のりひめのひとりごと Monologue of Noriko

2012年からオーストラリアと日本を行き来しています。日常のいろいろを書いてます。

天使が掘ってる落とし穴★のりひめエッセイ

2011-10-07 16:33:15 | のりひめエッセイ
夏に文章の練習で書いていた1200字エッセイを
掲載してます~♪



その15「天使が掘ってる落とし穴」

 人生には落とし穴がたくさん存在する。
 「この集まりに参加しても、時間が無駄
じゃないだろうか・・・」、「この商品をすす
められて買っても、あとで後悔するんじゃな
いか・・・。」といったことから、
「本当にこの会社に入って大丈夫かな」
「本当にこの人と結婚して大丈夫だろうか」
といった人生の岐路となる大選択もある。

 落とし穴には二種類ある。天使が掘る落
とし穴と悪魔が掘る落とし穴だ。

 「だまされたと思って食べてごらん。」
 小さいときに毎年送られてきた叔母お手製
のらっきょう漬け。すっぱくて甘くて独特の
らっきょうのくせのある味は子供心に苦手だ
った。毎年一回食べさせられるうちに食べら
れるようになり、ついに好きになった。

 「絶対つかまえるから、ここまでおいで」
 プールで両手をさしのべる母。ばたあしを
やってみたらすぐにぎゅっと手を握られ、抱
きかかえられた。それが嬉しくてなんどもや
るうちに、バタ足で前に進めるようになった。
 こんな風に少しずつ前に進むことを親や先
生に習ってきた。始める前は、こわい。でも
やってみたら、こんなによいことだったのか!
とわかること、それが人生の喜びだ。

 わたしはこれを「天使の落とし穴」と呼ん
でいる。新しいことに飛び込むときに、「え
いや!」と飛び込んでみる。とびこむ前は怖
い。痛いのではないか、だまされるんじゃな
いか、暗いし冷たいのではないか・・・。不安
はてんこ盛り。そして意を決して飛び込んで
みる。そこは楽しくて気持ちよくて嬉しい場
所。よくぞ落としてくれました。そういうの
が天使の落とし穴だ。あなたもそんな穴には
まったことがあるのではないだろうか?

 最初は天使の落とし穴か悪魔の落とし穴か
はわからない。もしも悪魔の落とし穴だった
ら、落ちたらそこは地獄。どんどん深みには
まって、出るのに相当苦労する。

 でも天使の落とし穴だったら、そこは天国。
即座に温泉のようにいやされるかもしれない
し、目の前の階段を上ったら、すばらしい眺
望が広がっているかもしれない。

 人は年を取るとだんだん臆病になる。経験
が疑いの引き出しを多くする。わたしは集客
やマーケティングの仕事をしてきたが、まさ
に天使の落とし穴を掘るのが仕事。優しくい
ざない、気持ちよくはまっていただき、なん
でしたら一緒にほかの人の分も一緒に掘りま
せんか、というスタイルだ。

 経験をそれなりに積んだ仕事のりのりのビ
ジネスパーソンほど、なかなか手ごわい。
わたしの掘っているのは天使の落とし穴です
よといっても、うさんくさいだけだ。そんな
ときには、天使の落とし穴を信じてくれてい
る人を総動員する。そうすると、そのなかの
一人か二人は信用したくなるもの。人は人を
信用したい動物なのだ。

 もちろん、後悔はさせません。あなたも天
使の落とし穴へ、はまりに来ませんか?

(2011年8月16日)