消費税増税 新聞は例外? マスメディア時評
閉塞打開の道示せぬ年頭社説
2012年幕開けの、全国紙などの社説に目を通しました。
「朝日」は「新しい年も難問が続く」と書き出し、「読売」は「世界的に『危機』が常態化しつつある」と筆を起こします。「毎日」も「政治の問題解決能力が厳しく問われる」です。
いずれも閉塞(へいそく)感が強まっていることの反映でしょうが、ではその閉塞をどう打ち破るのか、新年らしい骨太の主張はどこにも見あたりません。
「翼賛」の本質変わりなし
さすがに昨年のように各紙がこぞって日米同盟の強化や消費税の増税、環太平洋連携協定(TPP)への参加を政府に迫ったような露骨な「翼賛」的な論調は一見弱まったようにみえます。
しかし、論じるテーマ、主張する中身が似たり寄ったりで、結局は政府をけしかけるだけに終わっているのには変わりがありません。
「難問が続く」と書き出した「朝日」がとりあげるのは、「戦後ずっと続いてきた『成長の時代』が、先進国ではいよいよ終わろうとしている」から、これからは「成長から成熟へ」社会を切り替えなければならないということです。
「成長が終わった」という論自体は、1970年代に2度にわたる石油ショックで戦後の「高度経済成長」が終わっていらい言い古されてきた議論で何の新味もなく、いまや何度目かの世界経済恐慌さえいわれるなかで「朝日」がまだそんな考えでいたのかと驚くほどです。
実は「朝日」がわざわざその手あかにまみれた議論を持ち出したのは、新興国との競争のために「国をもっと開いて打って出(る)」とか、「将来世代」のことを考えて「社会保障と税の一体改革」を進めるとかの結論のためです。
何のことはない、昨年同様のTPP参加、消費税増税推進の論調です。この論調を「翼賛」と呼ばずなんと呼べばいいのか。
「朝日」は昨年末、政府が「一体改革」案をようやくまとめたさいには、「豹変(ひょうへん)して進むしかない」(12月31日付)と最大限の表現で野田首相を持ち上げ、実行を迫りました。増税に苦しむ国民など眼中にありません。「翼賛」姿勢は露骨です。
一方、世界的に「危機」が常態化しているとし、「政治が機能不全から脱却する必要がある」と主張する「読売」は、どんな政治を求めるのか。1ページの大半を費やした大型社説で「読売」が主張するのは結局、「消費税、沖縄、TPP、原発の各課題は、いずれも先送りできない」という結びの一言に尽きます。原発の再稼働もあからさまに要求しているところが「読売」らしいところですが、結局はこれまで同様、政府に悪政をけしかける主張です。
同じように「政治の問題解決能力が厳しく問われる」という「毎日」があげるのも、税と社会保障の一体改革、TPP参加問題などです。
「毎日」は、「改革の中身が国民に新たな負担を求めるものであることを明確に(して)」、野田政権が「説明と説得」にあたれと主張します。1日付を論説委員長の恒例の論評にした「産経」も、3日付主張からは連日、TPP参加や集団自衛権行使容認の論を張っています。政府には言いにくい本音を、文字通り先取りするものです。
「二つの異常」打ち破れば
全国紙をはじめマスメディアが、「アメリカ・財界使い走り」の野田佳彦政権がやろうとしていることに「翼賛」し、そればかりかもっとやれとけしかけるのでは、マスメディアの重要な機能である「権力の監視」役を果たすことはできません。お先棒を担ぐだけなら、言論機関の自殺行為です。そこには社会に向かって警鐘を鳴らす「木鐸(ぼくたく)」としてのジャーナリズムの姿はどこにもありません。
政治も社会も閉塞状況にあるという日本の現状は、戦後長く続いた異常な対米従属と財界・大企業の横暴な支配という「二つの異常」を打ち破らない限り、自民党の政権でも民主党の政権でも、国民の暮らしも平和も守られないことをますます明らかにしています。閉塞を打開するには、まず、議論そのものが、この「閉塞」から抜け出す必要があります。
日本国中に軍事基地網を張り巡らすアメリカの横暴な支配を打破すれば、沖縄の普天間基地といえば県内「移設」しかないというような行き詰まりは打開できます。財界・大企業に経済力にふさわしい負担を求めれば、消費税を増税しなくても、福祉を向上させる財源を確保することもできます。
