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消費税増税 新聞は税率軽減? 消費増税あおる大手5紙 転載したように同じ論調 /経団連の圧力

2012-01-16 | メディア権力汚染(マスゴミ)と赤旗
消費税増税 新聞は例外?  マスメディア時評

閉塞打開の道示せぬ年頭社説


 2012年幕開けの、全国紙などの社説に目を通しました。

 「朝日」は「新しい年も難問が続く」と書き出し、「読売」は「世界的に『危機』が常態化しつつある」と筆を起こします。「毎日」も「政治の問題解決能力が厳しく問われる」です。

いずれも閉塞(へいそく)感が強まっていることの反映でしょうが、ではその閉塞をどう打ち破るのか、新年らしい骨太の主張はどこにも見あたりません。

「翼賛」の本質変わりなし

 さすがに昨年のように各紙がこぞって日米同盟の強化や消費税の増税、環太平洋連携協定(TPP)への参加を政府に迫ったような露骨な「翼賛」的な論調は一見弱まったようにみえます。
しかし、論じるテーマ、主張する中身が似たり寄ったりで、結局は政府をけしかけるだけに終わっているのには変わりがありません。

 「難問が続く」と書き出した「朝日」がとりあげるのは、「戦後ずっと続いてきた『成長の時代』が、先進国ではいよいよ終わろうとしている」から、これからは「成長から成熟へ」社会を切り替えなければならないということです。
「成長が終わった」という論自体は、1970年代に2度にわたる石油ショックで戦後の「高度経済成長」が終わっていらい言い古されてきた議論で何の新味もなく、いまや何度目かの世界経済恐慌さえいわれるなかで「朝日」がまだそんな考えでいたのかと驚くほどです。

 実は「朝日」がわざわざその手あかにまみれた議論を持ち出したのは、新興国との競争のために「国をもっと開いて打って出(る)」とか、「将来世代」のことを考えて「社会保障と税の一体改革」を進めるとかの結論のためです。
何のことはない、昨年同様のTPP参加、消費税増税推進の論調です。この論調を「翼賛」と呼ばずなんと呼べばいいのか。

 「朝日」は昨年末、政府が「一体改革」案をようやくまとめたさいには、「豹変(ひょうへん)して進むしかない」(12月31日付)と最大限の表現で野田首相を持ち上げ、実行を迫りました。増税に苦しむ国民など眼中にありません。「翼賛」姿勢は露骨です。

 一方、世界的に「危機」が常態化しているとし、「政治が機能不全から脱却する必要がある」と主張する「読売」は、どんな政治を求めるのか。1ページの大半を費やした大型社説で「読売」が主張するのは結局、「消費税、沖縄、TPP、原発の各課題は、いずれも先送りできない」という結びの一言に尽きます。原発の再稼働もあからさまに要求しているところが「読売」らしいところですが、結局はこれまで同様、政府に悪政をけしかける主張です。

 同じように「政治の問題解決能力が厳しく問われる」という「毎日」があげるのも、税と社会保障の一体改革、TPP参加問題などです。
「毎日」は、「改革の中身が国民に新たな負担を求めるものであることを明確に(して)」、野田政権が「説明と説得」にあたれと主張します。1日付を論説委員長の恒例の論評にした「産経」も、3日付主張からは連日、TPP参加や集団自衛権行使容認の論を張っています。政府には言いにくい本音を、文字通り先取りするものです。

「二つの異常」打ち破れば

 全国紙をはじめマスメディアが、「アメリカ・財界使い走り」の野田佳彦政権がやろうとしていることに「翼賛」し、そればかりかもっとやれとけしかけるのでは、マスメディアの重要な機能である「権力の監視」役を果たすことはできません。お先棒を担ぐだけなら、言論機関の自殺行為です。そこには社会に向かって警鐘を鳴らす「木鐸(ぼくたく)」としてのジャーナリズムの姿はどこにもありません。

 政治も社会も閉塞状況にあるという日本の現状は、戦後長く続いた異常な対米従属と財界・大企業の横暴な支配という「二つの異常」を打ち破らない限り、自民党の政権でも民主党の政権でも、国民の暮らしも平和も守られないことをますます明らかにしています。閉塞を打開するには、まず、議論そのものが、この「閉塞」から抜け出す必要があります。

 日本国中に軍事基地網を張り巡らすアメリカの横暴な支配を打破すれば、沖縄の普天間基地といえば県内「移設」しかないというような行き詰まりは打開できます。財界・大企業に経済力にふさわしい負担を求めれば、消費税を増税しなくても、福祉を向上させる財源を確保することもできます。

 こうしたマスメディア状況の中、「二つの異常」を打開すれば困難も危機も抜け出せることを国民に明らかにし、「日本改革」の実現のために力を合わせる「しんぶん赤旗」の役割は、今年もいよいよ重大です。(宮坂一男)



いま メディアで 赤旗日刊紙2012・1・7

消費増税あおる大手5紙
 「各社ごとの社説いらぬ」の嘆き


 全国紙5紙は新年の紙面で野田内閣へ一刻も早い消費税増税を促す社説で足並みをそろえています。消費税増税論は全国紙5紙の従来からの立場ですが、野田内閣に対して、「愚をこれ以上繰り返してはならない」(朝日・1日付)、「(民主)党内はもとより国民を渾身の力で説得すべきである」(読売・5日付)など、もっと急げとけしかけているのが正月論調の特徴です。

 野田佳彦首相が4日の年頭記者会見で「ネバー、ネバー、ネバー、ネバーギブアップ」(決してあきらめない)と消費税増税で正面突破する固い決意を示したのも大手メディアの後押しがあるためです。


