続・弾語り・番外編 ④
引き抜かれたところは喫茶店をリフォームしたような少し
大き目の新橋の店だった・・
◇
だんだんわかって来る
弾語り一本は良いのだが、オーナーが妻である奥さんを殴りボコボコになって
大きい絆創膏をして店に出させていた
奥さん:交通事故に遭って~と笑顔で言っていたが
誰しも うすうすDVだと気がつく容態だ
15だったが、後半、私にレジを見せて「払う金はホラ無い・カラだろう」と言いだし
報酬未払いを経験した
当然・店も潰れた・・あんな経営者だものヤクザと変わりないではないか・・
◇
東京砂漠
・・
一匹狼の厳しさを知る
何とか組織を探し、泣き寝入りしないように
日本音楽家労働組合に会費の月・2千円だったかそれを納め加入することにした
そこは音楽を愛し昼は普通の仕事か組合の事務をしたりして夜はピアノの先生
他に自分のようなギターの弾き語りを擁する組合的組織だった
今でいう「派遣」と似ている
おそらく実際は店からの入りは20か18で差額は抜かれていたんだろう
そこから仕事を依頼され4ヶ月から長くて1年のスパーンで出向する形式
で、以前六本木で演奏していた経験を買われ直ぐ、又六本木の店に配属となった
アマンドから7分位の音響対策のしっかりしている地下店
今にして思えばそこはスタンドプレイ方式でエレキをガンガンアンプで出来て30分交代で
もう一人のエレキマンと交代する方式だった。そこに「劇団いろは」の偉い人
(スカウトされそうになった・・・おそらくこの老婆と寝るんだろうな・ペケ)や
高橋真梨子が顔を出していた、一度だけ下手くそな自分の伴奏で
「 別れの朝」を仰せつかったことがある・・彼女は嫌な顔一つせず歌ってくれた
確か下済み時代・スクールメイツに所属していたはず
◇
そこは地下でイケメンの男性のみのイカした所だった
しかしバブルが弾け始め経営者が変わりその建設会社も撤退した
でも、今回はそうなっても組織に所属しているので安心だった
そのイカした暗い店には歳の離れた従兄妹に声をかけるとカネボウの同僚の娘と一緒に来た
「お兄ちゃん、あのね一緒に来た子お兄ちゃんに興味があるって・・・」要は
お付き合い始めましょうと云うことだ
うん・その話には乗って行かなかった
基本ポリシーは「客・ファン・奥さんには決して手を出さない」
それは後々の営業時代でも変わらない
そんな事していれば必ず意識が発生しバレて、しまいには破滅したり相手の家庭を壊す
きっかけになるだろう
自分は恋愛をしたいのではなく・音楽家の仕事を貫きたいのだ
そう徹していた・・だからある意味、孤独なのかもしれない
・・
故・かまやつひろしが言っていた
芸能人として、いい寄る娘はワンサカいた、しかしそれは音楽家である自分に
恋しているのであって
「かまやつひろし」個人が好きなわけではない !
ヒット曲が止まり芸能生活が落ち込むと、そう云う娘は去って行くものだ・・・
だから本当の恋はファンとは壁を立て しない事にしている・と
拓郎に語っていたのだ
同感である。