のりひめのひとりごと Monologue of Noriko

2012年からオーストラリアと日本を行き来しています。日常のいろいろを書いてます。

夫婦の財布は高速道路★のりひめエッセイ

2011-10-04 18:20:43 | のりひめエッセイ
きぬちゃんへ さっきの話です

母と息子はさすが 同じ感覚なのであった・・・


その13「夫婦の財布は高速道路」

「ここで買えば4足買えた…。」
 買い物であまり後悔しない夫が、がっくり
と後悔している。ふたりでスニーカーを新調
しに地元の安い靴屋にいったときのこと。
 「めったに買わないんだから、靴はちゃん
としたほうがいいでしょ」と、私。
先日ビジネスシューズを買いに彼をひっぱっ
ていき、一足購入した。スーツにも履ける
靴で、18000円ほどだった。

 靴屋に勤めていたわたしとしては、靴に対
してはちょっとだけ思い入れがある。一日履
いて、汗もかくし、過酷な条件で使うものだ
から、数をそろえなくても、作り、履き心地、
素材は、すごく高級はムリでも、まあまあの
ものを選びたい。もちろん自分の靴もだ。

 「音楽用のソフト買ってもいい?」と彼が
先日きいたので、「どうぞ。」といった。そ
れは80000円だという。その前は、パソ
コン入力用キーボードとか、音楽作成に使う
機材、たまにギターのときもある。
 「TOTOが来るんだよ」とか「サイモン
&とガーファンクルが来るんだよ」と、ライ
ブに誘ってくれることもある。チケットはふ
たりで2万くらいになる。

 音楽系には10万くらいまでなら抵抗なく
出費できる彼がなぜ、自分の靴に2万円だせ
ないのか。靴は毎日履くもの、音楽は人生に
うるおいをあたえるけど、絶対そのもの(機
材やソフトや楽器)がないといけないかとい
うと、急いで買うこともない。

 などと考えていくと、あやうくけんかにな
りそうだ。しかし、ちょっと待って。

 わたしが靴に興味があるのは、靴屋さんに
つとめていたから。靴が単純に好きなのだ。
 彼が音楽に興味があるのは、音楽家を目指
していたことがあるから。そして今も音楽が
好きだから。

 金銭感覚は、価値観そのもの、人生そのも
のである。過去に楽しかったこと、大切だっ
たことはできる範囲で続けたいし、パートナ
ーと共有したい。私に靴を否定することは、
私の価値観を否定することだし、彼に音楽を
否定したら、彼の幸せを奪うことになる。

 結婚するときに「財布を一緒にしよう」と
彼から提案があった。長らく独身貴族を謳歌
していた私はびっくりした。お互いに金銭
感覚が違って当然だから、それぞれの枠をき
めて自由にお金を使ったほうが、ストレスが
少ないに違いないと、考えていたからだ。
 とはいっても、だめなら変えればいいと、
ためしにやってみた。

 感じたのは、お金がとても大事になったこ
と。節約もお互いのため、無駄遣いも健康へ
の投資や勉強もお互いのためと、腑に落ちた。

 ふたつの人生の出会いは、高速道路の合流
によく似ている。全速で走っているのだから、
すこしだけ技術が必要だ。うまく合流するた
めには、加速車線で、お互いをよく見て合図
を出す。すーっと合流できれば、合格だ。

(2011年8月12日)


後日談

さっきだ~りん母きぬちゃんと話していて
母も靴に対してくよくよしたことがあり、
まったく同じ感覚でした~
やっぱ親子だねっ とほほえましく思いました^^


大人も大好きおまけ本★のりひめエッセイ

2011-10-04 11:04:42 | のりひめエッセイ

その12「大人も大好きおまけ本」

 最近は本屋に行けば、なんでも揃う。傘、
靴下、化粧品から美顔ローラー、シリコン鍋
に、ワンピースまで買える。イブ・サンロー
ランのバッグだって3980円で売っている。

 昔はふろくは子供のものだった。「小学一
年生」や「科学と学習」や、「なかよし」や
「りぼん」などについていた。小さい頃には
親と一緒にふろくを組み立てて遊び、すこし
大きくなると自分で考えて、楽しみながら完
成させた。わたしも毎月「なかよし」を楽し
みにしていた。

 家に持ち帰るとさっそくふろくをあけて、
狭いお茶の間でひととおり組み立てて並べ、
親に「またいらないもの増やして!」と文句
をいわれながら、自分の机に持っていく。

 当時1970年代は紙が素材のふろくが多
く、いまひとつちゃちなものばかりだった。 
 一ヶ月間待ちに待っていたので、いつ読も
うか、食後の落ち着いた時間にしようか、そ
れともいまちょっとだけ読んでしまうか、い
や読みたいがもったいないから読者のおたよ
りコーナーから読もうか、などと悩む。

 あのころ大ヒットだった「キャンディキャ
ンディ」(いがらしゆみこ)は、毎月ほんと
うに楽しみで、悪役イライザのわなにはまり
そうになっているところで終わると、いても
たってもいられない。姉と続きの予想をした
り、次の号がでるまでの1ヶ月間で、何度も
読み返し、にがお絵も描く。当時はあくまで
本の内容が主で、ふろくは従だったのだ。

 ところがいまや、ふろくが主なのか、本が
主なのかさっぱりわからない。この電子化時
代でも本屋さんに寄りたくなる。格安のブラ
ンドものが簡単に手に入り、それも「本を買
ったの」と、正々堂々の口実までついてくる。

 それが戦略だそうで、本屋に寄り付かない
若者を本屋に招き、本屋離れを防いでいる。
おまけ本おそるべし!すばらしい功績だ。

 かくいうわたしも、おまけ本はよく購入す
る。つぼはスヌーピーだ。スヌーピーショッ
プでは手に入らない、一時期だけのレアアイ
テムだ。友人は2冊ずつ買うという。本の内
容は、完全に従。出版社は濡れ手にあわだ。

 宝島社の「ブランドムック」より前の段階
で、ビーズと作り方がついた「ビーズ本」な
どの手芸のムックなどを見かけた。「本の形
をしているだけで、本として流通できるのか
!」と驚きを感じた。

 天然石の豪華なセットにも驚いたが、金額
で驚愕するのはデアゴスティーニのコレクシ
ョンもの。全部そろえると相当な金額になる。
ロボットの場合は90号までつづいて総額1
2万円だという!

 本という形状の発想がどこまで発展するの
か、楽しみでしようがない。同時に、おまけ
本を買うたびに「またいらないもの増やして
!」と母の一喝が聞こえる気がする。
おまけ本とは、大人になっても持っている子
供の心をつかむ、ピーターパン商法なのだ。

(2011年8月10日)