論調読み返す

 大手紙の年頭論調を読み返してみます。
 「取り組むべきは、社会保障と税の一体改革を実現させて、成熟社会の基盤をつくることだ。・・・増税や政府支出のカットはつらい。・・・甘受しなくてはいけない」(朝日・1日付)。

 「今年の通常国会最大の懸案である一体改革だ。消費税率を引きあげ、・・・この改革の必要性については、私たちもこの欄で何度も訴えてきた」(毎日・1日付)

 「首相は、・・・社会保障制度を持続可能にするには、消費税引き上げによるしかないことを、国民に丁寧に説明し、理解を求めてもらいたい」(読売・1日付)

 「消費税増税への道筋をつける動きが本格化してきたことは評価すべきであろう」(日経・5日付)

 「社会保障の安定財源を確保する上で消費税増税は避けられず、党派を超えた課題といえる」(産経・5日付)

転載した方が

 全国紙5紙は、財源不足→社会保障が破たん→消費税増税は避けられない、との政府・財界の論理にまるまる乗る点で立場を共有しています。財源不足というなら大企業・財界への減税圧縮や応分の負担を求める、歳出の浪費をやめる―などこそ指摘すべきですが、そのことに触れない点でも共通しています。

 「これでは各社ごとの社説はいらない。社説配信会社をつくって同じ社説を各紙が転載した方がまだ分かりやすい」(元朝日新聞論説委員)。社説を執筆していたOB記者の嘆き節も聞かれます。

新聞は例外?

 全国紙5紙は、そもそも、それほど声高に消費税増税を主張できる立場なのか。

 秋山耿太郎日本新聞協会長(朝日新聞社長)は、新聞業界機関紙「新聞協会報」(2012年1月1日)の年頭挨拶で、消費税率の引き上げへの対応について「新聞は『民主主義や文化の発展を支える公共財』であり、国民生活に欠かせない情報源であることを訴え、・・・軽減税率が適用されるよう求め、粘り強い取り組みを続けていきます』」と述べています。

 昨年10月の新聞大会で喜多恒雄・同協会税制対策特別委員長(日本経済新聞社長)も、「将来的に消費税が増税されることは間違いありません。新聞協会として軽減税率を強く求めていきたい」。

 消費税増税を認めた上で新聞については例外的に税率軽減の適用を求めています。
 「自分さえよければ」の主張は、「社会の木鐸(ぼくたく)」といわれてきた新聞ジャーナリズムとも思えない自分勝手な言い分です。
 読者や国民に消費税増税の必要性を説くよりも「省みて自らを説明する」ことこそ全国紙5紙に求められています。


消費増税「一歩前進」/一体改革で経団連会長

経団連の米倉弘昌会長は5日、都内で開いた経済3団体首脳の共同記者会見で、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革大綱素案について、「一歩前進だ。日本が財政健全化に向けて頑張るというメッセージを市場に伝えられる」と評価した。

診療報酬や介護報酬の適正化など社会保障給付の効率化に関しては「もっと踏み込んでもらいたい」とあらためて注文。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は「世代間の(負担の)格差にメスを入れておらず、改革に値しない」と批判した。

景気見通しについて、米倉会長は「行き過ぎた円高で日本企業の競争力は低下している。企業の先行きは難しい」と述べ、厳しい経営環境が続くと指摘。日本商工会議所の岡村正会頭は、低迷する東京株式市場の日経平均株価(225種)が「1万2,000円まで上がってほしい」と期待を込めた。

(共同通信)
2012年1月5日

経済3団体共催2012年新年祝賀パーティ後の共同会見における米倉会長発言要旨

2012年1月5日
(社)日本経済団体連合会
【日本経済の見通し】

2012年は、復興が本格化し、公共投資が加速する。これが日本の景気を力強く下支えしていくと思う。他方、行き過ぎた円高が輸出企業の国際競争力を低下させることを懸念する。また、日本の輸出先である米国、欧州、新興国の経済が減速しつつある。欧州の金融市場等の先行きに不透明感もある。その中で、企業はまだ設備投資に踏み切れない厳しい状況ではあるが、イノベーションを通じて新たな市場を創出し、民主導の経済成長を実現していかなくてはならない。

【2012年の最優先課題について】

震災からの早期復興が最重要課題である。復興庁、復興特区の具体化と予算の早期執行が必要である。
政府には、成長への大きなうねりをつくってほしい。
第一に、大胆な制度改革、規制改革を通じ、新たな市場や需要を生み出してほしい。

第二に、2020年のFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)完成を目指し、TPPをはじめとする経済連携協定の締結を一層進めてほしい。第三に、社会保障と税の一体改革を着実に推進してほしい。消費税の引き上げ時期、引き上げ幅が素案に盛り込まれたことは、一歩前進である。持続可能な社会保障制度を構築するためには、給付の効率化、重点化を一層進める方向で改革を進めてもらいたい。総理就任から今日まで、成長と財政の健全化は車の両輪という考え方にぶれはない。本日のパーティでのメッセージにもそれが貫かれていた。大変心強い。


肥田舜太郎が福島第1原発事故での被曝について語る 誰も責任取らない / 国民投票制度

2012-01-10 | 原発利益共同体 ・ 軍事体制
肥田舜太郎が福島第1原発事故での被曝について語る



 政治家・官僚・電力会社・メガバンク・原発メーカー・ゼネコン・素材、資材メーカー、それにぶら下がるその他のメーカー・ウラン購入商社・マスメディア・・・。

 「大勢順応主義、集団帰属意識が基では、この原発事故も教訓にさえならないでしょう。
放射能まみれの国土を子どもや孫たちに押し付けておいて、「あなた達に未来を託した」なんて、子どもたちの目を見て言えますか。」・・言えないですにゃ。

