今年は初めてアメリカの大使が広島の原爆慰霊祭に参加なさったそうですね。でもあちらの国では「原爆が終戦を早めたんだから落としたのは間違ってないもんね」で通ってるみたですけど。実は落っことされる前に日本は降伏するつもりだったらしいって話も聞いてますが。終戦を早めたっちゅうなら、な~んで「広島にはウラン型」投下した直後に間髪入れずに長崎に「プルトニウム型」を落っことす必要があるんですか?効果の比較をしたかったんじゃないんですか?黄色いサルなんか何匹死んだって構いやせんよ。で、何匹殺せたんだ?効果のあったのはウランか?プルトニウムか?なんだかあちらさんの当時の会話が想像できるようでうんざりします。その年の3月には東京の下町を火だるまにしてるくせに。広島と長崎と東京で30万人、非戦闘員が虐殺されてるんです。たった半年の間に・・・。
両国に住んでる息子が「東京都慰霊堂」の前で記念写真を無邪気に撮ってる白人を見て「馬鹿かこいつら。てめーらの祖父(じじい)たちがここに眠ってる人間達にどういう仕打ちをしたかなんて全然考えてねぇな~」と思ったそうですが私は「そいつら祟られろ」と思いました。いや、実際、あそこに埋まってる17万人(関東大震災の被害者も含む)は決して成仏なんかしてませんから。身元も確かめられないまま纏めて埋められてしまってるんですから当然でしょうけど。私はハワイには行ったことはありませんが、アリゾナ記念館に行けば献花するつもりです。それが亡くなった方達にたいする礼儀というものでしょう。
さて、そういうわけで敗戦記念日も間近ですが、「太陽を盗んだ男」ビデオは持ってたのですが、やはり値段も違うけど、DVDとは内容の濃さが違います。で、AmazonのマーケットプレイスでDVDを買いました。煙草臭かったのが、マーケットプレイスで買うとちょっとギャンブルですが、それ以外は値段も安かったし、ディスクも状態良かったし。でかいテレビで観られて嬉しかったわ~。で、映画はえ~っと31年前の作品だったんですね。勝手に35年前と思ってたのだけど35年前だったら私は田舎の学生でした。
で、DVDは10年前にリリースされてるんですね。今観てもっていうか、今の映画でこれだけイリーガルな作り方した映画など無理でしょうね。でもオマケが沢山付いてて今日はオマケ映像でお腹一杯になりました。城戸真が飼ってる半野良猫のニャロメがプルトニウムの欠片を食べて死んでしまう場面があって、うわぁ~ダメだぁ~と思ったのですが、監督の長谷川和彦氏のインタビューで「あ、俺ね、絶対にニャロメは殺したくなかったの。なのにね、動物屋さんがね、殺しちゃってもいいですから、代わりは沢山いますからって言ってたのには呆れちゃったよ~。昔、犬飼っててさ、俺の目の前で事故死しちゃってるから、絶対に殺すわけにはいかなかったのよ、ニャロメは。あの場面?マタタビ使って撮影したよ。なかなか名演技だったよね~。死なせてませんから。」あ~この言葉を聞けただけで、私はほっとしました。しかし役者だな~ニャロメ~!完全に逝った目をしてましたから。
で、ですね。私は山下警部の菅原文太のかっこよさにしびれましたね~映画館で観た当時は強面なおっさんにしか感じませんでしたが、まずスタイルが良い!腹が出てない。服の着こなしが決まってる!それもそのはず、彼は男性のファッションモデルを岡田真澄なんかとやってたというのですから、服装やスタイルがキマってるのも無理からぬ話ですわ。ヤクザ映画のイメージしか無かったので、もう眼から鱗でした。池上季実子を警察の屋上で後ろからやんわりと抱きすくめるシーンなどは「うはぁ~セクシー」とさえ思ってしまいました。監督は最初、この二人を男女の仲にして原爆男を挟んだ三角関係を作ろうと意図してたらしいのですが、「女性を描くのが苦手でさ~」ということで、池上季実子はするりと身を翻して逃げちゃうのでした。
もうね~射撃の練習をする菅原文太=山下警部のバックにYAMASHITAが流れるんですよ。いいですよ~。インタビューで井上尭之さんがピアノでさわりを弾くんですけど、黒鍵けっこう使ってたな、目コピーは無理そうです。
ジュリーはね~もうね、最高です。「悪魔のようなあいつ」で3億円犯人をTVドラマで演じてましたが、やる気の無い理科の教師、城戸真、実は原爆を作っちゃった男、でも作ったはいいけど持て余して、何しよっかな~っていうとりあえず作るのが目的で、本当に作っちゃってはみたものの、何に使えばいいんだろうって、あほな要求をしてみたりとかね。でも金属プルトニウムをすくいとるのが茶漉しってのが笑えたわ。
あ~そういえばね、私ね、中学の時にちょっと原爆に興味を持ったことがあるんです。で「重水」とか必要なのか~とかね。図書室に行けば原子爆弾の構造とか書いてある本なんか置いてあるんで、しみじみ読んだりしてたんですが、先だっての東海村の「バケツで臨界」とか「チェレンコフ光見た人間はいないよ。だって見たら死んじゃうんだから」「あの亡くなったJCOの人たちはじゃ見てるんだね~」「やっぱり見ると死ぬのか、怖いね~」とか。息子と話したりしたんですが、息子の頭が良いか悪いかは別として、そういう話を息子とする母親って一体何なの?と反省したりします。
もう一人の息子は電気関係の職業に就いたので「来週から原発に行ってください」って言われる可能性もあるわけだし。ううむ。
もんじゅの臨界に行かされなくてよかったねと言ったのですが、どうやら後輩が行かされたらしいです。どうせ行くなら山奥の水力発電所にでも行かされるといいなとか言ってましたが。何もないのでお金が残るのだそうです。使う場所が無いとかで(笑)
あ、脱線してしまいましたが、ジュリーと池上季実子のキスシーンは良かったですね。それで、キスしたあと海に放り投げるってのが良かったです。私だったら溺れて一発で死にます。
で、クライマックスのビルの屋上での山下警部と城戸真の死闘ですが、ばんばん撃たれても死なない不死身の山下警部が満身創痍になってジュリーを羽交い絞めにして「さあ、イクぜ」と言ってビルから一緒に飛び降りるんですが、その表情だけでも助演賞ものと長谷川監督が言ってましたが、最初の科白は違う科白だったけど「イク」にしたのは撮影現場で、男同士の心中みたいでホモっ気を髣髴とさせる「イク」に急遽変更したとかで。う~ん、やはり生まれるのが早すぎた作品だったのかも知れませんね。
その後、長谷川監督はメガホンを取ってません。有名女優のMさんと同居してて紐状態とか言う話も聞きます。でもMさんだったらいいんではないかなとも思います。でもあとひとつ、でかい花火を打ち上げていただきたいなと期待はしてます。今の邦画、結構良い作品が作られてますからね。最近の収穫は「告白」でした。
あ、ふと思ったのですが、カンヌで最年少の男優賞を受賞したヤギラ君、彼のリアクションがジュリーのリアクションと雰囲気が被るところがありました。演技指導は是枝監督がつけたらしいですけど、そうなると是枝監督も、それをちゃんと演技できたヤギラ君もすごいなと、ふっと感じたりしたのでした。