イギリスでのシェークスピアの舞台を一度見たくて、舞台劇を映像作品として見せてくれるNTLive(ナショナル・シアター・ライブ)の『ハムレット』(ベネディクト・カンバーバッチ主演)を観にいった。NTLiveを観るのは初めてだった。
実はわたしは、「ハムレット」という戯曲のどこが面白いのかわからない。
日本語訳の文章で読んだときも、誰かのどこかでの舞台(何種類か観てると思う)でも、名作と言われるのはアタマではわかったつもりになっても、自分としては全然オモシロクないので、いつも困惑する(^^;
今回は好きな俳優さんが主演なので、面白くなくても最後まで集中力が持続するんじゃないかと観にいったようなもので、実際それはそれで正しかった(と思う)
なんかムチャクチャ書いてる気もするけど…
今回のダイナミックな演出をされた「ハムレット」は、これまで見たものとは大分違っていた。ステージ上でこれほど大掛かりなことができるんだ…という驚きがあった。
それでもハムレットという人物については、これまでに観たものとの共通性が勿論あるわけで、この人物のイメージだけは、私の中で輪郭がはっきりしたような気がする。
ハムレットはとにかく、走りまわり、跳び上がり、跳び下り、そして常に大声で叫び続けているような役柄に見える。若い王子の人生最大の山場を描いているわけで、まだ人としては海のものとも山のものともワカラナイような「若さ」、その中で大きな決断を迫られている焦燥を、あの喧噪(としか言いようがない)が表現しているのだろうと思う。
そんな彼が口にする「To be, or not to be」を、これまでわたしはどう捉えたらいいのかわからなかった。
それが今回の舞台では、演者の顔を下から見上げて映す演出と、俳優のセリフの言い方で、わたしに(わからないなりに)納得させた気がする。
カンバーバッチはその瞬間、平静に、静かな声で「To be, or not to be」と言った。何の強調もなく、本当に何でもないことのように。
わたしは、それまで走りまわり叫んでいた王子が、突然ごく普通の声音で口にしたその言葉の響きに、なぜか魅せられたのだと思う。
意味が解ったわけじゃない。わからないままだ。「生きるべきか、死ぬべきか」だとも思わない。「be」にはもっと深いものを、わたしは感じているからかもしれない。
それでも、「ああ、この瞬間を見るために、この舞台を観にきたんだな…」という納得感があった。自分としてはそれで十分だった。
ああいう感受性豊かな若い男性を、目一杯複雑かつ困難な状況で描こうとした。それが「名作」と言われる所以なのかもしれない… という辺りで、もう「わからない」ことにこだわる気分が失せた。
この映画の大部分も、「意外性があって、派手で、きれいだけれど、ま、どーでもいいや」な気分で観ていたという、終始ツマラナイ観客だった自分。
でも、映画が終わった後でこの「ハムレット」の感想を訊かれたら、すっきり「面白かったよ」と答えそうな気がした。
自分は今でも、基本「人間だけ見てる」観客なんだということを、再確認させてもらった気もするけれど。
ハムレットは大好きな戯曲です。舞台は劇団四季の高知公演で主役は名前忘れてしまった(くさかたけしだったかな?)を観たきり。これがですねー、わたくし的にはダメダメだったのです。ハムレットは断然若くないと!!!!演じ手が年寄りでもかまわないのです、若者に見えることが重要なのです。仁左衛門さんが女殺し油の地獄で主役を演じたときは(私が観たときは)、70歳くらいだったと思うけど20代の若者にしか見えませんでした。森光子さんの放浪記観たことないけどすごいですよね(^o^)。
ハムレットの悩みは若者特有の「なぜ生きるのか、生きなければならないのか」というものに加えて、父の敵討ちやら何やらなので、このいくつかの悩みの割合をどのくらいにするかでもかなり違った舞台になるんじゃないかなぁ。
演劇って演出(演者)によって別物になることが面白いし、総合芸術なので素人でも何かしら手作りに参加できるし、仕事は機械に任せて、余暇は舞台作りに一枚かんだり観客に徹したりできるように早くなればいいのにと思い続けているんですよ。
そうか、お茶屋さんの観劇歴は長いんだ…って。
(もちろん私は全然知りません)
でも、仁左衛門さんが若かった頃の
ハムレット、観た記憶はあるの。
(どこでどんな経緯で…は不明。勘違いかなあ)
>若者に見えることが重要なのです
ほんとそうですね。
舞台っていうのはそうなんだな~って思う。
(それができるっていう意味でもあります)
>総合芸術なので素人でも何かしら手作りに参加できる
お茶屋さんも参加した経験がおありなんですね(^^)
劇を作るのは参加したこと、ないです。観客専門。
それより、仁左衛門さんのハムレット!なんぼか、色っぽかったでしょうね~!と思ってのコメントです(^_^;。
でも、高校の文化祭の劇くらいでも
参加者たちがあんまり楽しそうだったので
つい想像しちゃったの。
(高校レベルの話やないやろ)
仁左衛門のハムレットは
ほんとに記憶がアイマイで残念です。
でも、あまりに「軽やか」だったのに驚いた記憶は
鮮明に残ってるから不思議。
白い衣装が、舞台を飛び回る蝶?のようで
あのヒト、こんなことができるんだあ…って。
何も知らなかったから、そんな風に感じたのね。
今思うとモッタイナイことしました(^^;
今回バッチ君を見ていて、久方ぶりに
そのときのことを思い出しました。