現実を直視し、原因と課題を考え行動に移さないといけないですにゃ。

 というわけで、都民投票を求める署名活動人というのをしますかにゃ。
 国民投票制度というのが、原発に限らず大事な法案に適用されると、国民の参加意識が高まるのににゃ。

 それなら、自らが入れた党の疑わしいマニフェストを見直すきっかけも増えるし、いきなり共産党に投票する人は少なくても、民意は反映されていく。



http://www.acsir.org/hida_shuntaro.php

 ↑肥田舜太郎氏のページより、↓
 
筆者の経験に寄れば、啓蒙を必用とする課題は

1.放射線そのものについて
2.外部被曝、内部被曝の意味
3.自然放射線にたいする人間の持つ免疫能力
4.人工放射線{核兵器の爆発、原子力発電所で作られる」と人間との関係

5.放射線被曝による被害の治療法はなく、薬も注射も効果はないこと
6.放射線被害にたいしては被曝した個人が自分の生命力の力と生活の仕方で病気の発病を予防し、放射線と闘って生きる以外にないこと。

7.放射線の出ている原発から出来るだけ遠くへ移住し、また放射線で汚染された食物や水を飲んだり食べたりしないことと言われるが、それが出来る人にはよいことだが出来な人はどうするかが極めて大事なことで、この問題にどう答えるのかが、この問題の最重要課題である。

日本軍「慰安婦」問題  政府犯罪に償いを

2012-01-09 | 海外通信/外交/平和運動

日本軍「慰安婦」問題

 戦時中、日本軍は、侵略した朝鮮半島、中国、東南アジアなどの地域に設置した「慰安所」で、連れてきた女性たちを奴隷状態に置き、兵士らとの性行為を強要しました。被害者の数は数万人から20万人と言われています。

 韓国の元「慰安婦」が初めて名乗りをあげてから20年がたちました。昨年末の日韓首脳会談で李明博(イ・ミョンバク)大統領は、「慰安婦」問題の解決を野田佳彦首相に要求しましたが、野田首相は、「問題は決着済み」として拒絶しました。問題解決には何が求められているのか、長年、「慰安婦」訴訟に関わってきた大森典子弁護士に聞きました。

日本は法的責任負う

 日韓首脳会談などを通じ、「慰安婦」問題が改めて世間の関心をよんでいます。しかし、マスコミ報道も含め、日本国民の間に歴史的事実がしっかり理解されていないと痛感しています。
 
政府による犯罪

 「戦時中、日本軍は強制的に女性たちを連行していない、その証拠はないから責任はない」と日本政府は問題をすりかえて主張します。しかし、軍中央が「慰安所」制度をつくり、女性たちを兵士にあてがったのですから、そこに女性らを連行した態様が官憲による強制か、民間人を使ったかで日本政府の責任が変わるものではありません。
 戦時では性暴力はつきものだ、という意見も一部ありますが、日本軍が組織的に慰安所を設けていたことと一兵士が女性に乱暴するという問題とは性質が違います。

 「慰安所」に女性たちを事実上監禁し、多いときは1日に何十回も兵士の相手を強要することは、女性を人として扱わない、女性の尊厳を根底から奪う行為です。著しく人権を侵害する凄惨な犯罪行為が政府によって行われたのです。国連の各委員会、国際労働機関(ILO)がこれまで、日本政府に対し、被害者の訴追、謝罪と補償などを求める勧告を幾度も出し、米国、オランダ、カナダの3ヵ国と欧州連合(EU)の議会が謝罪や補償を求める決議をあげました。戦時下における性暴力を二度と繰り返さないための努力を続ける国際社会が、日本政府の責任逃れは許さないという姿勢を示したものです。

協議応じる義務

 韓国の憲法裁判所は昨年8月30日、「慰安婦」の損害賠償請求をめぐる日韓両政府の解釈上の違い(紛争)について、韓国政府が請求権協定に定める手続きをとってこなかったのは違憲であるとの決定を下しました。日韓両政府は1965年に、日韓基本条約と請求権協定を締結しました。韓国側は、そこにいたる外交交渉の文書を2005年に公開し、協定で放棄した請求権には、日本政府が関与した反人道的不法行為である「慰安婦」問題は含まれないという立場を明確にしました。そして憲法裁判所の決定と首脳会談での大統領の解決要求となったわけです。

 これに対して野田首相は、65年の請求権協定で、韓国側はすべての個人の賠償請求権を放棄したとの解釈から、「決着済み」だと述べています。しかし、この協定の3条1項は、日韓両国に解釈上の違いがある場合、「外交的に解決する」ことを明記しています。
 韓国憲法裁の決定はこの3条に基づく手続きを取ることを要求し、韓国政府は9月と11月に日本政府に対し、文書で協議に応じるよう求めました。日本側はそれに応える条約上の責務を負っているのです。


政府の謝罪・補償が基本

 日本政府は1993年、「慰安婦」調査を行い、その結果を受けて河野洋平官房長官談話を発表しました。「慰安所」の設置、管理及び「慰安婦」の移送については日本軍が直接、間接的に関与していたと断定し、「慰安婦」の募集についても、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、「官憲等が直接これに関与したこともあった」と日本軍の関与を認めました。その後、首相を務めた安倍晋三氏はじめ、一部の政治家は、この談話を激しく攻撃し、それに逆行する姿勢を示しました。