こうしたマスメディア状況の中、「二つの異常」を打開すれば困難も危機も抜け出せることを国民に明らかにし、「日本改革」の実現のために力を合わせる「しんぶん赤旗」の役割は、今年もいよいよ重大です。(宮坂一男)
いま メディアで 赤旗日刊紙2012・1・7
消費増税あおる大手5紙
「各社ごとの社説いらぬ」の嘆き
全国紙5紙は新年の紙面で野田内閣へ一刻も早い消費税増税を促す社説で足並みをそろえています。消費税増税論は全国紙5紙の従来からの立場ですが、野田内閣に対して、「愚をこれ以上繰り返してはならない」(朝日・1日付)、「(民主)党内はもとより国民を渾身の力で説得すべきである」(読売・5日付)など、もっと急げとけしかけているのが正月論調の特徴です。
野田佳彦首相が4日の年頭記者会見で「ネバー、ネバー、ネバー、ネバーギブアップ」(決してあきらめない)と消費税増税で正面突破する固い決意を示したのも大手メディアの後押しがあるためです。
論調読み返す
大手紙の年頭論調を読み返してみます。
「取り組むべきは、社会保障と税の一体改革を実現させて、成熟社会の基盤をつくることだ。・・・増税や政府支出のカットはつらい。・・・甘受しなくてはいけない」(朝日・1日付)。
「今年の通常国会最大の懸案である一体改革だ。消費税率を引きあげ、・・・この改革の必要性については、私たちもこの欄で何度も訴えてきた」(毎日・1日付)
「首相は、・・・社会保障制度を持続可能にするには、消費税引き上げによるしかないことを、国民に丁寧に説明し、理解を求めてもらいたい」(読売・1日付)
「消費税増税への道筋をつける動きが本格化してきたことは評価すべきであろう」(日経・5日付)
「社会保障の安定財源を確保する上で消費税増税は避けられず、党派を超えた課題といえる」(産経・5日付)
転載した方が
全国紙5紙は、財源不足→社会保障が破たん→消費税増税は避けられない、との政府・財界の論理にまるまる乗る点で立場を共有しています。財源不足というなら大企業・財界への減税圧縮や応分の負担を求める、歳出の浪費をやめる―などこそ指摘すべきですが、そのことに触れない点でも共通しています。
「これでは各社ごとの社説はいらない。社説配信会社をつくって同じ社説を各紙が転載した方がまだ分かりやすい」(元朝日新聞論説委員)。社説を執筆していたOB記者の嘆き節も聞かれます。
新聞は例外?
全国紙5紙は、そもそも、それほど声高に消費税増税を主張できる立場なのか。
秋山耿太郎日本新聞協会長(朝日新聞社長)は、新聞業界機関紙「新聞協会報」(2012年1月1日)の年頭挨拶で、消費税率の引き上げへの対応について「新聞は『民主主義や文化の発展を支える公共財』であり、国民生活に欠かせない情報源であることを訴え、・・・軽減税率が適用されるよう求め、粘り強い取り組みを続けていきます』」と述べています。
昨年10月の新聞大会で喜多恒雄・同協会税制対策特別委員長(日本経済新聞社長)も、「将来的に消費税が増税されることは間違いありません。新聞協会として軽減税率を強く求めていきたい」。
消費税増税を認めた上で新聞については例外的に税率軽減の適用を求めています。
「自分さえよければ」の主張は、「社会の木鐸(ぼくたく)」といわれてきた新聞ジャーナリズムとも思えない自分勝手な言い分です。
読者や国民に消費税増税の必要性を説くよりも「省みて自らを説明する」ことこそ全国紙5紙に求められています。
消費増税「一歩前進」/一体改革で経団連会長
経団連の米倉弘昌会長は5日、都内で開いた経済3団体首脳の共同記者会見で、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革大綱素案について、「一歩前進だ。日本が財政健全化に向けて頑張るというメッセージを市場に伝えられる」と評価した。
診療報酬や介護報酬の適正化など社会保障給付の効率化に関しては「もっと踏み込んでもらいたい」とあらためて注文。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は「世代間の(負担の)格差にメスを入れておらず、改革に値しない」と批判した。
