苗族や侗族、布依族などの少数民族は祭りなどの際には、餅をよく搗くようです。2000年に苗族の正月とも言うべき「苗年」という祭日に、苗族の村を訪れたのですが、その際には多くの家で餅つきが行われていました。臼も船形の物や丸い臼さらには石で出来た臼など、形も様々のようです。杵も横杵や縦杵があるようです。
各地で餅つきの光景を見たのですが、日本のように丸臼、横杵という組み会わせは、今まで見たことがありません。中国は広いですから、日本と同じような木で出来た丸臼と横杵で餅を搗くという村があるのかもしれません。
この周辺の村では丸餅を作る際には、手にゆで卵の黄身を付け、手に餅が付かないようにしますが、何故ゆで卵の黄身を使うのかよくわかりません。私もゆで卵の黄身を付けて、餅を丸めたのですが、確かに手に粘りつきませんが。
苗族の村西江苗塞の李老師の家での餅つきの様子。この周辺の村は舟形の臼と横杵で餅を搗くようです。
この周辺の苗族の村では餅を丸める際に、手に餅が絡みつかないようにとゆで卵の黄身を手につけ、丸餅を作る。茶碗に入っているのがゆで卵の黄身です。
出来あがった丸餅。
ある苗族の村で見かけた臼と杵。こちらは石の丸臼と木の横杵。
台江県のある村で見た餅。水の中にいれ保存してあり、一年ほど経った餅です。二年ほど保存が可能と話していた記憶があります。
从江県のある苗族の村で13年に一度行われるという祭りがあるというので昨年の11月にその村へ見学に出かけました。その祭りの際には多くの家ではやはり餅つきが行われました。一部の家では丸臼に縦杵という組み合わせで餅搗きが行われてました。しかし、祭りの行事に供える餅は舟形の臼で搗かれていました。
台江県の苗族の村で見かけたように、この村では小さな丸餅にはしないで一臼毎に大きな丸餅にしていました。もつとも祭りでお客さんが多いので小さな丸餅にしないのかも知れませんが。
この村では餅が付かないように米粉を使っていました。出来上がった餅はぶつ切りにして出され、少し日が経つた餅はイロリであぶって食べます。この村では黄粉やアンコをつけて食べるというような事はしないようでした。
丸臼と縦杵での餅を搗いているところを見かけたのですが、臼は日本で見る臼に比べたら大変に小さいものでした。縦杵では力が入らないのではと聞いたところ、「そんな事はない、横杵の方が力が入らないと思う」という答えでした。
丸臼と縦杵での餅つきの様子。この時には、杵には餅が絡まないようにとポリの袋が巻いて餅を付いていましたが、これは特別のようです。
丸臼と縦杵。臼は日本で見かける臼に比べると大変に小さいのでこの大きさだと横杵で餅を搗くのはちょっと難しいかもしれません。30センチ位でした。
祭りでお客さんも多いので何臼分もの餅が搗かれます。ここには5臼分ほどの餅がありました。餅が絡みつかないように米粉をまぶしていました。
祭りのご馳走として出された搗きたての御餅。ご飯のようにして食べます。茶碗に入っているのはもち米で作ったお酒。米酒です。
この家には囲炉裏があったので、少し時間の経った御餅はぶつ切りにして囲炉裏で焼いて食べます。
甑(こしき)でもち米を蒸している所。このような木製甑は最近あまり見かけません。金属製の甑に変わりつつあります。また最近は家に囲炉裏のある家は少なくなっています。
こちらは黎平県岩侗村で春節の時見た光景。多くの侗族の村では祭りの際には、鼓楼で侗族大歌が歌われますが、この村ではこの様な巨大な網で餅を焼いて、参加者に振舞っていました。当然私も頂きましたが美味しかったです。黄色の餅は粟など雑穀も入っているようでした。この村以外でも鼓楼で侗族大歌の行事が行われていましたが他の村では酒やお茶、飴などが出されていました。このような光景は初めて見ました。この時期は特に寒いので鼓楼の中では焚き火がたかれ、焚き火に当たりながら村人は夜遅くまで侗族の歌を歌います。
巨大な網とその上で焼かれる餅。
こちらは別な侗族の村で見た光景。やはりお祭りの日ですが搗いた御餅やアヒル、飴など担いで家に向かう所。
飾りが付けられた丸餅。
こちらは今私が住んでいる花渓で見掛ける餅売り屋さん。中にアンコが入っているのもある。一個二元。炭火であぶるので美味しいです。花渓はもともと布依族が多いところだそうですが、農貿市場などでも餅を専門に売っている店も見かけます。