「償いといえぬ」

 村山政権時の95年に、被害者に「償い金」を支払う「アジア女性基金」が設立され(07年に解散)ました。しかし、これをもって補償は終わったというわけではないのです。基金は政府として償うお金ではなく、法的にも道義的にも日本政府の責任を明確にしていません。民間の基金で、国民に寄付を募り、そのお金を「償い金」として被害者に渡していたものです。「償いとはいえない」「金を払えばいいのか」と多くの被害者は怒り、韓国の234人の元「慰安婦」のうち、当初これを公に受け取った被害者はわずか7人です。その後、最終的に韓国で何人が受け取ったかは公にされていません。

 戦後66年がたち、被害者は80歳以上になり、存命する元「慰安婦」は、韓国で登録された234人のうちでは63人になりました。中国やフィリピンなど、他の国でも同じように亡くなる方が相次いでいます。認知症になった方もいます。彼女らにとって残された時間はわずかで切迫しています。生きていることの意味があったと思える瞬間がないまま彼女たちが亡くなることは許しがたいことです。

 「慰安婦」たちによるソウルの日本大使館前での水曜デモも1000回を超えました。少女像(平和の碑)が設置されたことで、野田佳彦首相は昨年末の日韓首脳会談でその撤去を求めました。日本側がきちんとした問題の解決をしないから少女像を建てられたということを理解しないで外交の場で撤去要求するのは恥ずかしいことです。

法的責任は明確

 野田首相は、「法的に解決済み」「人道的な立場で努力」といいますが、ジュネーブ条約は、非人道的な行為に基づく賠償請求権の放棄は認めない、免責はないというのが基本的な立場です。日本に法的な責任があるのは明確です。まず日本政府は、韓国から求められている請求権協定3条(解釈の違いがある場合の外交的解決)に基づく2国間交渉に速やかに応じ、さらにこの問題の最終的な解決である被害者への謝罪と補償を行う姿勢に立つべきです。これが基本中の基本です。

(おわり)

「慰安婦」問題をめぐるこれまでの動き

91年 8月 韓国で被害者が初めて名乗りをあげ、その後日本政府を相手に提訴
      12月 日本政府が調査を開始
92年 9月 フィリピンの被害者も名乗り出て、その後提訴
93年 8月 河野洋平官房長官が「あわびと反省の気持ち」表明の談話発表
94年 1月 オランダ人被害者が提訴
95年 7月 アジア女性基金発足(07年3月に解散)
    8月 中国人被害者が提訴
96年 1月 クマラスワミ国連人権委員会「女性への暴力」特別報道官が「慰安婦」問題で日本政府は謝罪と補償を行うべきだとの報告書提出
    3月 国際労働機関(ILO)専門家委員会が「慰安婦」は強制労働条約違反だと日本政府に勧告(以降、数次にわたり勧告)
98年 4月 山口地裁下関支部が立法不作為で国に慰謝料支払い命じる
    8月 マクドゥーガル国連人権委員会特別報道官が「慰安婦」問題で法的責任と責任者の処罰を含む報告書提出
99年 8月 国連人権小委員会が武力紛争下の性暴力に関して、個人請求権と国家責任は条約や2国間協定で消滅しないと決議
01年 3月 参議院に「戦時性的強制被害者問題の解決促進に関する法律案」が日本共産党、民主党、社民党により共同提出
   12月 オランダ・ハーグで女性国際戦犯法廷最終判決。天皇を最高責任者とする日本軍の組織的犯罪と認定
07年 7月 米議会下院「慰安婦」決議採択
   11月 オランダ議会下院「慰安婦」決議採択。カナダ議会下院でも決議採択
   12月 欧州議会で「慰安婦」決議採択
11年 8月 韓国憲法裁、韓国政府が請求権協定の規定に基づく解決のための手続きをとらないのは違憲と決定
   12月 日本大使館前の水曜デモ1000回目。平和の碑建立。日韓首脳会談で李大統領が「慰安婦」問題解決を要求

 ~しんぶん赤旗1月分より~

西松 中国人強制連行 消息判明 100人超す

2012-01-09 | 海外通信/外交/平和運動
 西松 中国人強制連行 信濃川

進む調査・救済

消息判明 100人超す


 第2次世界大戦末期に中国河北省、山東省などから中国人183人を強制連行し、新潟県十日町市の信濃川発電所建設工事で働かせた西松建設は、2010年4月、被害者と和解しました。謝罪し、被害者全員の救済へ「西松信濃川平和基金」をつくりました。基金による被害者・遺族調査で、判明していなかった人の消息が明らかになっています。

 同平和基金管理運営委員会の委員である中国人強制連行・強制労働弁護団団長の高橋融(とおる)弁護士は、「10年1月から5月にかけて集中的に被害者の調査が進められました。まだ調査は続けられていますが、100人を超す人たちの状況が明らかになりました」といいます。

70人に補償金

 被害者・遺族への補償金交付は同年8月から始まりました。基金の管理の実務を引き受けている中国人権発展基金会副秘書長の劉庶k(わい)さんが、遼寧省瀋陽市に住む被害者の許同友さん(85)を訪ねて、約65万円を手渡したのが第1号で、70人以上の被害者・遺族に交付されています。
 高橋弁護士は、「補償金を受け取った遺族は、父親から大変な目にあったと聞いていたけれども、こういうふうに持ってきてくれたと喜んでいたという報告を受けました」といいます。

