お人形と同じ部屋で寝起きしている私

お人形好きでけっこう沢山持ってます。専用ブログもあります。こっちでは家族と猫2匹と他の趣味や暮らしぶりなど語ります。

私は大きな勘違いをしていた

2012-10-03 23:48:59 | 医療とか介護とか
昨日兄からメールが来て、実家の母が随分衰弱しているようだとうことで、今日有給貰って実家に帰った。弟が昨日来て、一晩泊まってくれて今日帰るということで、シーツまで持参で来てた。まあ、私も次回泊まるようなことがあったらシーツは持参するけどね。

昼ごはんを実家の近所の大型スーパーで買って行くことにして、電車を降りたら先にそこに寄ったら、父から私の携帯に電話があって「毎晩呑んでる焼酎が切れたから買ってきてくれ」だって・・・。ああ、携帯って便利だわね。糖尿なのでビールや日本酒はダメだけど焼酎はいいらしい。っていうか今更88歳の爺さんなんだから、健康のためにアレはダメ、これはダメなんてもうあんまり意味無いと思う。煙草はいけないけど。流石に禁煙してますが・・・。

買い物してたら、弟から電話があって、スーパーに迎えに行くから書籍売り場で待っててと言われたので、買い物を済ませ、けっこう重たかったので助かった。

で、道々母の妄想や幻聴や幻覚がもっとひどくなってるらしいことを知らされる。なんと~今度は「大人の女の人がこっち見てる」らしい。うひゃ・・・。

家に着いたら、介護のヘルパーさんが薬を飲ませるのに食事が届くのを待っててくれていたので、起こして鉄火巻きを2個食べさせて飲んでもらう。

ヘルパーさんが帰ったら、皆で昼食ということで寿司を広げたんだけど、いやまあ、母がその、元気に喋るんです。誰だよ衰弱してるなんて・・・。まあ口から出てくるのは妄言ですが・・・・それに弟と私は話を合わせてケラケラと笑う。

私としては具合が悪いようだったら病院に連れて行き点滴でもしてもらうしかないかと思ってたんだけど、必要はなさそうな感じ。ヘルパーさんは今日はちょっと微熱があるようですがと言っていたが、私が横になった母を触ったけど、熱はなさそうだった。

食べ終わった頃に、義理の姉さん(兄の奥さん)から電話があり「どうですか?」と心配してるので「大丈夫みたいです。食べてるし、喋ってるし、起きてるし」と言ったんだけど、本当は私や弟が居る間に病院に連れて行って貰いたかったのかも知れないなとは思った。でも雨も降ってるし、肌寒いし、それなら布団のなかでぬくぬくしてもらってた方がいいような気がする。弱ってる年寄を菌だらけの病院に無理して連れていくこともなかろうし・・・ということで、このまま寝かせておくことにした。

その後、弟と話したんだけど、いや~私も考え方が安易だったけど、母自身が言ってたように(こういうときだけ正気に戻る)今、病院に行ったら帰って来れなくなるから行かない!というのは多分そうなるだろうねということ。

心配なのは父もだいぶ呆けてきてるので、二人だけでは不安ってこともあるけど、毎日介護さんが来てくれてるから、父に何かあっても、1日以上は放置される心配はないかなということういで、妥協するしかないのかなとも思った。父には時々、別の部屋で寝てもらって、母から逃亡していただくように自己防衛してもらうとして・・・こういうとき無駄に広い家はいいね。部屋が余ってるから。

弟が買ってきた本には「在宅で看取る」ことが書いてあって「薄いしすぐ読めるから見ておいて欲しい。兄貴にも読んでもらいたいから置いていく。俺もうざっと読んじゃったから」と言ってムック本を出して見せた。

読むと確かに、私の祖父母は隣が個人病院だったせいもあるけど、寝たきりになった時は在宅で母が看護していた。子供の頃は、1年くらい寝込んでた気がしたけど、実は一ヶ月位しか寝込んでなかったと以前母に聞いて驚いたことがあった。死亡診断書は隣の病院の先生が二人とも書いてくれた。もう何十年も昔の話だ。当時はそれが普通だった。

母が食事をほとんど取らず、どんどん痩せ細って行くのは見るに忍びないが、それは長生きした人間がゆっくりと死に向かう本来の姿なのではなかろうか。それを無理やり食事が取れないからと、病院に連れて行きチューブだらけにして多少生きながらえさせるのは、残された人間のエゴと自己満足だけで、老人にしてみれば「余計なお世話、私は静かに死にたいの」を邪魔してるに過ぎなくて、それが当人にとってどれだけ苦痛で惨いことなのか、理解してないんじゃないかと気付いた。

母に何もしてやらなかった。最後に義務を放棄したなどと五月蝿く言ってくる親戚はもうほとんどいない。母は下から2番目で、父は事実上の末っ子で(叔父と叔母は夭折している)伯父たちもとっくに亡くなってるし、生きていたところで、末弟の連れ合いがどんな亡くなり方をしたところで興味などないだろう。

私も安易に点滴を勧めたが、今の母を病院に連れて行けば即入院必至だろうなと思うと、安易過ぎたなと反省している。

呆けながらも、母は母のやり方で自分の人生に幕を引こうとしているのだ。無意識になのかもしれないが。それを子供の体面だけで苦痛に満ちたものにして良いわけがなかろう。義父の亡くなる直前の浮腫んだ手足を思い出して涙が出た。義父は入院したまま1ヵ月後にそこで亡くなった。

私たちがやろうとしてることは間違ってることではないよね?と夫に訊いたら「じいさんが入院中に、帰りたいって言った時に連れて帰ってやれば良かったなとは今も思ってる」と無念そうに答えてくれた。

家で父の背中を揉んでいたら、母が「あんたが来たら変な女の人がいなくなっちゃったわ」と言った。「そりゃ~良かったねって・・・私は魔除けかい?オバケも逃げだすのかい」と突っ込みたかった(苦笑)このまま変な女性が消えてくれればありがたいものだ。

母を点滴漬けにせず送れたことに誇りを持てるように兄夫婦にも理解して貰えればいいなと今は切に願うばかりだ。

そうやって送ることが母に対する最後の恩返しになるのだと思うとやりきれないが、痛みを引き受ける覚悟を用意するのは早いにこしたことは無さそうだし。


コメント
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