嵐ファン・大人のひとりごと

嵐大好き人間の独りごと&嵐の楽曲から妄想したショートストーリー

妄想ドラマ 『Snowflake』 (6)

2009年10月07日 | 妄想ドラマ『Snowflake』
体調不良は・・・ずいぶんよくなりましたが今度は台風が心配。

地味~に暗~く行きますか

そんな気分なんで。

では主題歌は嵐の『Snowflake』で。


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        妄想ドラマ 『Snowflake』 (6)



別れ際に夏葉が口を開いた。

「自分のことあまり話してくれないのはどうして?」

「別に理由はないよ。話さなきゃいけないようなことも特にないし」

「なんか寂しい。私は悟のこと何でも知りたいし、何かあれば力になりたいの。

 私、悟にとって必要な存在になりたい」

「俺は・・・」


そこから先は頭の中でぐるぐる言葉がまわって出てこない。

「どうして黙っているの。なんか言って」

嘘をついたのは夏葉を悲しませないため、そう言い掛けて止めた。

悲しませるようなことなんて何も無い。

夏葉と会って、彼女が笑ったりすねたり何かに感動したりするのを

傍で見ていることで悟は心が優しくなれる気がした。

それだけで十分だった。

必要だとかそうじゃないとか、そんなこと考えたこともなかった。

それに会う時間の長さと愛情の深さは比例しないと思う。

「夏葉の目の前にいる俺がすべてだよ。それじゃだめかな」

「そんなのわからない」


悟は心の奥に澱んでいる記憶が、何かの拍子にこぼれ出てしまうことを恐れていた。

それは悟自身が出来ることなら忘れてしまいたいことであり、

他の誰にも消すことが出来ないことだから。


家庭のことだって、わざわざ自分から話したくはなかった。

悟の父親は母親の再婚相手で血のつながりは無いけれど、

息子として十分に愛情を注いでもらい感謝している。

だから、去年病気で手術した父親に無理させたくなくて、

少しでもバイトでお金を貯めておきたいと思っている。

でもそんなことを夏葉に聞いてもらってどうなるというのだ。

同情されたり励まされたりするのはいやだった。


「俺、別に悩みとかもないし」

「じゃなんでそんなにバイト頑張ってるの?私に会うよりお金が欲しいのはなぜ?」

夏葉は言ってはいけないと思っていたことを口に出してしまった。

悟の表情が曇った。

「言いたくない」

後悔の気持ちは言葉ではなく、涙となって夏葉の目からあふれた。

悟はやりきれない気持ちをもてあまし、夏葉に何も言葉をかけることができなかった。。




新しいアルバイトのメンバーも仕事に慣れ、悟は仕事を減らしてもらった。

出来た時間はすべて絵を描くことに費やした。

あれから夏葉とは連絡を取り合わないまま時間だけが過ぎていく。

不思議と学校でも行き会わなかった。


夏葉が楽しみにしていたクリスマスが近づいた。

明日から冬休みというその日、夕べから降っていた雨が雪に変わった。

教室では女子たちがホワイトクリスマスになると喜んでいる。

悟は帰りに夏葉のクラスに会いに行こうと決めていた。

ところがホームルームになっても担任が来ない。

暫くして青ざめた顔の担任に廊下に呼び出され、両親が事故に巻き込まれたことを告げられた。


スリップして対向車線にはみ出したトラックに巻き込まれた事故だった。

即死だったらしい。

それからの数日のことを悟はあまり覚えていない。

姉の赤ちゃんの泣き声と、親戚の人たちが低い声で葬儀の打ち合わせをする声だけが

耳の奥に残っている。

姉はずっと泣いていた。

綺麗な二重の目はハンカチの下でいつもはれぼったく、この数日でやつれたように感じる。

悟はそんな姉を見ていたせいか、自分でも驚くほど冷静に振舞った。

時々胸の中に黒い雲が立ち込めたような不安に襲われたが、不思議と涙は出なかった。

遺体の損傷が激しく対面できなかったため、両親の死をまだ受け入れられずにいたのかもしれない。



年が明けて三が日が過ぎたころ、夏葉が家を訪れた。

悟の姉に挨拶をし、線香をあげると

「私に出来ることがあったら言ってね」

と思いつめた表情で言った。

今度のことで夏葉がどれだけ心を痛めていたか察しがついたが、

それよりも今まで夏葉のことを思い出さなかった自分に驚いた。


親戚や姉の提案も断って、悟は高校卒業まで一人で暮らすことにした。

いずれ東京の大学へ進学して一人暮らしになるはずだったのだから、

少し早まっただけだと思うことにした。

一人になった家は思ったより広く感じられ、孤独感から逃れるために

ますます絵を描くことにのめり込んだ。

夏葉が心配して時々来てくれる。

彼女の肌のぬくもりを感じている間だけ、寂しさも不安も消え安らかな気持ちになれた。

こんな形でも、悟にとって必要とされる立場になったことに夏葉は満足しているのだろうか。

悟は夏葉を失いたくないと思いながら、不安定な二人の関係をわざと冷めた目で見たりしていた。

大切な人を失う怖さから逃れるために。





       ----------つづく--------



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さてさて悟君に過酷な運命をあたえてしまいましたドSですから。

ディスプレイの横にはいつも2007-2008カウントダウンの

おーちゃんのうちわがあるんですが、これ眺めながらだとなんだか成瀬さんみたいに、

暗~い役をやってほしくなるんですよねぇ、今は。

次回は少し成長してもらう予定です。

では




コメント
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