 調査は、西松建設が戦後、外務省に提出した「事業場報告書」の名簿と被害者の情報をもとに進められました。
 名簿は、60数年前のもので字がぼやけているところもあり、名簿作成時の聞き違い、家族に累が及ぶのを恐れて名前を変えている者もあります。中国の行政区画は当時と大きく変わっており、該当すると思われる各県の民政局に問い合わせましたが、ほとんど成果はありませんでした。

語れぬ歴史
 調査員らは、被害者がいると思われる村まで行って、手がかりを探しました。
 「基金会の若い2人は、陝西(せんせい)省に赴いて11の村を訪ねたが1人も見つからなかった。名簿の判読できなかった地名をもう一度見直し、その村に行ってやっと見つけた。ところが、被害者の長男は、父親は日本に行ったことはないと否定した。日本へ強制連行されたというのは、中国では『はっきり語れぬ歴史』とされるので、トラブルを避けるため自分の息子にさえ、この歴史を隠すことは十分にありえる」と報告書は述べています。
 調査ではおよそ160の村を訪ね歩き、102人を探し当てたといいます。

真実知る 貴重な話

 信濃川平和基金管理運営委員の高橋融(とおる)弁護士は、「今回の被害者調査で、強制連行・強制労働の実態が新たに分かったということはあまりないようです。残念ながら、健在である被害者は数名しかおられず、直接、体験をお聞きすることができなくなっています」といいます。
 
激しく泣いて

 しかし、被害者の家族が調査員に話した日本軍に捕まったときの様子や、父親から聞いた日本での体験などは、強制連行の真実を知るうえで貴重です。
 被害者・李占祥さんの妻は調査員に会うと、激しく泣きだしました。日本軍は民兵隊長である夫を捕まえるために、先に自分を捕まえて拷問したため、夫は日本軍の前に出て行って捕まったということでした。

 20歳のときに日本に連行された平満倉さんは、衣食も満足にもらえない過酷な環境で重労働をさせられました。同い年の劉徳修さんが寒さと飢え、疲れで両目を失明したため、毎日の労働には、平さんが彼を背負って工事現場まで連れて行きました。こうして劉さんは辛うじて、一日一日を生き延びました。

 名簿に記載されている「李林栄」については、名簿に記載された村では知っている人はいませんでした。ただ村史には彼の名前があり、祖国に帰還した後、1947年の戦闘で犠牲になったことが記録されていました。
 調査報告書はいいます。「中国北方の大部分の農村地域ではかつて戸籍制度が存在せず、多くの地方で村史や宗族史もないため、6,70年も前に故郷を離れて二度と戻ってこなかった人については、探すことが大変困難です。人々の記憶から消えたのだから」

 被害者・遺族の多くは、農村に住んでいます。中国の農村の多くはまだ交通の便がなく、調査員らは、村から村に移動するとき、安全とはいえないオート三輪に乗せてもらったこともあるといいます。
 「調査にあたったのは中国人権発展基金会の事務方が委託した50代、60代の4人の女性です。大変困難な調査だったと聞いています。その困難を突破し、調査を進めてくれたことを私たちも喜んでいます」と高橋弁護士。

被害者多くに

 調査では、被害者らがわずか数ヵ月や1年余り、日本で奴隷労働させられたことで、多くの人が命を失わずとも体はボロボロになり、労働力をなくしたことが明らかになりました。また、帰国して間もなく死亡した人も数人いました。
 「今後も新しい手がかりを探し出し、できるだけ多くの被害者を探し当てて、西松建設による謝罪と補償を本人あるいは遺族の手に渡せるようにしていく。これをもって人類社会の正義と人権が明らかに示されるように」と報告書は結んでいます。

裁判・15回の交渉で

 新潟県十日町市の信濃川工事事務所に連行された中国人は、1944年6月と8月に中国・天津市の塘枯(とうこ)港で貨物船に乗せられ日本に来ました。信濃川では、つるはしとスコップでトンネルや川を掘り、手押し車やトロッコで土を運び、堤防を築くことや水力発電の基礎工事を行いました。
 45年1月に長野県王滝村の間(はざま)組御岳作業所に異動になり、トンネル工事に従事。さらに同年6月には同県信濃町柏原の間組戸寿(とす)作業所で、鉄鉱採掘をさせられました。同年12月に祖国に帰還しました。

何回も骨拾い

 信濃川の被害者のたたかいは、97年9月、企業10社と国を相手に提訴した東京第2次訴訟に参加したことからはじまりました。
 原告らは裁判で次のように陳述し、謝罪と補償を訴えました。
 「作業中、壁とトロッコの間に人差し指が挟まれ、指を切断する事故に遭いました。治療を求めても『医者も薬もない』と言われて、なんの治療も受けることはできませんでした」(郭真さん)
 「食事は、黒パンやぬか入りの米のご飯だった。ひもじくて耐えられない時はニレの葉やクワの葉を盗んで食べた」(李恕さん)

 「日本人の人夫頭は私に死体を焼くのを手伝わせた。何十回も骨を拾いました。拾った骨は私たちの寝起きしている宿舎の片隅に置きました」(韓英林さん)
 東京高裁は2006年6月、「強制連行はなかった」とする企業の主張を退け、「平穏な暮らしをしていた原告らが突然、強制的に異国に連行され、極めて劣悪な環境の下で過酷な労働に従事させられたというものであって、これらの行為は強く非難されるべき非人道的な行為というべきものである」と断じました。また、被害者ごとに強制連行と強制労働の事実を認定し、国と企業の不法行為、企業の安全配慮義務違反を認めましたが、時効と請求期間が過ぎているという除斥で請求を棄却しました。

