貴州省に住む苗族、トン族、ブイ族等の少数民族も紙漉きを行い、紙を手造りしているようです。その原料も、やはり雲南省等同じで、楮、竹等が多いそうですが、貴州省の一部村では桑の樹の樹皮を利用して紙を造るトン族の村もあるとの事です。雲南省でも桑の樹の原料とした紙が有るか今の時点では不明です。
黔東南苗族トン族自治州凱里市丹塞県石橋村では、今でも一部の村人が紙漉きを行い紙を造っていますが、以前その村へ行って紙漉きを見学した事があります。その昔は、その石橋村の殆どの家では、紙漉きを行い生計を立てていたようですが、日本など同様その伝統的な紙漉き廃れつつあり、紙漉きを行う家は、今では2.3軒ほどになってしまったそうです。
ただ、今年5月頃に見た地元の新聞等に拠れば、丹塞県では、村おこしの為もあり、この苗族の貴重な、伝統的な紙漉きの技術を積極的に保護し始めたようです。県当局が、観光客に苗族の昔ながらの紙漉きを見学させたり、地元を訪れる観光客が手造りの紙漉き体験が出来る様な施設を作ったり事もあり、また、昔ながらの手造りの紙の良さが見直されると共に、みやげ物としても売れるようになり、この石橋村では、紙漉きをする家が以前より増えたそうです。
ここ石橋村の紙の原料は楮(コウゾ)との事。コウゾの樹から剥いだコウゾの樹皮。
「雲南民族手工造紙地図」に「拠れば、紙漉き工程は、先ず、コウゾの樹皮を剥ぎ、その樹皮を煮るそうです。この際石灰又は灰を加えるそうです。場所により煮るだけでなく樹皮を柔らかくする為搗く事もあるそうです。その後に、水で洗い、このような槽に入れる。
さらに樹皮が細かく成り、柔らかくなると、いよいよ紙漉きが行われる。
こちらは染料を使いこのような紅い色の紙を造っていました。型枠に入れ、その後乾燥させる等工程は日本と同じです。そもそも朝鮮半島経由で中国で発明された紙造りの技術、紙漉きが日本に伝わったそうですから、工程等が同じなのは当然ですが、、、、。
型枠に入れた所。
乾燥中の漉かれたばかりの紙。ここは洞窟のようになっており、雨が降っても乾燥中の紙が濡れる心配がありません。
こちらは白い紙ですが、今風に木の葉をあしらう等いろいろ工夫もしていて、加工される紙は以前のような単純な紙ばかりではない様です。また、用途も昔ながらの使い方ばかりではなく、この手造り紙の紙を利用して工芸品、ノート等も作られています。
家が岩で覆われているような形なので、岩が云わば庇となり、紙を乾燥させるには絶好の場所となっています。
この様に、この村を流れる川に「石橋」があるので、この村は石橋村と呼ばれるようになったそうです。