景気見通しについて、米倉会長は「行き過ぎた円高で日本企業の競争力は低下している。企業の先行きは難しい」と述べ、厳しい経営環境が続くと指摘。日本商工会議所の岡村正会頭は、低迷する東京株式市場の日経平均株価(225種)が「1万2,000円まで上がってほしい」と期待を込めた。
(共同通信)
2012年1月5日
経済3団体共催2012年新年祝賀パーティ後の共同会見における米倉会長発言要旨
2012年1月5日
(社)日本経済団体連合会
【日本経済の見通し】
2012年は、復興が本格化し、公共投資が加速する。これが日本の景気を力強く下支えしていくと思う。他方、行き過ぎた円高が輸出企業の国際競争力を低下させることを懸念する。また、日本の輸出先である米国、欧州、新興国の経済が減速しつつある。欧州の金融市場等の先行きに不透明感もある。その中で、企業はまだ設備投資に踏み切れない厳しい状況ではあるが、イノベーションを通じて新たな市場を創出し、民主導の経済成長を実現していかなくてはならない。
【2012年の最優先課題について】
震災からの早期復興が最重要課題である。復興庁、復興特区の具体化と予算の早期執行が必要である。
政府には、成長への大きなうねりをつくってほしい。
第一に、大胆な制度改革、規制改革を通じ、新たな市場や需要を生み出してほしい。
第二に、2020年のFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)完成を目指し、TPPをはじめとする経済連携協定の締結を一層進めてほしい。第三に、社会保障と税の一体改革を着実に推進してほしい。消費税の引き上げ時期、引き上げ幅が素案に盛り込まれたことは、一歩前進である。持続可能な社会保障制度を構築するためには、給付の効率化、重点化を一層進める方向で改革を進めてもらいたい。総理就任から今日まで、成長と財政の健全化は車の両輪という考え方にぶれはない。本日のパーティでのメッセージにもそれが貫かれていた。大変心強い。
閉塞打開の道示せぬ年頭社説
2012年幕開けの、全国紙などの社説に目を通しました。
「朝日」は「新しい年も難問が続く」と書き出し、「読売」は「世界的に『危機』が常態化しつつある」と筆を起こします。「毎日」も「政治の問題解決能力が厳しく問われる」です。
いずれも閉塞(へいそく)感が強まっていることの反映でしょうが、ではその閉塞をどう打ち破るのか、新年らしい骨太の主張はどこにも見あたりません。
「翼賛」の本質変わりなし
さすがに昨年のように各紙がこぞって日米同盟の強化や消費税の増税、環太平洋連携協定(TPP)への参加を政府に迫ったような露骨な「翼賛」的な論調は一見弱まったようにみえます。
しかし、論じるテーマ、主張する中身が似たり寄ったりで、結局は政府をけしかけるだけに終わっているのには変わりがありません。
「難問が続く」と書き出した「朝日」がとりあげるのは、「戦後ずっと続いてきた『成長の時代』が、先進国ではいよいよ終わろうとしている」から、これからは「成長から成熟へ」社会を切り替えなければならないということです。
「成長が終わった」という論自体は、1970年代に2度にわたる石油ショックで戦後の「高度経済成長」が終わっていらい言い古されてきた議論で何の新味もなく、いまや何度目かの世界経済恐慌さえいわれるなかで「朝日」がまだそんな考えでいたのかと驚くほどです。
実は「朝日」がわざわざその手あかにまみれた議論を持ち出したのは、新興国との競争のために「国をもっと開いて打って出(る)」とか、「将来世代」のことを考えて「社会保障と税の一体改革」を進めるとかの結論のためです。
何のことはない、昨年同様のTPP参加、消費税増税推進の論調です。この論調を「翼賛」と呼ばずなんと呼べばいいのか。
「朝日」は昨年末、政府が「一体改革」案をようやくまとめたさいには、「豹変(ひょうへん)して進むしかない」(12月31日付)と最大限の表現で野田首相を持ち上げ、実行を迫りました。増税に苦しむ国民など眼中にありません。「翼賛」姿勢は露骨です。
一方、世界的に「危機」が常態化しているとし、「政治が機能不全から脱却する必要がある」と主張する「読売」は、どんな政治を求めるのか。1ページの大半を費やした大型社説で「読売」が主張するのは結局、「消費税、沖縄、TPP、原発の各課題は、いずれも先送りできない」という結びの一言に尽きます。原発の再稼働もあからさまに要求しているところが「読売」らしいところですが、結局はこれまで同様、政府に悪政をけしかける主張です。
