(109) 延々と 山を這う影 月の長城
(110) 黒々と 聳える長城 月明り
この2句の中見出しが「万里の長城で月見」とある、
なんとも羨ましい限り、
万里の長城で月見とは!
こんな事中国人以外で誰が経験し得よう、
仕事で中国に長期滞在したことのある
作者ならではの貴重な体験であろう、
だが作品は残念ながら俳句らしくない、
❝延々と❞とか❝黒々と❞など全く不要、
万里の長城 や 月明かり などから想像はつくからだ、
このように広がりのある言葉は読者の想像に任せるに限る、
そこで 長城 と 月見 に焦点を絞って
❝長城に 月見せしこと 孫に言う❞
この場合❝孫に言う❞は事実とは異なる、
事実と違うことを句で表現することに抵抗を感じる
御仁は少なからずいる、
私はそれを否定するものではないが
少なくとも表現するからには俳句に限らず
表現したいことを無駄なく効率的に表現することに
意を注ぐのが最良だと思っている、
(112) 天守から 春の瀬戸見ゆ 今治城
(114) 満開の 丘から眺める 尾道の街
2022年4月作者を含め同級生4人でしまなみ海道を
レンタカーでドライブした、
2句ともにその時の記録だ、
作者ならずともどちらも記憶に留めたい眺めであった、
❝しまなみの 大橋見ゆる 今治城❞
❝花吹雪 尾道の街を 隠しけり❞
(115) 爛漫の 花を添えたり 耕三寺
(119) 魚獲らぬ しきたり今も 神の島
どこもかしこも花盛りであった、
耕三寺は国内の有名な神社仏閣の建物を模倣した
建造物が多数あることで知られている、
桜、はな桃の花などが色を添えて見事であった、
神の島 とは大山祗神社(おおやまずみ)を祭る
大三島のことである、
この島では今なお島の住民は魚を食べるけど
自分たちの手では取らないしきたりがあると言う、
❝禁漁の しきたり守る 神の島❞
(120) 難所なり 来島海峡の 潮速し
(122) 松山は 街並みクールな 城下町
来島海峡は潮の流れの速いことで知られた海の難所だとか、
❝来島の 潮流うずが 湧き上がる❞
ここの渦は不思議なことに湧きあがる、
大潮の時など1メートル近く高くなるらしい、
我われが見た時も確かに泉に湧きだすように
盛り上がっていた、
松山の句 街並みクール は理解しずらい、
たぶん
歓楽街のような喧騒的な街ではないの意味に解釈した、
❝松山城 街の真中に 君臨す❞
松山城が街を見下ろして乱れないよう
しっかり統治しているのだ。
今日はここまで、
独りよがりの感想になっているのではないかと
疑心暗鬼になっているが気の向いた時にでも
感想の感想などを頂けると幸いである。
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