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きちんと選択させる。ただ「どっち?」と聞くだけでは意味がない。

2024年02月22日 | 教育
全介助の子で、車いすに乗っていて、言葉のない子で
再調理の食事をしている子がいます。

特別支援学校で、再調理というと、
一度できた給食を、さらにミキサーにかけたり、
こしたりして、ゼリー状にしているものです。
固形物の呑み込みが困難と思われる重度重複のお子さんや、
認知発達のとても低いお子さんが再調理の食事をします。

その子に食事の選択をさせて食べさせることが始まりました。
しかし、見せてもらうと、再調理したおかずを補助食器に入れて
二つ目の前に置き、
「どっちがたべたい?」
「どっちにする?」
と聞いて選ばせ食べていました。

その子はよく人の動きを見る子で、
誰かが立ち上がったり、通ったりするだけで
首をぐるっと曲げて見ます。

よく知っている人と、知らない人を見分け、
不快や快を表したりします。

だから二つの補助食器にのったおかずのどちらかを
選べると判断していました。

しかし、これだけでは選んで食べるのは到底困難だと思います。
二つの問題があります。ひとつは見え方の問題です。
言葉もない、全介助の子で、実際、どのくらい見えているかもわかりません。
中心視でしっかり焦点を合わせて見えているのか。
周辺視で焦点は会わず、全体がぼんやり見えているのか。
全体は見えても部分がしっかり見えていないのにどっちが良い?は分かりません。
もう一つは、認識の問題です。
「どっち?」と言われても、
いったいどれとどれを言われているのか。
そもそも「どっち?」が通じているのか。
「どれとどれ?」が分かり、「どっち?」がわかったとしても、
二つのおかずの味が分かっているのか、見た目が分かっているのか、
それがないのに、「どっちにする?」といっても
通じていないのに見ている方をただ食べさせるだけにすぎません。

せめてやるなら
一つ一つのおかずを目の前でよく見せ、食べさせて、
認識を促してから、「どっちにする?」と視線を見ながら聞いて、
ほしそうに眺める方を食べさせることです。
きちんと認識を促して、視線を逃さないようにして続ければ、
おいしい方を選ぶようになるかもしれません。





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