同じように「政治の問題解決能力が厳しく問われる」という「毎日」があげるのも、税と社会保障の一体改革、TPP参加問題などです。
「毎日」は、「改革の中身が国民に新たな負担を求めるものであることを明確に(して)」、野田政権が「説明と説得」にあたれと主張します。1日付を論説委員長の恒例の論評にした「産経」も、3日付主張からは連日、TPP参加や集団自衛権行使容認の論を張っています。政府には言いにくい本音を、文字通り先取りするものです。
「二つの異常」打ち破れば
全国紙をはじめマスメディアが、「アメリカ・財界使い走り」の野田佳彦政権がやろうとしていることに「翼賛」し、そればかりかもっとやれとけしかけるのでは、マスメディアの重要な機能である「権力の監視」役を果たすことはできません。お先棒を担ぐだけなら、言論機関の自殺行為です。そこには社会に向かって警鐘を鳴らす「木鐸(ぼくたく)」としてのジャーナリズムの姿はどこにもありません。
政治も社会も閉塞状況にあるという日本の現状は、戦後長く続いた異常な対米従属と財界・大企業の横暴な支配という「二つの異常」を打ち破らない限り、自民党の政権でも民主党の政権でも、国民の暮らしも平和も守られないことをますます明らかにしています。閉塞を打開するには、まず、議論そのものが、この「閉塞」から抜け出す必要があります。
日本国中に軍事基地網を張り巡らすアメリカの横暴な支配を打破すれば、沖縄の普天間基地といえば県内「移設」しかないというような行き詰まりは打開できます。財界・大企業に経済力にふさわしい負担を求めれば、消費税を増税しなくても、福祉を向上させる財源を確保することもできます。
こうしたマスメディア状況の中、「二つの異常」を打開すれば困難も危機も抜け出せることを国民に明らかにし、「日本改革」の実現のために力を合わせる「しんぶん赤旗」の役割は、今年もいよいよ重大です。(宮坂一男)
いま メディアで 赤旗日刊紙2012・1・7
消費増税あおる大手5紙
「各社ごとの社説いらぬ」の嘆き
全国紙5紙は新年の紙面で野田内閣へ一刻も早い消費税増税を促す社説で足並みをそろえています。消費税増税論は全国紙5紙の従来からの立場ですが、野田内閣に対して、「愚をこれ以上繰り返してはならない」(朝日・1日付)、「(民主)党内はもとより国民を渾身の力で説得すべきである」(読売・5日付)など、もっと急げとけしかけているのが正月論調の特徴です。
野田佳彦首相が4日の年頭記者会見で「ネバー、ネバー、ネバー、ネバーギブアップ」(決してあきらめない)と消費税増税で正面突破する固い決意を示したのも大手メディアの後押しがあるためです。
論調読み返す
大手紙の年頭論調を読み返してみます。
「取り組むべきは、社会保障と税の一体改革を実現させて、成熟社会の基盤をつくることだ。・・・増税や政府支出のカットはつらい。・・・甘受しなくてはいけない」(朝日・1日付)。
「今年の通常国会最大の懸案である一体改革だ。消費税率を引きあげ、・・・この改革の必要性については、私たちもこの欄で何度も訴えてきた」(毎日・1日付)
「首相は、・・・社会保障制度を持続可能にするには、消費税引き上げによるしかないことを、国民に丁寧に説明し、理解を求めてもらいたい」(読売・1日付)
「消費税増税への道筋をつける動きが本格化してきたことは評価すべきであろう」(日経・5日付)
「社会保障の安定財源を確保する上で消費税増税は避けられず、党派を超えた課題といえる」(産経・5日付)
転載した方が
全国紙5紙は、財源不足→社会保障が破たん→消費税増税は避けられない、との政府・財界の論理にまるまる乗る点で立場を共有しています。財源不足というなら大企業・財界への減税圧縮や応分の負担を求める、歳出の浪費をやめる―などこそ指摘すべきですが、そのことに触れない点でも共通しています。
「これでは各社ごとの社説はいらない。社説配信会社をつくって同じ社説を各紙が転載した方がまだ分かりやすい」(元朝日新聞論説委員)。社説を執筆していたOB記者の嘆き節も聞かれます。
新聞は例外?
