当に痛いんじゃない?」心配そうに見上げる

「脚が痛いとかじゃなくて、西田さんの脚が… 」

キョトンとしてクスクス笑いだした
「良かったぁ!颯真くんの脚がどこか悪いのかと思っちゃった(笑)」

「なんか下に履いてくれない?目のやり場に困るから… 」

「見慣れればいいんだよ(笑)」
Tシャツを少し持ち上げた

「み、見慣れないからっ!」
顔がカーッと熱くなってきた

「颯真くんには私の全部を見て欲しいなぁ… 」

えっ、、

俺の首に腕を回して前のめりになった俺に西田さんはキスをしてきた

ずっと瀬戸際で必死にもがいてきた俺の理性は
そのキスの心地良さに いとも簡単に負けてしまった

俺 やっぱ西田さんに勝てそうもない…






ーーーーーーーーーーーーーーー


風 2

2020-04-09 21:35:00 | ストーリー
風 2





俺が千葉に越してきた頃の話だ

まだ21の俺は田舎から都会に越してきて
期待でワクワクしたスタートだった

同じアパートの二階には年齢の近い女の子が住んでいた

彼女も少し前に田舎からこのアパートに上京してきたらしくお互い地理もわからない同士だったからか俺達は直ぐに仲良くなった


方向音痴な彼女より俺の方が早く周辺の地理や店を覚えたから よく一緒に近所のスーパーマーケットに食材の買い物に出掛けた

のんびりした性格の彼女は俺よりも田舎町で暮らしていたようで

純粋で俺より世間知らずな所があったから変なやつに騙されたりしないかと見てて心配になるほどだった

そんな彼女に
俺は気がつけば恋をしていた


一年が過ぎた頃だったか…
定期的に夜 彼女の部屋に訪ねてきている男がいることがわかった

スーツにネクタイ姿
随分と歳上の大人のサラリーマン

きっと… 彼氏なんだろうな…

同じアパートだから二階に上がる階段を革靴で昇るカン、カン、という音がする度に俺は胸が締め付けられた

そんな夜は同じアパートに居たくなくて俺は携帯と財布を持ってコンビニに出かけていた

いつものように帰り道の公園で携帯を見ながら時間を潰してると雨がポツポツと降ってきた

仕方なくアパートに戻って鍵を開けようとした時
二階の部屋のドアが開いて口論する声が聞こえた

声のする方を見上げると彼女が男に出て行ってと泣きながら訴えていた

男は諦めたのか 本格的に降りだした雨の中を大通りの方向に歩いて行った

その後ろ姿を彼女は泣きながら見つめていた


それからの彼女はいつもと変わらなかった

買い物に行くんだけど米とか重い物を買うなら一緒に行かないかと尋ねると彼女は笑顔で行くと応えた

あの男と完全に別れたのだろうか…
気になるけど 俺達はそういう話をしたことがない

彼女は通り過ぎるスーツ姿の男に自然に目がいっているのを俺は気づいていた

やっぱりまだ忘れてないんだと
俺の胸はその度痛んだ


買い物を済ませてアパートに帰る途中にあるいつも時間潰しをしていた公園の横を通りすぎようとした

公園には子供連れの母親が数人いた

彼女は俺に 不倫についてどう思うかと尋ねてきた

ーー あの男は既婚者だったのか


俺は不倫についてなんて考えたこともなかった
まだ22だし俺の日常には無い話

俺の両親は仲が良いとも悪いともいえない
本当にどこにでもいる普通の夫婦

親父は趣味のサーフィンはたまにやってたけどサーフィンをしない休日は家で一人で音楽を聴いてる

昔のディスコミュージックを聴いてはどうも踊っているようだった
(ドンドンと音がしていたから)


うるさい!とオカンにどやされるとおとなしくヘッドフォンに変えて機嫌良く聴いてる

平日は職場から毎日直行で帰宅してたし親父が浮気してないのは俺から見てもわかる


でも 誰もが結婚する時は浮気なんかするつもりなんかなくて 世界で一番好きな相手と結婚してんだろ?と漠然と思ってたぐらいで 浮気とか不倫とかについて深く考えたことなんかなかった


