"のび太の結婚前夜"という短編があって、あの話は実際は花嫁側の静香にスポットの当たる話。
そして前日僕は姉と同じ部屋に宿泊した。どんなものだろうと思って。
実際は父以外の家族4人(母、姉、兄、僕)で一同に会し
次の日に使う風船を膨らましては、中で膨らむ犬型の風船とそれを覆う球形の風船の
空気の入り方のバランスが悪いことなんかを話し。
新婚旅行はどこに行くのかとか、結婚式のタイムテーブルとか、両親への贈る言葉とか、
それぞれに好き勝手なことを言いながら、喋りつかれて眠った。
父は(決してサボりではなく)父兄弟と色々話していたようである。
そして当日。僕は(披露宴の)カメラマンをお願いされていた。
身も蓋もないことを言えば披露宴のカメラマンをプロに頼むと料金が多分高かったのだと思う。
しかしコストカットだろうとなんだろうとイベントの一部に関係することで
誰が何をしてイベントが成立するのかが理解できるようになってくる。
◇
式の話。
終始目線が上向きの姉と、余り普段と何も変えていない感じの旦那さん。
僕は最前列だったので聖歌を歌う女性3人の間近に立つことになり、
一貫して斜め上方向に視線を置くアルトのパッツン娘をぼんやり眺めていた。
後ろの列からは、今まで結婚式の客側としては聞いたことがないくらい大きな声で
"いつくしみ深き"を歌う兄夫婦。教師夫婦恐るべしと思った。
披露宴。
誰かが何かをする度にカメラ持っていく訳なので席についている時間は全体の半分くらいで
結構忙しかったが、兄は"ビデオマン"を頼まれていたらしく僕よりも大変そうだった。
どういうタイミングで写真を撮るのがよいかとか考えながらなので、
それぞれの人のコメントや芸もあまり自分に入ってこない。
そんな状況でも我に返ったのが"新婦から親へのメッセージ。"
父に向けてのメッセージはムリヤリいい話に持っていった部分があったが(父親ってそんなもんかもと思う)、
母に向けてのメッセージはやさしく愛情深い母へのお礼に相応しいものだった。
僕や兄は公に両親へのお礼をする機会は一般的には与えられていないので、
母という人の愛情深さ、素晴らしさに公に分かるように伝えてくれる人がいて良かったと思った。
◇
そして僕は現実に帰ってくる。姉夫婦は結婚披露宴の翌日に、イタリアに出かけた。