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中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

山西省で子供が眼をくりぬかれた事件

2013年08月30日 | 中国事情

眼8月24日に山西省臨汾西県で、6歳の子供が外へ連れ出され両眼をくりぬかれたとされる事件を、中国のメディアも連日の様に大きく取り上げて報道しています。

30日の「南都網」(電子版)に拠れば、ある香港在住の人が、今回の事件に30万元を懸賞金として提供すると申し出たそうです。尚、既に警察が10万元の懸賞金を出す旨公表しているとの事です。また、子供の為の治療費等として多くの心ある人から、既に10万元程の義捐金が寄せられたそうですが、治療費は約15万元かかるとも言われているので未だ治療費には足らないとの事。

省政府も今回の事件を大変重要視している事もあり、省、市、県等の関係当局も子供の治療に全力を尽くしているそうです。そういう経過もあり子供は山西省眼科医院に入院して治療を受けているようです。また、子供の家庭の経済状況等も考慮して治療費の減額も検討すべきと省衛生庁は省政府に提案したそうです。

今回の事件には、臓器売買関係者が絡んでいるとの報道もあるようです。一部の報道では、子供が発見された場所から子供のくりぬかれた眼球も発見され、その眼球からは角膜が無かった等と言うような理解に苦しむ様な大変おかしい報道もあるようです。

30日付の「新京報」(電子版)では、今回事件に巻き込まれた子供の家庭の状況等について、細かく報道しています。その報道に拠れば、今回の事件に巻き込まれた子供が住んでいた地域は、その子供の親も含め地方から移り住んで来た人が多く住んでいる場所の一つだそうです。農村から移り住んできた理由は、「撤点併校」の為(小学校の統廃合)との事。子供の親を含め多くの住民が住む住居は、平屋で部屋代は一月200元との事。その子供を含め十数人の子供が、この一角に住んでいたそうです。今回の事件に巻き込まれた子供の親も5,6年前に農村から「学校の統廃合」で家の近くに学校が無くなり、姉が別の学校に通うのに便利と考えて現在住んでいる所に移って来たそうです。

以前、この子供の親は、無認可、非合法の炭鉱で数年間に亘り、働いていたそうですが、当局による取り締まりが厳しくなり、そのような非合法な炭鉱が次々と閉鎖された為、転職し、アルバイト等で生計を立てていたそうですが、その後なんとか運転手の仕事に就いたそうです。しかし、今年一月事故を起こし、その事故の後遺症で働けなくなり現在は無職の状態だったそうです。奥さんも職が無い状態だった事もあり、本人も障害者となったので最近は「麻雀屋」を開いて生計を立ていたそうです。何でも二台の麻雀台を置いて、麻雀屋を営み生計を立ていたそうです。毎日30元から50元程度の売り上げがあり、それで生活していたとの事。事故の保障金としては、治療費としての5000元程しか、雇い主から払われなかったとの事。

子供には10歳になる姉がいるそうですが、、事件当日には、その姉は自分は一人でゴム飛び等をして遊んでいたが、弟をその日は見かけなかったと話しているそうです。別の人の話に拠れば、事件が起きた24日は、その子供は午後4時頃までは家の近くで、近所の子供たちと遊んでいるのを目撃されていたそうですが、その子供が近くの丘へ遊びに行くと友達に言ったのが最後で、その後の状況は判らないようです。夜になっても家に戻らない子供を捜していた親が、家から約一キロ程はなれた丘で夜11時頃に血だらけの子供を探しあてたとの事で、その祭には子供は話も出来たそうです。その子供が発見された場所は草が茫々と生い茂り人家も無い所だったそうです。

この子供の家庭は元々三人子供が居たそうですが、6年前には、もう一人の姉は4歳の時井戸に転落して亡くなったそうです。やはり姉が行方不明となり、村中の人が方々を探したが見つからず、二日目に井戸の中で死んでいるのが見つかったそうです。

この子供の家庭の状況を詳しく報じた「新京網」の記事を読むとある意味での中国の状況が映し出されているように感じます。三人兄弟の末っ子が男の子と言う事は、おそらく上の子供が二人とも女の子だったので、三人目も生もうとしたと私には思えます。この子供の年代であれば都会では一人っ子政策が厳しく、その政策が結構厳格に守られていますが、農村ではこの頃でもそうでもない様子が伺え、やはり男の子供が産まれる迄子供を産むという傾向が透けて見えます。

また、親が一時「黒炭鉱」で働いていたが、政府による取締りが厳しくなり失業したとありますが、山西省等の炭鉱地帯では一時非合法、違法の操業の個人経営や小規模な炭鉱が多く、炭鉱での死亡事故等も頻発して、中央政府もこの問題を重要視し、これらを一掃した事が背景としてあります。一時期は炭鉱で死亡者の数が一万人近い時期もあり、マスコミなどによる批判も相次ぎ起きたことあり、中央政府も改善に乗り出し、個人経営の炭鉱や安全基準を満たさない小規模な炭鉱を閉鎖した事もあり、炭鉱での死亡事故も大幅に減ったようです。現在では炭鉱が大人数の死亡事故を起こすと責任者は、必ず処分されるようです。

 「撤点併校」とは小中学校の統廃合の事で、中国では農村部を中心に大規模に「撤点併校」が推し進められています。この結果、子供が通う学校の近くに家族で引越して来るケースも増えているようです。また「撤点併校」により近くに通える学校が無くなり、子供が寮住まいとなるので親の経済負担が増えている事も指摘されています。また、学校の統廃合により、近所に学校がなくなり通学に要する時間が大幅に増えたという問題も持ち上がっているようです。ここ数年義務教育段階での退学者が増えていると指摘されていますが(貴州省のある県では小学校段階での退学者が10%近い所もある)、その一因として実態に合わない「撤点併校」政策があるとも言われています。

この子供の親は麻雀台二台を置いて「麻雀屋」を開いていたそうですが、県や郷、鎮レベルでも地域により中国では「麻雀屋」がとても多いようです。麻雀屋が多いという事は麻雀をやる人も多いということですが、当然の様にお金が動きます。今回の事件に巻き込まれた家でも麻雀屋を営んでいたそうですが、掛け金は勝ても負けても精々100元位なので恨みを残すような事もないし、揉め事もないし、恨みを買うような事も無かったと近所の人の話として「新京報」は記事の中で書いています。100元はたいしたお金では無いと見ることもできますが、一ヶ月の家賃が200元(注:家の広さは不明)の家に住んでいる人にはそれなりの金額とも言えます。貴州省、雲南省等の農村部の一部の代用教員の一日の給料は10元との記事もあります。それぞれの立場により100元がそれなりの大金か、はした金かは見解が分かれると思います。

私が滞在中のところは大理鎮ですが、やはり注意して見るとここ大理鎮にも意外に多くの「麻雀屋」があり、昼間から麻雀に興じる人を多勢見かけます。麻雀屋は公然の秘密とでも言うのか、あまりおおっぴらではありませんが、それなりに目立ちます。

 

このようにあまり目立たない感じで「麻雀屋」である事を表している。 

 

ある「麻雀屋」。このように一応は、外からは見えないようにカーテン等で目隠しして営業している麻雀屋が多い様です。

 

今回の新京報の報道記事を見ると中国社会のある意味での縮図を見る思いで、いろいろ考える事も多いです。尚、「南都網電子版」の最新版では、子供の伯母が30日昼頃に、地元の汾西県対竹鎮で井戸に飛び込み自殺したとの記事も掲載しています。

 

 

 

 

 

 



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