眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『007 スカイフォール』

2013-05-11 15:38:39 | 映画・本

長くなった「ひとこと感想」その12。

 今メモを見たら、なんとタイトルだけしか書いてなかった。確か、時間を置いてもう一度観に行ったくらい気にかかった?映画だったのに。仕方ないので、今覚えていることだけちょっと書いてみる。

私はダニエル・クレイグのボンドが好きで、3作目のこの映画も楽しみにしていた。

でも、いざ観に行ってみたら、冒頭から「仕事に疲れた」つまり「クタビレ~た」中年スパイの風情というか、あの生き生きした深みのある瞳が、モヤがかかったみたいになっていて、一瞬唖然!! しばらくは(ショックのあまり)ボンドより、俳優クレイグのことを心配しながら観ていた。スクリーンでは走る列車の屋根の上だのトンネルだので格闘したり、はたまた高い所から(味方に撃たれて)川に落っこちたり、例によって大変なアクション・シーンが展開しているというのに。

でも、MI6に戻って再度訓練し復帰テストを受ける頃からは、行方をくらましていた間に「能力ガタ落ち」の設定にも関わらず、瞳に少しずつ力が戻ってきて、もう本当にホッとした。(このくらいなら、役柄上・演技上の“モヤ”だったのね。)

このシリーズでは第1作目から、ボスの「M」(ジュディ・デンチ)とボンドとの関係が、単なる上司と部下には見えない場面があったりする。その当座は意味が解らないので、すぐに忘れてしまったんだけれど、3作目のこの映画ではもっとはっきり「特別な関係」を思わせる展開になっていくので、「実は親子」とか「いや、血縁はないけど、とても親しい」など、いろいろ論議を呼んでいたみたい。

私は正直どちらでも構わない(笑)。(縁の薄かった)母親と息子でも、全くの赤の他人でも、大人同士、それも仕事仲間で常に接触がある・・・といった場合、微妙なモノが少しくらいあった方が、人生の華やぎが増すような気もするし。

とにかく「M」と一緒にいるときのボンドは、「半歩後ろに下がる」みたいなMに対する敬意と、「親密な人といる」心安い口の利き方・・・といっても男性同士ではちょっとあり得ないような、ある種甘えも含んだ?可愛気を感じさせた。それは演じている2人の俳優さんたちに似つかわしいモノがあって、私もなんとなく好きだったんだと思う。

あ、映画自体のことも少し。

今回は「M」を「ママ」と呼ぶ元部下シルヴァ(ハビエル・バルデム)が登場するんだけれど、この人がなんというか・・・金髪に濃い顔、濃い物言い、全身全霊での嘆き方・・・という、とにかくタイヘンなキャラクター。今思い出していても、この人のシーンだけは(「007」とは無関係の)丸々別の映画のような気がするくらい。でも、このシルヴァとボンドは一対というか、Mとの関係において裏表のような存在で、単なる悪役じゃないところも、なんとなくこの映画の作り手の個性なのかな・・・なんて感じた。第1作のヒロインを思い出させるような謎の女性も登場して、彼女に向けたボンドの台詞もなんだかとても懐かしかった。

「ストーリー上はアクションも含めて、映画の後半、むしろ段々スケールが小さくなっていく」という意見もあったけれど、私はあの生家「スカイフォール」に近づいていくときの風景・佇まいが好きだし、好きなアルバートおじさんも出てくるし、(何よりボンドが生き生きとしているので)全然気にならなかった。

最後に「M」のことをちょっとだけ。

今調べてみたら、ジュディ・デンチは「M」を演じるのが7回目だったとか。私はこれまでの「007シリーズ」(50周年?)をそれほど観てなくて、そもそも「M」を見たのもこの3部作が初めてだったかもしれない。デンチ自身も「視力の衰えで台本が読めなくなってきた」とか言っているという記述もあって、引退を迫られていた「M」の姿や、机にいつも載っていたユニオンジャックの付いた可愛いブルドッグの置物(ちょっと{M」に似てる(笑))なんかを思い出した。


でも・・・これでD・クレイグのボンドが見られなくなると思うと、なんだか寂しいようなほっとしたような、なんだか今、とてもシミジミした気分になっている。


 

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2 コメント

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(^_^)(^_^)(^_^) (お茶屋)
2013-05-14 18:56:50
やー、ムーマさん、

> しばらくは(ショックのあまり)ボンドより、俳優クレイグのことを心配しながら観ていた。

わはは(^o^)、そうでしたか。
ダニエル・ボンドは、第4作目の出演が決まってますよ~。

ジュディ・デンチは、なぜか親しみを感じます。
「ユニオンジャックの付いた可愛いブルドッグの置物」は、『裏切りのサーカス』にも登場しましたね。
忠犬によってMI6の忠誠心を現しているのでしょうか???
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ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿 (ムーマ)
2013-05-16 17:44:46
第4作もあるんですか。知らなかった~(^o^)
またまた楽しみが増えました~♪

今度はどんなボンドになって現われるのかなあ。
レイフ・ファインズの「M」で、ドラマチックな物語が
観られるといいなあ・・・(わくわく)。

あ、そういえばあのワンちゃんは
『裏切りのサーカス』のラストでも、机の上にいましたね。
ブルドッグは、イギリスでは
「噛みついたら絶対に離さない(諦めない)」のが好まれるんだとか
どこかで聞いたことがあります。
(いかにもイギリスだな・・・って思いました。)
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