彼女は俺に良いご両親の元で育ったんだねと微笑んだ

良い両親かどうかはわからないけど それを見て育った俺にはそれが普通だと思ってた

彼女の両親は不仲だったようで早く自立して暮らしたいと実家から離れた今のアパートに暮らし始めたようだ

彼女からそんな薄暗い過去の話を聞いたのは初めてだった

幸せになるのって難しいんだよと
彼女は少し悲しげに微笑んだ

難しいかな
俺はそうは思わないけど…

幸せなんて旨いもん食ってても思うし
良い波が来てて大好きなサーフィンをやってる時は最高!って思うし…

そんな風に普段の日常の中で幸せと思えることが沢山できればいいのに

俺が単純だから?と言うと
佐々木くんとこうして話してるだけで楽しいからこれも幸せってことかな?と笑った


それから たまに一緒に飯作ったり一緒にゲームで対戦したりするようになった

ゲームをする時は俺の部屋に来る彼女

初めて俺の部屋に彼女が来た時は心臓がバクバクだったけどそれも段々慣れてきた頃

彼女の携帯にまたあの男から着信が入った

彼女は鳴り続ける携帯を取ろうかと迷っていた
俺はその携帯を勝手に切った

あんなに泣いて辛い思いをしたのにまた繰り返すなんてダメだ

そうだねと微笑んだ表情が 少し寂しそうに見えて
俺は衝動的に彼女を抱き締めた


彼女から女の子の使うシャンプーのいい匂いがした
手に伝わる細い肩に 俺の胸は急にドキドキして

このまま これからどうしたらいいのか
よくわからなくなった


抵抗しない彼女は今どんな顔してるんだろう

泣いてるかな 困ってるかな
恐る恐る身体を離して彼女の顔を覗きこんだら

恥ずかしそうな表情をしていた

その表情に俺も凄く恥ずかしくなって
ごめん!と彼女から離れた


俺 君が好きなんだ
もうずっと前から…

ずっと胸に秘めていた気持ちを彼女に告白した

彼女は戸惑いながらも嬉しいなと微笑んだ


でも…
俺達は付き合うこともなく

一年後 彼女はアパートを引っ越していった


俺も彼女を忘れるために
海の近くのアパートに引っ越してサーフィンに没頭した


それからも女の子と知り合っては何となく良い感じになって その流れで付き合ったりもしたけど

やっぱり時々思い出すのは
あのアパートで出会って恋をしたあの子だった


俺 本当に あの子が好きだったんだ ーー






ーーーーーーーーーーーーーーー


風 1

2020-04-09 07:35:00 | ストーリー
風 1





四国から一人上京し千葉に移り住んで7年

28歳の独身で彼女無しの俺

趣味のサーフィンは俺が子供の頃に親父に教わった
親父も子供の頃からやってただけにそれなりに上手かった

海や川が多い田舎町だったからか
釣りかサーフィンを経験している男がほとんどだった

俺は親父の影響もあってサーフィン派
真冬以外は海に入っていた

毎年 春の風が強くなってくる頃からテンションが上がる

サーファー仲間と今日の休日も九十九里浜を訪れた

「風も良いし天気良くてサーフィン日和だな(笑)」

「まぁ雨でもやるけどな!(笑)」


俺と天羽にとってサーフィンは休日のルーティンのようなものだ

「そういや、今日… 政人来てないな。」
もう一人のサーファー仲間の政人の車が停まっていないか見渡した

「あいつ、女ができたんだって。くそ。裏切りもんが、、」
車のトランクを開いた

「は!? いつ!」

トランクからウエットスーツが入ったバッグを開きながら愚痴り気味に話し出した

「あいつ、先週飲み会に行ったらしいぞ。そこで早速ゲットって… 俺らも呼べや!っての!」

「女… かぁ」 あいつが、ねぇ

「まさか、颯真、お前まで女欲しいとか言わないよな!?」

「は? そりゃ欲しいわ。」

「だよな。」
それからお互い無言でウエットスーツに着替えた

俺が最後に付き合ったのって…
2年前に別れた彼女以来いない

俺は小さな自動車修理工場で整備士として働いている

華やかさもなけりゃ 出会いもない

合コンだとか紹介だとか ナンパとか?
そういうきっかけでもなけりゃ女の子と出会うなんてない

まぁ… ナンパはしないけどな

天羽が俺に尋ねてきた
「俺らも… 合コン…やる?」

「だな。」

天羽はサーファー仲間の政人が先に彼女ができたことがかなり堪えたようだった


その日は朝から休憩しながら夕方近くまでサーフィンをした

職場の工場のホースを借りてウエットスーツやボードを丁寧に洗って帰宅した

ん? 天羽のやつ
どっから合コン話を持ってくるつもりだ?
宛てでもあるのか?

