大分県議会議員・なかの哲朗です(^_^)

大分県議会議員の中野哲朗です。
誠心誠意、全身全霊をかけてがんばります👊

不採算部門を担う公的医療機関への考え方

2025-02-13 23:53:49 | 日記
令和7年2月13日(木曜日)

今日は終日、日田でした。
午前中は日田市役所の各部署で情報交換。午後は事務所などで意見交換。いろいろあります。

夜は、高瀬地区・大宮町の会合にご案内いただき、昨年6月、10月に続く3回目の県政報告の機会をいただきました。怒涛の4か月を報告し、前回いただいた宿題に回答しました。懇親会では、飲ミュニケーション。楽しい時間を過ごすことができました。



さて、今日の大分合同新聞に「県済生会日田病院 赤字10億円」という記事がありました。令和5年度決算で累積赤字が約10億4,400万円あり、慢性的な赤字体質からの脱出に向け、経営改善会議を設置するというものです。



最近、済生会日田病院の経営を捉えて、「慢性的な赤字体質」という言葉をしばしば耳にします。私は、この表現を用いるならば、日田市が済生会病院を誘致した経緯、開院後の運営、地域のニーズに応えて診療機能を拡大してきた背景などの正確な理解が必要だと考えます。

済生会日田病院は、日田市立の病院ではありません。医療法第31条に規定される公的医療機関です。「西部医療圏唯一の公的医療機関として、また、感染症指定医療機関をはじめ共同利用型病院、また二次救急医療機関、災害拠点病院など多くの公的な役割を担っていただいており、その存在意義は非常に大きなものだと認識している」というのは、私の日田市議会での質問に対する当時の原田市長の答弁です。

実際に済生会日田病院は、救急、へき地、がん診療、小児、災害、感染症など、多くの不採算部門(収入よりも支出が多く、採算が取れない状態)を担っています。日田での新型コロナウイルス感染症の対応は、医師会の協力に加えて、高い緊張感と強い使命感に裏打ちされた済生会病院の職員の速やかな行動が大きかったと思います。また、災害拠点病院として、DMAT(災害派遣医療チーム)を配備し、昨年1月に発生した能登半島の地震でも、出動実績があることは、多くの方がご存じのことでしょう。

不採算について、例えば、令和3年度の救急診療(小児を含む)を見ると、所要経費は1億3,934万6,000円。これに対する行政からの補助金は3,617万6,000円、診療収益は4,556万3,000円で、差し引きすると病院の負担は5,760万7,000円です。災害拠点病院としての施設整備も、非常に高額となっています。公的病院としての使命感や責任感を貫くことによって、経営的に厳しくなることは、何も済生会日田病院に限った話ではありませんが、こうした部分があることも、理解が必要だと思います。

済生会日田病院の収支状況は、令和以降、コロナ補助金の対象だった3年間(令和2~4年度)を除くと、令和元年度が1億724万5,000円の赤字、令和5年度が1億3,613万1,000円の赤字で、今年度は前年度よりもやや多い赤字が見込まれているようです。

経営改善という済生会日田病院自身の自助努力は、当然ながら必要です。同病院では昨年9月に今後3か年の経営改善計画を策定していることも、この際、あえてお知らせしたいと思います。その上で、済生会日田病院の果たしてきた役割等に触れることがないまま、決算だけを捉えて「慢性的な赤字体質」と表現することに、私は強い違和感を覚えます。

今後は、林田院長がコメントされたように「市民に必要な公的病院を維持するため」の協議が、日田市、大分県、日田市医師会、済生会日田病院との間で、円滑に進むことを期待しています。当事者ではない私には、その推移を見守ることしかできませんが、市議時代から取り組んできた課題に対して、紙幅の構成上、記事には書けなかったと思われる内容について、説明を加えたいと思いました。

ちなみに、国が、地域医療の生命線を担う公的病院を財政的に支援する仕組みを創設したのも、地域医療の提供体制を守ろうとする強い姿勢を示したものだと認識しています。


最新の画像もっと見る