MoiMoi。のココデハナイ ドコカ。               

「この世界には私が撮らなければ誰も見たことがないものがあるのだと信じています」by ダイアン・アーバス。   

おバカショートショート小説。

2006-06-03 | おバカショートショート小説3
以前にも掲載した事あるけど、ひさしぶりに ショートショート小説を!。


『可奈の不思議な行動』 bymoimoi

ある日、可奈は自分の頭をカナズチで殴って
自分で気を失うという奇妙な行動をとりだした。

自分では意識していないのだが、知らない内
に左手にカナズチが。

可奈は後頭部に向けてカナズチを叩き付ける。

最初は何度も叩かないと気を失わなかったが
最近ではコツを憶えてどうすれば1度で気を
失う事ができるか分かってきた。

ゴンとカナズチを後頭部に。
可奈はスーっと意識がなくなり始めている自分を
楽しんでいるかのように少し笑みを浮かべてる。

記憶が錯乱している。まだ何も見えて来ない。
可奈は今自分が何処にいて何をしているのか、
自分は誰なのかも定かではない。

5分ぐらいたっただろうか。
うっすらと霧が晴れてくると、辺りの様子が
見え出して来た。
「ここは何処?」

可奈の疑問に答えてくれる物はなかった。
もう1度可奈は「ここは何処」と囁いた。
その時何かが動く気配を感じ
「誰?」

そいつはソーと姿を、まだ少し、もやってる
霧の中から表した。
「初めまして」そいつは可奈にそういうと少
し笑みをうかべて「僕は可奈の前世だよ」と
言いました。

「前世?」可奈は訳が分からず聞きかえしま
した。
「そう、僕は可奈の前世のスパイクだよ。」
「スパイク?私は前世では男だったの?」
「そうだよ、それもアメリカの黒人だったん
だよ」

「あたしが黒人音楽や黒人に魅かれるのは、
この事と関係があるの?」
「もちろんさ、可奈の身体の何処か、そうだ
な、たぶん脳だと思うけどちゃんと記憶が残
っているんだよ。」

「そうなんだ。なんだか嬉しくなって来てし
まったわ。だとするとあたしが上品で、話す
言葉も丁寧語でないと、とっても辛いのは前
世に関係があるのかしら?ホホホ。」

「上品かどうかは知らないし、どの前世か
分からないけど、何かしら関係あると思うよ。」
「ホホホやっぱりあたしが思っていた通り。
ずーっと昔は貴族の生まれだったのよね。ホ
ホホホホ。」

「でも僕は貴族じゃないよ。ただの黒人の男
さ」
「あたし、あなたじゃなくて貴族の前世に会
いたいわ」
「そんな事言ったって僕が出てきたんだから
僕で我慢してくれないかな?」

「あたしにがまんしろって言うの。あたしの
辞書にはガ・マ・ンという言葉はないのここ
ろよ。」
「僕はとっても我慢強いのに」
「あなた、あたしの前世じゃないんじゃないの。
間違えちゃったんじゃないの」

「さっきは前世が黒人で嬉しいって言ってた
じゃないの。」
「気が変わったの。」
「そんなバカな」

「あたしの事バカ呼ばわりしたわね。あたし
今まで誰にも、そうよ親にもバカなんて呼ば
れた事ないのよ。それなのになんであんたに
バカ呼ばわれされなくちゃいけないのよ」

「大袈裟なんだよ、可奈は」
「あんたさっきからあたしの事、可奈可奈っ
て呼びつけで呼んでいるわよね。
誰が呼びつけでいいって言った?。可奈様っ
てよばんかい。可奈様って。」

「なんだか言葉も荒れてきたぞ。」
「ウッルセーてんだ。あたしの前世は貴族だ
っつーの」
「貴族にも色々なのがいるんだ」

「知るか!そんな事。ところであんたコーラ
もっていないコーラ」
「1本だけカバンに入っているけど」
「それあたしにくださらない事?」
「物貰う時は丁寧語になるんかいな」

「ホホホホ、貴族だも~ん」
「しょうがないなあ、じゃあ1本しかないけ
どあげるよ。感謝してね」
「ハイハイ感謝感謝感謝。これでいい?」
「まったく。ハイこれ、コーラ」

「あんた これペプシじゃないの。あたいの言
っているのはコーク。コカコーラよ。
あんたあたしがアトランタに留学していたの知っ
ているわよね。ねえ前世さん!」

「さっきは前世じゃないって言ったじゃないか」
「おだまり、口答えはゆるさないからね」
「そんならコーラあげないよ。ペプシだしね」
「おだまり、ペプシでもいいわよ。我慢して
飲むから」

「別に無理して飲まなくったっていいよ」
「だまれだまれだまれ。口答えはこの可奈が
許さないからね」
「わかったよ。困った可奈様だこと」

ゴクン

「このペフシ気が抜けてる」
「文句言わずに飲んでくれー。ああー空き瓶
を捨てるなー。リサイクルの日に出すんだか
ら」
「あんたもついでにリサイクルの日に出して
あげようか」

「ひどすぎるー」
「分かった?あたしの機嫌を損なうと恐いと
言う事を、ふん!」

「あーあー。あんたと、ここにいても何にも
起こらないし退屈してきちゃった。 
そうだ いい考えがある」
「何?」
「あんた そのペプシの空き瓶で自分の頭ぶっ
叩いて気絶しなさい」

「ええ?何でそんな痛い事僕がしなくちゃい
けないんだよ~」
「あんた あたしの前世でしょ。だったらあん
たが気絶すれば貴族の時代のあたしの所に行
くかもしれないじゃない。そんで貴族時代の
あたしをここに連れてきてよ。お願い~ダーリン」

「僕はあなたのダーリンじゃないし そういう
時だけ、セクシーな声だしてもだめだよ」
「そうか、くそ!」
「どんどん言葉が汚くなるなあ~」
「じゃかしー!。 あっ あそこで何か動くも
のが見えたわ。何かしら?ダーリン」

前世の黒人が後ろを振り返った途端、
ゴーンと可奈は黒人の後頭部めがけて
ペプシの空き瓶を振り落としました。

黒人は「ウーン」とうなり、その場に倒れこみました。
そして、可奈は黒人の耳もとに大声で
「貴族貴族貴族を連れて来ーい」
と怒鳴りました。

だがあまり強く後頭部をぶったたいた為、黒
人は死んでしまいました。
可奈は「しょうがないわねー。意気地なし」
と訳の分からぬ事を言い、

「もうここ飽きたから、帰ろーっと」、
少し歩き始めた時、急に意識が朦朧としてきて、
可奈は気絶してしまいました。

「う~ん。あれえ?わたしどうしてたのかしら?」
意識が戻った可奈は、周りを見渡し、
「わたし また失神したみたいね。」
自分で後頭部をカナズチで叩いた事なんて憶えていませんでした。

「でもなんだかとっても清清しい気分ね。今日は」
と ひとり言を言うと
「さあ買い物にでも行こうかな」とスーと立ち上がり
買い物に出かけてしまいました。

可奈のいなくなった部屋にはうっすら血の着い
たペプシの空き瓶がころがっているのに気づか
ずに。
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