シャワーを浴びてビール缶を開けて
飲みながらテレビを点けた

テレビには話題の舞台の宣伝をしていた
舞台の練習風景が画面に映っているのを俺はボーッと見てると なんか見たことある顔が一瞬映った

… え? ええっ!?

目を凝らして見ると画面後ろにぼやけていたけどやっぱり俺の知った顔がそこにいた

同郷で同級生のクラスメイトの女の子だった

「えーっ… 知らんかった… 」
なんか懐かし~!

引っ込み思案で目立たない子だったけど
顔はそこそこ可愛かったからなんとなく覚えてたんだよなぁ

舞台に出てるってことはもう引っ込み思案じゃなくなったんだな(笑)

名前… なんだったっけ

久しぶりに四国の高校時代の友人に電話をかけてみた

「なんやなんや!?颯真から電話ってなんかあったんか? 元気にしよったんか?」

「なんもないよ(笑) 元気にやっとるよ(笑)」

友人とお互いの近況を話し合った

「そうだ、さっきテレビであの、、ほら、同じクラスやった女の子が舞台に出てるみたいで、さっき、、」

「ユキノのこと? なんや舞台に出るって聞いたな。こっちは田舎やからそういう情報は直ぐに回ってくる(笑) 」

ゆきの?
「ゆきのって名前だったっけ?」

「ゆきの まこと、な?」

あぁ、思い出した!
行野 真!

漢字だけで見ると男みたいだなって当時は思ってたんだ

「舞台、見に行ったら?こっちからはなかなか行けんし、見たら感想教えてな(笑)」

見に行けってか?
俺、舞台なんか興味ないけど

「まぁ、行けたら行くわ(笑)」

電話を切ってちょっと調べてみた
脇役なのかキャスト欄の最後の方に“行野 まこと” の名前を見つけた

話しした記憶もない同郷のクラスメイトだけど
まぁ 見に行ってみるかと
軽い気持ちでチケットを取った



ーーー



舞台はオリジナルの物語

行野 真は本当に時々出てくる程度だったけど
あの頃の引っ込み思案で地味な印象は全くなかった

生き生きとしていて
本当に好きでこの世界に飛び込んだんだと伝わってきた

かつてのクラスメイトの活躍に俺も背筋が伸びるようだった

「俺もがんばろ!」
舞台のパンフレットを手に会場を出た

スマホの電源を立ち上げると天羽から合コンの連絡が入っていた

あいつマジで合コン話を取り付けてきたのか!

“行くだろ?てか、人数に入れといたからな!”

“もち、行く。”

合コンかぁ♪
俺は浮かれ気味で帰宅した


ーーー


その合コンは女の子5人と男5人
男のメンバーの中に知らない奴が一人いた

サーファー仲間の真っ黒な暑苦しい男4人の中に爽やかな色白のイケてる洒落た男

この男だけ目立つ!
(なんかちょっと悔しい)

どんな女の子が来るのか楽しみにしながら待ち合わせの場所で待っていたら横断歩道を渡ってくる5人の女の子グループを見つけた

おーっ!いよいよか!
ワクワクしてきたぞ!

創作料理の居酒屋で女の子と向かい合わせて座った

お決まりの自己紹介は男側から
女の子みんな可愛いじゃん!

なんで可愛い子ばっかなの!?

挨拶が最後になった女の子が照れくさそうに自己紹介をした

「行野 真です」

ゆきの? 行野 真!?
先日の舞台で見たあの同級生の行野 真!?