来日80人要請

 同年10月、中国の被害者たち約80人が来日し、政府、各政党、企業にたいし解決を要請しました。信濃川の被害者も西松建設に赴いて、要請しました。
 信濃川の被害者が参加した東京第2次訴訟に関わった森田太三弁護士は、「最高裁は07年4月、西松安野案件で請求を棄却し、続いて6月に西松信濃川案件も請求を棄却しました。この最高裁判決後の7月、弁護団は西松建設に解決の要請を行いました。こうした経過を踏まえて、09年5月に和解交渉が始まり、15回の交渉をへて和解が実現しました」と振り返ります。今後、全面解決に向け、三菱マテリアルをはじめ、関係企業との交渉や国への働きかけを進めることが重要になっていると語りました。

(おわり)

赤旗日刊紙2011年12月24~26日号。

TPP、不安定雇用、原発・・・、すべてに安保が・・・

2012-01-05 | 海外通信/外交/平和運動
TPP、不安定雇用、原発・・・、すべてに安保が・・・

1951年、日本は米国と「安保条約」を結び、1960年に「改定」されました。旧条約は全5条、新条約は全10条の短いものですが、そこでは、実は日本国憲法とは全く対立する約束がされています。
 その安保にしばられて進められている政治は、今日では安保条約の条文上の約束にさえ大きく逸脱したものとなっており、「日米同盟」と呼びかえられています。


民主党の政策転換の背後に

 「壊国」「亡国」「日本農業を、いや、日本の国そのものを滅ぼす」「米国の罠」などと究極の言葉で保守的な方々からまで批判されている環太平洋経済連携協定(TPP)に、野田首相は既定方針どおり参加を表明しました。
 なぜ?TPPへの参加も安保の約束にしばられているからです。

 半世紀をこえ安保条約を国是あつかいにして政治を続けてきた自民党政権は、安保政治が生み出した貧困と格差、ひきつづく社会保障の改悪、国民生活全般の悪化という事実に怒った国民によって政権から追放されました。

 「国民の生活が第一」のスローガンで誕生した民主党政権の鳩山首相は、誕生直後の09年9月24日、国連総会に出席。そこで「FTA、金融、通貨、エネルギー、環境、災害救援などできる分野から、協力し合えるパートナー同志が一歩一歩、努力を積み重ねることの延長線上に、東アジア共同体が姿をあらわすことを期待します」と、東アジア重視の新しい日本外交の方向を表明しました。

 驚いた米国は、同年11月14日、横浜で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にオバマ大統領をおくり、次のように演説させます。「米国は、広範囲にわたる締結国が参加し、21世紀の通商政策にふさわしい高い水準をそなえた地域合意を形成するという目標をもって、環太平洋経済連携協定(TPP)諸国と関与していく」と。
 ここには明らかに、日米間に「国際経済政策におけるくい違い」(安保条約第二条)があります。

 このくいちがいをめぐって、何がおきたでしょうか。
 内外の安保政治推進勢力による鳩山つぶしが進められました。後をついだ菅首相は「東アジア共同体路線」を受け継ぐと所信表明(2010年6月11日)。ところが、舌の根もかわかぬ1週間後に閣議決定した『新成長戦略』では、TPPに加盟して、TPPをアジア太平洋自由貿易圏に広げていくと、政策転換しました。

この立場は、2010年4月に発表された『経団連成長戦略2010』と同じ立場であるとともに、APEC横浜会議でのオバマ演説をうけて、米国の立場を受け入れたものです。菅首相は消費税引き上げを口にして惨敗した参院選直後の施政方針演説で「第3の開国」と位置づけて、「TPPへの参加」を国会で表明しました。

 なぜ、日本の政治はこのように豹変するのでしょうか。日米安保にしばられているからです。現行の新安保条約第二条では次のような約束がさせられています。

 ~日米安全保障条約 第二条~
 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに務め、また、両国の間の経済的協力を促進する。

「締約国はその国際経済政策における食い違いを除くことに務め、また、両国の間の経済的協力を促進する」
 「東アジア共同体づくり」と「環太平洋経済圏づくり」。明らかに「その国際経済政策におけるくい違い」が日米側にありました。しかし、それを「除くこと」が安保条約で求められているのです。


 その上、新安保条約第四条では、

 ~日米安全保障条約 第四条~
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。

「この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する」と約束されています。この間、日米間で密かに「随時協議」が行われ、その結論にそって日本政府は態度を変えたのです。

 日本は、国と国民にとって重大なことを独自に決定できないような屈辱的、対米従属的な取り決めを安保でしているのです。日本国憲法前文の「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立つ」つという条項にまったく反する条約、それが日米安全保障条約なのです


日本政府の政策を指示・点検

 08年9月、リーマンブラザーズ(投資銀行)の倒産によって引き起こされた世界同時不況で、日本で進められていた正規雇用労働者の非正規化・不安的雇用化が、年越し派遣村として表面化し、大きな社会問題となりました。

 この不安定雇用を生み出した原因は、日経連(当時)が1995年5月に発表した提言・「新時代の『日本的経営』」にそって進められた雇用の3グループ化だと解説されますが、そこにも安保の影があります。

 提言のでた1995年が、なぜ、「新時代」なのでしょうか。「新時代」は、いつから始まったのでしょうか。
 1991年12月、ソ連邦が崩壊し、「冷戦」に勝利したと宣言した時から支配者階級は、「新時代」と考えているのです。米国は唯一の超大国としてアメリカ型資本主義をグローバル化(地球規模)させるため、その後17年間、独善的に振舞いました
 日本に対しては安保をテコにして、アメリカ型資本主義、アメリカ的社会に日本を「構造改革」するための干渉を強めました。

