僕が初めて勤めた会社に
北さんは集金員をしていました
造り酒屋のお坊ちゃんだと
人から聞いて
なぜ造り酒屋のお坊ちゃんが
集金員をしているのかは知らないままでしたが
なんとなくお坊ちゃんらしさを
感じる人でした
☆****☆
自分のとった契約を
なぜか僕に回してくれたり
よく飲みにも連れて行ってくれました
そんなある晩...
北さんと飲み屋街を歩いていると
道路で若い男が酔っ払いを殴っていました
僕は怖くて立ちすくんでいると
「こう言う奴がいるからこまったゃうんだよな。」
☆****☆
北さんは止めようとする僕を振り払い
若い男に近づいて行きました
見たことの無い赤鬼のような顔になると
大声でその男を怒鳴ったのです
若い男はびっくりして背を向けて去っていきました
「あんな奴、俺は怖くはねぇぞ。」
そう一言いうと
目がキラリと光った北さんでした