目を凝らして凝視した

「(おい!見すぎだろ!)」
隣の天羽に耳打ちされた

あっ、、
とっさに顔を反らした

行野さん 俺のこと覚えてないんだな

俺も知らないフリしておくべき、、か?
それにしても俺の名前も覚えてないんだな

こっちは田舎と比べて人が多いしまさかこんな所で同郷の人間と偶然会うなんて思わないか

お互いに何の仕事をしてるのかとか趣味の話で盛り上がった

でも俺はついつい行野さんをチラ見してしまっていた

「(ゆきのさんに話しかけてみろよ(笑))」
天羽が席替えを言い出して俺は行野さんの隣に座ることになった

まだわかんないのかな
なんか皆が知らない秘密を知っているようで妙にドキドキする

「行野さん、地元はどこ… ?」

「徳島です」
やっぱり!てか、わかってたけどな!

「佐々木さんは?」

そうか、そう質問返しされるよな
「俺も、徳島… 」

行野さんは驚いた表情から笑顔に変わった
「同じ!? 嘘!こんな所で同郷の人と会えるなんて!」

やっぱり気付いてなかったんだな
もう言っちゃおうかな
「俺、実は」

「私、愛媛だよ!四国民が三人もいるなんて(笑)」

横から西田さんが口を挟んできた

「あぁ、、そう、なんだ、、(笑)」
結局 言いそびれてしまった


俺は行野さんとその愛媛の西田さんと連絡先を交換して合コンはお開きになった

天羽は消化不良気味な表情
「お前、女の子二人からモテモテだったな!」

あれがモテモテだって?

「どこをどう見たらそう見えるんだ。天羽は気になった女の子いた?」

「いた!唯ちゃん!」
唯ちゃん…
あぁ あの可愛かった子か
あざといくらい自分を魅せるのが上手い子ね

あざといとわかってても男には堪らんけどな


「確かに可愛かったな。うん。」

「可愛かったよ… マジで… 颯真は?どっち?」

は?

「どっちって… そんなのわかんないよ。」

「二股かけんなよ!」

「かけるか!ばか(笑)」



ーー というか
愛媛の西田さんから早速 翌日にLINEが来た

“颯真くん今度サーフィン教えてくれない?やったことないからど素人だけど”

“いいよ。行こう。”


俺 サーフィンが初めての女の子に教えたことなんかないけど

西田さんは社交的な子なんだな
子って、俺より2つ歳上だったっけ

行野さんからLINEは来なかった



ーーー


「颯真くん、よろしくね(笑)」

「あっ、はい、こちらこそ… 」

レンタルのウエットスーツを着た西田さん
スタイル良いし似合ってる

てか… 脚、ながっ!!
俺より長いんじゃ…

「じゃ、じゃあ、西田さん、準備運動、しよっか、、」

「はーい♪」

なんだかモデルみたいだな…

「西田さんって、スタイル良いからモデルみたいだね。」

「モデルもやってたよ~♪」

「やっぱそうなんだ… (笑)」

「グラビアモデルの方だけどね(笑)」

グラビア!?
思わずセクシーなのを想像してしまった

「へっ、へぇ~ … 」

「見たい?」

そりゃ… 見たい… です… ね
「まぁ、、でも、後で… 」

「じゃあ後で♡」

グラビアモデルって聞いてしまったら…
変なこと想像してしまいそう

「まっ、まずは、、ボードのこの辺にこう乗って… 」

俺の真似をする西田さんはテンション高く嬉しそうだった

「腰をこう落とす、、」

そうやって基本的なレクチャーをして浅い所で練習した

運動神経やバランス感覚が良い西田さんは初心者の割に上達が早かった

初めてだしあまり長時間海に入ると疲れるだろうから今日は早めに終わりにした

来て良かったと濡れた髪を整えている西田さんは
本当にモデルだったんだなぁと思わせる魅力を感じた

「また教えてくれる?」

「うん。いいよ。天羽とよく来るから今度は天羽も、」

「私は颯真くんと二人がいいな(笑)」

えっ、、

「あ、そう、、わかった(笑)」
なんかドキドキしてきた
落ち着かない

「シャワーしてくるね!」

西田さんがウエットスーツのレンタル店でシャワーをしに行っている間に持ってきた水タンクで簡単に海水で濡れた髪と身体を流して着替えた


「ふぅ~ 」

俺 あんまり自由に(サーフィン)できなかったなぁ
ちょっと消化不良…

「お待たせ!ご飯行こうよ!お腹空いちゃった!」

自然に彼女のペースに巻き込まれてる
でもなんか嫌じゃないな

一緒に晩飯に行って西田さんを駅まで車で送った

「颯真くん ありがと♡ またご飯行こうね(笑)帰ったらLINEしていい?」

「あぁ、うん、気をつけて。」

西田さんの姿が見えなくなり
車を職場へと走らせた

合コンの時と印象が違って色っぽかっ…

あっ!!グラビア時代の画像!!
結局見せてもらってない!!

