最近、車でよく聴くのはWe can make it!
この曲のおーちゃんのフェイクにはまっています
どこまでも伸びやかでカッコイイんだな~
もち、Snowflakeも聴いてます。では、どうぞ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妄想ドラマ 『Snowflake』 (12)
悟はキャンバスに向かう気持ちにもなれず、流れていく時に身をゆだねていた。
夏葉に会いたくてたまらないといった熱い感情が湧くことはなく、
案外一人でも平気に思える。
でもそんな日の後には、ボートで広い湖に漕ぎ出して、ふと振り返ったら自分がいた岸辺が
もうどこだかわからなくなって戻れないというような、そんな夢を見た。
目が覚めるとじわじわと寂しさが胸に広がってやりきれなくなる。
美冬と佐和野から個展の話をされたのが初夏、もう季節は秋にかわろうとしているのに
一枚の絵も描いていなかった。
美冬は絵を描く意欲を失っている悟に何も聞かなかった。
時々、食事や映画に誘ってたわいない話をした。
その日も映画を見た後、近くの店でコーヒーを飲みながら映画の感想を話していた。
「美冬さんって映画見て泣くこともあるんだね」
「そりゃ感動すれば泣くことだってあります」
美冬が急にクスッと笑った。
「どうしたの?」
「悟君と初めて会ったとき、映画見て泣いてたこと思い出した。可愛かったなぁ17歳の少年」
「俺、泣いたところを見られたの美冬さんくらいだよ。子供の時は別にして」
「じゃ、私が大町悟の秘密をひとつ知ってるってことね。変わりに私の秘密を教えてあげる」
「何?」
「実は私、絵が下手なの」
「ほんとに?」
「下手かどうかっていうより、いつも素敵な絵に囲まれているから、自分の絵が許せないって感じかな。
見るほうが好きなの。だからこの仕事にあってると思う。素晴らしい絵に出合って、感動することもあるし。
悟君の絵もそうだった。君に会ったから夢を追いかけてしまったかも」
美冬は半分に減ったコーヒーにミルクを入れて、いつまでもスプーンでかき混ぜていた。
もう飲む気は無くなっているのがわかる。
少しの沈黙のあいだ、美冬は頬杖をついている悟の手を見ていた。
「最近、何かに感動した?」
悟は美冬が自分を見て目が合うのを待っていた。
そして答えた。
「ひとつだけ」
「その感動は絵に描けないもの?」
「描けると思う。協力してくれる?」
「私に出来ることならもちろん協力する」
美冬の目が輝いている。
「じゃあ今から帰って描く。一緒に来て」
悟はぬるくなった飲みかけのコーヒーを、ひと息で飲み干すと立ち上がった。
「美冬さんを描きたい」
----------つづく-----------
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれれ、また予告と違ってすみません
楽しいところまでたどり着かなかった~~
ではまた
この曲のおーちゃんのフェイクにはまっています
どこまでも伸びやかでカッコイイんだな~
もち、Snowflakeも聴いてます。では、どうぞ!
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妄想ドラマ 『Snowflake』 (12)
悟はキャンバスに向かう気持ちにもなれず、流れていく時に身をゆだねていた。
夏葉に会いたくてたまらないといった熱い感情が湧くことはなく、
案外一人でも平気に思える。
でもそんな日の後には、ボートで広い湖に漕ぎ出して、ふと振り返ったら自分がいた岸辺が
もうどこだかわからなくなって戻れないというような、そんな夢を見た。
目が覚めるとじわじわと寂しさが胸に広がってやりきれなくなる。
美冬と佐和野から個展の話をされたのが初夏、もう季節は秋にかわろうとしているのに
一枚の絵も描いていなかった。
美冬は絵を描く意欲を失っている悟に何も聞かなかった。
時々、食事や映画に誘ってたわいない話をした。
その日も映画を見た後、近くの店でコーヒーを飲みながら映画の感想を話していた。
「美冬さんって映画見て泣くこともあるんだね」
「そりゃ感動すれば泣くことだってあります」
美冬が急にクスッと笑った。
「どうしたの?」
「悟君と初めて会ったとき、映画見て泣いてたこと思い出した。可愛かったなぁ17歳の少年」
「俺、泣いたところを見られたの美冬さんくらいだよ。子供の時は別にして」
「じゃ、私が大町悟の秘密をひとつ知ってるってことね。変わりに私の秘密を教えてあげる」
「何?」
「実は私、絵が下手なの」
「ほんとに?」
「下手かどうかっていうより、いつも素敵な絵に囲まれているから、自分の絵が許せないって感じかな。
見るほうが好きなの。だからこの仕事にあってると思う。素晴らしい絵に出合って、感動することもあるし。
悟君の絵もそうだった。君に会ったから夢を追いかけてしまったかも」
美冬は半分に減ったコーヒーにミルクを入れて、いつまでもスプーンでかき混ぜていた。
もう飲む気は無くなっているのがわかる。
少しの沈黙のあいだ、美冬は頬杖をついている悟の手を見ていた。
「最近、何かに感動した?」
悟は美冬が自分を見て目が合うのを待っていた。
そして答えた。
「ひとつだけ」
「その感動は絵に描けないもの?」
「描けると思う。協力してくれる?」
「私に出来ることならもちろん協力する」
美冬の目が輝いている。
「じゃあ今から帰って描く。一緒に来て」
悟はぬるくなった飲みかけのコーヒーを、ひと息で飲み干すと立ち上がった。
「美冬さんを描きたい」
----------つづく-----------
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あれれ、また予告と違ってすみません
楽しいところまでたどり着かなかった~~
ではまた