アジアカップのため中断期間に入ったJ1リーグ戦。
横浜FCは合宿前の小休止に入りました。
その休暇を利用して、キング・カズはアメリカにバカンスに出かけたそうです。
MLSの見学にも行くとのことで、保養先でもサッカーから離れられない人なんだなあ、と思いました。
そのカズ選手について書いた、過去の文章を見つけました。
4年前の03年に当時のブログに載せたものです。
「そこにカズがいるということ」でも書いたように、
抜群の存在感を発揮しているカズ選手ですが、このころは…。
今との状況の違い、そのなかに見える変らない「芯」のようなもの。
その対比が面白いな、と思ったので掲載したいと思います。
仮名遣いを変えた以外は原文のままです。
アマチュア時代の文章なので、お見苦しい点はご容赦を。
*********************
ドーハの悲劇。
93年10月28日。
それまでで日本がもっともW杯に近づいた日。
アジア予選最終戦、対イラク。
時計は後半の45分を回っている。
あと数10秒守りきれば、世界への切符が手に入る。
しかし、サッカーの神様はこうおっしゃった。
「日本にW杯はまだ早い」。
あれから10年。
サッカーの神様が与えた試練を乗り越えるかのように、日本サッカーは1段ぬかし、いや2、3段単位で階段を駆け上がってきた。
マイアミでブラジルを破ったアトランタ五輪。
悲劇を振り払ったジョホールバル。
そして、昨年の日韓大会での躍進。
ドーハでの出来事は遠い昔のおとぎ話になりつつある。
今は世界を意識するのは当然のこと。
そういう時代になったのだ。
だが、彼が帰ってきた当時はちがった。
ブラジルの名門・サントスでプロデビュー、キンゼ・デ・ジャウーを経ての読売サッカークラブ入団。
キングと呼ばれる男の凱旋だ。
彼の第一声は「日本をW杯に連れて行く」だった。
言葉通り、カズが代表の中心になるのにそう時間はかからなかった。
オフトジャパンの発足、Jリーグ開幕。
さらにはアジアチャンピオン。
風は吹いていた。
キングが日本を世界に連れて行ってくれる。
誰もがそう信じた。
だが、つかみかけた夢はすり抜けるようにこぼれ落ちていった。
ピッチにいた誰もが泣いた。
時代は流れ、みんな少しだけ歳をとった。
井原正巳、福田正博、北沢豪…。
キングとともに戦場に立った兵(つわもの)達が次々にスパイクを脱いでいく。
カズにも昔の面影はない。
最盛期のキレもパワーもなくなった。
点をとるのが当たり前だったころとはもうちがう。
最近ではベンチを外れることも多くなった。
それでもかつて日本の象徴だった男は死んでいない。
5月10の浦和戦。実に9か月ぶりの復活ゴール。
やっぱりカズにはゴールシーンがよく似合う。
36歳のベテランは衰えている。
たった一つの得点がニュースになってしまう。
以前なら考えられなかった。
“ブラジル人よりうまいウイング”であり、日本最高のストライカーだったのは過去のこと。
W杯の夢は叶いそうにもない。
それでも彼はピッチに向かう。
「フィジカルが強くなればまだよくなると思う。これからもがんばる」。
あくなき向上心とひたむきな姿勢。
頭には白髪が増えたけれど、サッカーへの情熱は今も変わらない。
日本で一番栄光の光を受け、同じくらい辛酸をなめてきた男。
サッカーの神様は、キングが王冠を脱ぐことを、未だ許していない。
横浜FCは合宿前の小休止に入りました。
その休暇を利用して、キング・カズはアメリカにバカンスに出かけたそうです。
MLSの見学にも行くとのことで、保養先でもサッカーから離れられない人なんだなあ、と思いました。
そのカズ選手について書いた、過去の文章を見つけました。
4年前の03年に当時のブログに載せたものです。
「そこにカズがいるということ」でも書いたように、
抜群の存在感を発揮しているカズ選手ですが、このころは…。
今との状況の違い、そのなかに見える変らない「芯」のようなもの。
その対比が面白いな、と思ったので掲載したいと思います。
仮名遣いを変えた以外は原文のままです。
アマチュア時代の文章なので、お見苦しい点はご容赦を。
*********************
ドーハの悲劇。
93年10月28日。
それまでで日本がもっともW杯に近づいた日。
アジア予選最終戦、対イラク。
時計は後半の45分を回っている。
あと数10秒守りきれば、世界への切符が手に入る。
しかし、サッカーの神様はこうおっしゃった。
「日本にW杯はまだ早い」。
あれから10年。
サッカーの神様が与えた試練を乗り越えるかのように、日本サッカーは1段ぬかし、いや2、3段単位で階段を駆け上がってきた。
マイアミでブラジルを破ったアトランタ五輪。
悲劇を振り払ったジョホールバル。
そして、昨年の日韓大会での躍進。
ドーハでの出来事は遠い昔のおとぎ話になりつつある。
今は世界を意識するのは当然のこと。
そういう時代になったのだ。
だが、彼が帰ってきた当時はちがった。
ブラジルの名門・サントスでプロデビュー、キンゼ・デ・ジャウーを経ての読売サッカークラブ入団。
キングと呼ばれる男の凱旋だ。
彼の第一声は「日本をW杯に連れて行く」だった。
言葉通り、カズが代表の中心になるのにそう時間はかからなかった。
オフトジャパンの発足、Jリーグ開幕。
さらにはアジアチャンピオン。
風は吹いていた。
キングが日本を世界に連れて行ってくれる。
誰もがそう信じた。
だが、つかみかけた夢はすり抜けるようにこぼれ落ちていった。
ピッチにいた誰もが泣いた。
時代は流れ、みんな少しだけ歳をとった。
井原正巳、福田正博、北沢豪…。
キングとともに戦場に立った兵(つわもの)達が次々にスパイクを脱いでいく。
カズにも昔の面影はない。
最盛期のキレもパワーもなくなった。
点をとるのが当たり前だったころとはもうちがう。
最近ではベンチを外れることも多くなった。
それでもかつて日本の象徴だった男は死んでいない。
5月10の浦和戦。実に9か月ぶりの復活ゴール。
やっぱりカズにはゴールシーンがよく似合う。
36歳のベテランは衰えている。
たった一つの得点がニュースになってしまう。
以前なら考えられなかった。
“ブラジル人よりうまいウイング”であり、日本最高のストライカーだったのは過去のこと。
W杯の夢は叶いそうにもない。
それでも彼はピッチに向かう。
「フィジカルが強くなればまだよくなると思う。これからもがんばる」。
あくなき向上心とひたむきな姿勢。
頭には白髪が増えたけれど、サッカーへの情熱は今も変わらない。
日本で一番栄光の光を受け、同じくらい辛酸をなめてきた男。
サッカーの神様は、キングが王冠を脱ぐことを、未だ許していない。