全国紙5紙は、そもそも、それほど声高に消費税増税を主張できる立場なのか。
秋山耿太郎日本新聞協会長(朝日新聞社長)は、新聞業界機関紙「新聞協会報」(2012年1月1日)の年頭挨拶で、消費税率の引き上げへの対応について「新聞は『民主主義や文化の発展を支える公共財』であり、国民生活に欠かせない情報源であることを訴え、・・・軽減税率が適用されるよう求め、粘り強い取り組みを続けていきます』」と述べています。
昨年10月の新聞大会で喜多恒雄・同協会税制対策特別委員長(日本経済新聞社長)も、「将来的に消費税が増税されることは間違いありません。新聞協会として軽減税率を強く求めていきたい」。
消費税増税を認めた上で新聞については例外的に税率軽減の適用を求めています。
「自分さえよければ」の主張は、「社会の木鐸(ぼくたく)」といわれてきた新聞ジャーナリズムとも思えない自分勝手な言い分です。
読者や国民に消費税増税の必要性を説くよりも「省みて自らを説明する」ことこそ全国紙5紙に求められています。
消費増税「一歩前進」/一体改革で経団連会長
経団連の米倉弘昌会長は5日、都内で開いた経済3団体首脳の共同記者会見で、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革大綱素案について、「一歩前進だ。日本が財政健全化に向けて頑張るというメッセージを市場に伝えられる」と評価した。
診療報酬や介護報酬の適正化など社会保障給付の効率化に関しては「もっと踏み込んでもらいたい」とあらためて注文。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は「世代間の(負担の)格差にメスを入れておらず、改革に値しない」と批判した。
景気見通しについて、米倉会長は「行き過ぎた円高で日本企業の競争力は低下している。企業の先行きは難しい」と述べ、厳しい経営環境が続くと指摘。日本商工会議所の岡村正会頭は、低迷する東京株式市場の日経平均株価(225種)が「1万2,000円まで上がってほしい」と期待を込めた。
(共同通信)
2012年1月5日
経済3団体共催2012年新年祝賀パーティ後の共同会見における米倉会長発言要旨
2012年1月5日
(社)日本経済団体連合会
【日本経済の見通し】
2012年は、復興が本格化し、公共投資が加速する。これが日本の景気を力強く下支えしていくと思う。他方、行き過ぎた円高が輸出企業の国際競争力を低下させることを懸念する。また、日本の輸出先である米国、欧州、新興国の経済が減速しつつある。欧州の金融市場等の先行きに不透明感もある。その中で、企業はまだ設備投資に踏み切れない厳しい状況ではあるが、イノベーションを通じて新たな市場を創出し、民主導の経済成長を実現していかなくてはならない。
【2012年の最優先課題について】
震災からの早期復興が最重要課題である。復興庁、復興特区の具体化と予算の早期執行が必要である。
政府には、成長への大きなうねりをつくってほしい。
第一に、大胆な制度改革、規制改革を通じ、新たな市場や需要を生み出してほしい。
第二に、2020年のFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)完成を目指し、TPPをはじめとする経済連携協定の締結を一層進めてほしい。第三に、社会保障と税の一体改革を着実に推進してほしい。消費税の引き上げ時期、引き上げ幅が素案に盛り込まれたことは、一歩前進である。持続可能な社会保障制度を構築するためには、給付の効率化、重点化を一層進める方向で改革を進めてもらいたい。総理就任から今日まで、成長と財政の健全化は車の両輪という考え方にぶれはない。本日のパーティでのメッセージにもそれが貫かれていた。大変心強い。