今更俺の方から見せてくれとは言えない
あん時直ぐにでも見せてもらえば良かった

でもガツガツした男には見られたくなかったからな

職場に着いてウエットスーツやボードなど全て洗ってるとLINEの音がした

ホースを片手に水をボードにかけながらLINEを開くといきなり半裸の女性の画像が出てきた

「ぅわっ!!」

思わず手に持っていたホースを手離し画像を凝視した

おっ!? おぉっっ!?

ただただグラビア写真を見るよりも
さっきまで実際に会ってた人のグラビアだからか妙に興奮する

“颯真くんに見せてあげるの忘れてたから♪”

わざわざ画像を送ってくれてありがとうございます!!

あ、でもこれ最近の写真っぽいけど
今とあまり変わらないな

大き過ぎない程よい大きさの胸と感触の良さそうな太もも
「最っ高だな… 」

「何が?」

突然声がして驚いた

「水、出しっぱなしだぞ?」
同じ整備士仲間で38歳の朋さんが水道の蛇口を締めた

俺は慌ててスマホをポケットに隠した
「す、すいません。」

「最高って?(笑)」

「あ、いや、、(笑)」

「やらしいもん見てたとかぁ~(笑)」

鋭いな!
「ははっ(笑) そうっすね(笑)」

休みなのに朋さんが来てたのは奥さんの車の整備をしていて帰るところだったようだ

嫁さんが実家に帰るからと言いながらポケットからタバコを取り出し火をつけた

「嫁さんと別居することになってな。俺ができることしとこうと思って。」

えっ…
仲の良い夫婦だと思ってたのに…

この間だって奥さんが小さな男の子と一緒に差し入れを持ってきてくれてた

その時の奥さんも朋さんもとても仲良くて
理想だなって思ってた

外から見てるのと
家庭の中は違うってことだったのか?


ここ数年間 実はあまりうまくいってなかったようでとうとう子供を連れて実家に帰ることになったようだ

朋さんは細かなことは言わなかったけど 複雑そうに微笑んで帰って行った

結婚したら必ず幸せってもんじゃないんだな…

沈んだ気分で洗ったボードやウエットスーツを車に乗せて帰宅した


スマホを見ると西田さんからLINEが入っていた
“感想は無いの~?(笑)”

あ、返信忘れてた
“最高です!ありがとう(笑)”

“実物見てみたくない?”

えっ!! そりゃ見たいッス!!
手ブラしてないのが見たいッス!!

いやいや、落ち着け!俺!!

クールに
“それはどういう意味?”と返すと

“海開きしたら一緒に普通に海で泳がない?”

あ~ …
そういうことね(笑)


“海開きしたら是非(笑)”

“颯真くん意外とがっちりしてて体格良かったんだね!ドキドキしちゃった(笑)”


ドキドキしたのは俺の方!

ん? 意外とって?
“意外と軟弱そうに見えてた?”

“着痩せしてたんだなと思った!肩とか胸板とか腕とかガッチリしてるなって思ったよ”

女の子でもそういうの見るんだ

でも なんだろう この雰囲気
積極的に接点を持とうとしてる気が…

もしかして 俺に気があるとか?
いや、ただの思わせ振りかもしんないしな!
適度に距離を置いて…

距離なんて置かなくても良いのか

でも…

魅力的な女の子だけど
恋愛感情の “好き” とかじゃない

良い感じだなと思った女の子なら…みたいな考えで前の彼女と付き合ったけど

どうしても心のどこかに
“なんか違う”って思いつきまとった


何やってても
つい思い出してしまう程

大好きで大好きで
本気で大好きな女の子に

初めて触れた時のあの感覚が

今でも 記憶のどこかで
古傷のように残っていからだと

気付いてしまったから…






ーーーーーーーーーーーーーーー