 たとえば、橋本内閣の進めた「金融改革」、大規模小売店舗法の廃止(アメリカのおもちゃ会社「トイザらス」の日本進出)。さらに、小泉内閣の進めた「構造改革」―郵政民営化法の成立、製造業で派遣労働をおこなって良いとした派遣の自由化などです。この派遣の自由化がいかに労働者の雇用と生活を壊したかを示したのが年越し派遣村でした。

 これら日本政府の諸「改革」を背後から指示していたのが、1994年から2008年まで毎年出されていた「年次改革要望書」という公式文書です。
 日本社会を「このように『構造改革』しろ」と、秋に要望書を日本に渡し、翌春、進行状況を点検して米国議会に提出する。こんなことが15年間もおこなわれていました。

 こういうことをマスコミはほとんど取り上げません。小泉内閣の進めた郵政民営化がアメリカの要求に基づくことを指摘した政治評論家は、テレビに出演できなくなりました。あらゆることを徹底的に調べあげ文章を書いた井上ひさしさんさえ「年次改革要望書」を知り「驚きのあまりしばらく息が止まってしまいました」(『ふふふふ』講談社)というほどマスコミ対策もとられて、安保条約第二条の『両国の間の経済協力』は「促進」されているのです。
 

原発・エネルギーも米国依存

 福島の東電第一原発の事故も、安保がからみついています。
 自国の産業エネルギーをどう確保するかは、食料の確保とともに、国にとって一番大切な政策課題の一つです。エネルギーがなければ産業は立ち行きませんし、食料がなければ、文字通り、食っていけないのですから。

 かつて日本は、水力発電と日本の大地から掘り出される石炭を使う火力発電で産業エネルギー電力を確保していました。
 しかし、1960年、安保条約が改定され、先に紹介した経済協力条項(第二条)が約束されたとたんに、石炭よりも中東から米国がらみで輸入する石油の方が安くて効果的と圧力がかかり、石油を使う火力発電に転じていきました。60年当時、58%であったエネルギー自給率は、70年には15%、08年には4%(原子力を含めると18%)へと激減します。

 石油コンビナートづくりで日本列島各地で海が埋め立てられ、公害列島化しました。炭鉱労働者は廃坑のため失業しました(三井三池炭鉱の閉山反対闘争がたたかわれました)。
 ところが、1970年代に二度も石油危機がおき、石油の値段が高騰します。

 米国はそれをチャンスと見て、原子爆弾をつくるために生成した濃縮ウランのあまりを米国の独占的商品として商売するために、ウランを燃料とする原子力発電を日本に売り込んだのです。日本の産業エネルギーの米国への依存が、安保条約の経済条項をテコに深まるなかで、福島の原発事故は起きたのです。

 安全神話に騙されていたことに気づき、「日米原子力協定」を再分析した結果、日米安保条約を解消させないため、日本が条約廃棄を安保条約十条の規定にそって通告した際には、「米国は日本にウランの供給を止める」という秘密協約まであることが暴露されました。
 ~日米安全保障条約 第十条~
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もっとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができその場合には、この条約は、そのような通告が行われた後一年で終了する。


旧安保から60年、あなたは?

 TPPへの加入は(国のあり方全体を変えるものですが)、食料自給率の激減をもたらし、食糧はよりいっそう対米従属させられます。
 食糧、不安定雇用化の重大な原因である派遣労働、さらに産業エネルギー。これらを合わせてとらえると、日米安保条約は、米軍基地や自衛隊の海外協力など憲法九条に違反する軍事問題だけに関わるものではなく、労働者の雇用問題をふくむ労働基本権、国の食糧主権、エネルギー主権まで侵害する条約といえます。

 働いて生きるという人間生活の根本が、安保条約にしばられた政治によって、「構造改革」「規制緩和」され、安心して働けなくなり、安定した生活設計が奪われました。そのため、結婚できない、結婚しても子どもを産まない、産めないという状況のなかで、日本は人口の減る国となっています。

 働いて生きるという人間生活の根本が侵されたため、1997年以来、賃金は下がりつづけ、そのために国内総生産(GDP)の6割を占める国民の消費活動、内需が低迷。売れないからと、企業は海外移転。国内の労働者のさらなる失業増は、さらに賃金を引き下げ、内需を狭めるという悪循環をつくり、日本は主要国で唯一GDPが10年以上も頭打ちの国になっています。

 さらに、GDPとともに国の経済規模をしめす「国富」(政府と民間を合わせた国全体の資産)さえ減少しています。
 日本は中国と肩をならべて米国債を8000億ドルほども購入・所有しています(2010年2月米財務省発表)。
 今進行している異常円高のもとで、1ドル=100円なら日本円で80兆円だった米国債は1ドル=70円では56兆円です。ドル表示では同額でも日本円に直すと日本国が所有する米国債は30円の円高で24兆円も目減りしたことになりませんか。1円の円高でなんと8000億円の損失です。

 大企業は「1円の円高で○○億円の損失」と宣伝し、労働者の要求をおさえ、我慢を強要していますが、円高で一番富を失っているのは、日本国の国富です。ではなぜ、米国債を買うのでしょうか。それは、安保条約の経済条項にしばられているからです。


 リーマンブラザーズの倒産、ゼネラルモーターズの倒産、国有化は、「新時代」が来たとこの間進められたアメリカ型資本主義・アメリカ的国づくりが誤っていたことを、全世界に示しました。北アフリカでも中南米でも、新しい政治を求めて、人々は立ち上がっています。「ウォール街占拠」が全米に、全西欧に広がっています。

 私たちも長年つづいた自民党政権を倒し、政権交代を実現しましたが、民主党政権は旧来の安保政治推進勢力にからみつかれ、私たちの期待にこたえる立場を放棄しています。

 国全体がしぼんでいく状況で、労働者の生活水準の維持・向上は望めません。
 今こそ、私たちの生活不安、貧困と格差、日本社会の困難の原因を、しっかりと見極めることが大切です。

 今日の日本に求められているのは、安保条約にしばられたまま「政権交代」ではなく、日本国憲法の精神と条文に基づく政治の実現をめざす「政策交代をともなう政権交代」を実現することではないでしょうか。
 新年の4月28日、私たち日本国民は、旧安保条約発効60年をむかえます。あなたは、この日をどうむかえますか。

(しんたに・よしゆき/神奈川県学習協会副会長)

【365日働くルール】一人でも誰でも入れる労働組合・地域労組おおさか青年部

2012-01-03 | 哀 / 労働問題 
【365日働くルール】

新年明けましておめでとうございます。今年も365日欠かさず配信しますよ。
みなさんの働く職場の悩みに関する基礎知識を提供し続けます。新年一発目は対処療法ではなく、恒久的な労働問題の解決に取り組むために欠かせない労働組合についてです。

Q:労働組合(ユニオン)に入るメリットは何ですか?
A:2つの権利を手にして、会社側と対等に交渉することができます。

★【解説】
残業代がでない、有給が取れない、違法行為をさせられる、社会保険に入れていない、不当に解雇されたという明確な違法行為だったとしても、「会社に要望が通るとは思えない」から「要求しない」がフツーになってしまっています。それは個人と会社との力関係の「差」を実感しているからですね。
労働組合はその力関係を対等にする、もしくは対等にする可能性が最大化する組織です。
それが、団体交渉権(会社が交渉に誠実に対応しなければ、それそのものが違法になる)や団体行動権(会社の不誠実な対応に対して抗議宣伝やストライキをすることができる)の2つの権利です。これらの権利を使って日本全国で「法律を守る正直者がバカをみる」社会を変えて行きましょう。

そして、ぜひ今年は一度真剣に労働組合へのご加入を検討ください。何かあってからではなく、根本的な改善を勝ち取らなければブラック企業は増える一方です。みんなが少しずつ知恵やアイデア、参加をすることが必要です。そしてその過程はすごく楽しく、おもしろい過程だと思っています。「どうすればブラック企業を減らせるか?」「どうすれば自分の会社はもっとよくなるか?」「どうすれば偽装製品を作る会社を変えられるか?」「どうすればやりがいをもって仕事ができるか?」テーマは尽きないですね。
自己啓発本を読んで考え方を変えることもいいかも知れません。でも考え方を変えるだけではどうにもならない現実に向きあうことはもっと大事ですよね。
ぜひ気軽に相談・参加してみてくださいね。

★【関係する法律】
憲法第28条(団結権、団体交渉権、団体行動権)
労働組合法7条(労働組合の活動を強く保障)

★【労働組合から一言】
私たち地域労組おおさか青年部は、これまでにない労働組合のカタチを作りたいと思っています。
企業側の最先端の実践も取り入れたり、メンバーが企業で鍛えてきたけど自由に使えなかったスキルを使ったり。ユニオンに多彩なメンバーがあつまり、強みが引き出される。そんなワクワクする組織にユニオンがなっていますし、これからもしていきます。労働組合って楽しいですよ、ほんとに。ぜひ、ぜひ。

★【加入したいと思ったら】
全国の労働組合へ相談してください。
http://www.zenroren.gr.jp/jp/shokai/chihousoshiki.html

◆メルマガ発行者◆
~一人でも誰でも入れる労働組合~
地域労組おおさか青年部

■電話:06-4801-7733
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■ブログ:http://seinenunion.blog33.fc2.com/
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※友人・知人に勧めるときは、このURLを教えてください。
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日本国憲法 第二十八条〔勤労者の団結権・団体交渉権・団体行動権〕
 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

労働組合法 第七条(不当労働行為)
使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

二 使用者が雇用する労働者の代表と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条の十二第一項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。


2011 労働六法 編集委員会 旬報社

 使用者が、労働者・労働組合に対してしてはいけない行為を不当労働行為といいます。
 
不利益取扱い  次のことを理由に解雇その他不利益な取扱いをすること。
・労働者が労働組合の組合員であること
・労働組合に加入し、またはこれを結成しようとしたこと
・労働組合の正当な行為をしたこと
・不当労働行為の救済の申立てをしたこと
・労働委員会へ再審査の申立てをしたこと
・労働委員会に証拠を提示し、または発言したこと

黄犬契約(「黄犬」は、英語ではyellow dog、野良犬、卑怯者の意味)
・労働組合に加入しないこと、または労働組合から脱退することを雇用条件にすること

団体交渉拒否
・使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉することを正当な理由なく拒むこと
 
支配介入
・労働者が労働組合を結成し、または運営することを支配し、介入すること

経費援助
・労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること


ただし、以下の援助は、不当労働行為になりません。
 
・労働時間中に団体交渉や労使協議が行われている場合に、その時間中の賃金を支給すること
・厚生資金や経済上の不幸または災厄を防止し、救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対し、使用者が寄附すること
・最小限の広さの事務所を供与すること
・使用者が労働組合の組合費を組合員の賃金から差し引いて当該組合に渡すこと(チェックオフ)