のりひめのひとりごと Monologue of Noriko

2012年からオーストラリアと日本を行き来しています。日常のいろいろを書いてます。

最終回「未知との遭遇」★のりひめエッセイ

2011-10-13 11:20:01 | のりひめエッセイ
夏に書いてたエッセイ全20回
いったん最終回で~す
おつきあいいただきありがとうございました
すごい人間関係で悩んでいたときでした 


その20「未知との遭遇」

 あなたは社交的ですか?私は、人見知り。

 知り合いがいると、知っている人と長く話
してしまうほうである。知らない人はこわい。
そして面倒くさい。異業種交流会などでも、
天然で人付き合いの得意な人というのはそん
なにいないように思える。
 初めての人は、異世界の人、世界がまだ共
有できてない人だ。その人とどうやって仲良
くなるか、それが問題だ。

 たくさんの本が本屋さんに並んでいるが、
いつも行くコーナーと行かないコーナーがあ
る。行くコーナーは、すでにその分野と自分
の関係ができているといえる。
 しかし行かないコーナーについては、ほと
んど目に入らない。関係がないというより未
関係だからだ。

 人とのコミュニケーションも同じではない
か。会ってすぐに仲良くなる人は、相手の世
界がすぐに自分と関係があると感じるからだ。
知らない分野の人でも、「知りたい」と思う。
お互いに知り合いたくなると、情報の交流が
盛んに高密度で起こる。一度会っただけなの
に、その人の話を誰かにすると、「へえ~。
ずいぶんよく知ってるんだねその人とはもう
長いの?」といわれる。

 反対にいつまでも仲良くなれない人もいる。
キャッチボールしようとしても、相手から投
げられた球は受け取れないし、自分が投げた
球も見過ごされる。あとで顔も思い出せない。

 自分に関係のない人だとスルーするのもよ
い。しかし、人は本のようにおとなしく同じ
場所におかれていない。ちょっとだけ努力し
て、関係を持ってみてもよいのではないか。

 すべての人に平等に与えられているもの。
それは時間だ。過去という時間は、いまのそ
の人を形作っている。

 過去の話をお互いにできれば、そしてお互
いに興味を持てれば、経験を共有することが
できる。日本人なら、ほとんどの人が小学校
に行っているだろう。テレビも見ているだろ
う。昔好きだったテレビでも、地元の話でも、
部活でも、UFOに遭った話でもよい。

 現在の話は、お互いにコンディションがあ
る。上り坂中の人もいれば下り坂中の人もい
る。未来の話は、現在のコンディションに左
右される。だからやっぱり過去の話がよい。
 過去の話から共通項や、尊敬できる貴重な
体験をすくいとることができれば、自分の世
界と関係性ができる。そうするとスムーズに
コミュニケーションができる。

 自分が興味関心を持ってみると、その情報
が一気に入ってくるものだ。たとえば、好き
なタレントができた、欲しい車がある、就職
した会社の商品はどうやってできているのか。
 興味をもつと、雪崩のごとくに情報が入り、
未知のものと関係を持つチャンスができる。

 人付き合いもそういうものではないだろう
か。未知は怖いが、遭遇をする勇気さえ持て
ばいつでも関係を持てるチャンスがある。今
日は勇気を出して話しかけてみよう。

(2011年8月26日)


もんじゃ焼きの関係★のりひめエッセイ

2011-10-12 10:10:38 | のりひめエッセイ
その19「もんじゃ焼きの関係」

 もんじゃ焼きといえば、下町月島が有名だ
が、もともと駄菓子屋で子供のおやつとして、
提供されていた。寺子屋が起源だという説も
ある。水でといた小麦粉を鉄板の上で文字を
書くようにして遊びながら食べる「文字焼き」
が転じて「もんじゃ」になったそうだ。

 わたしはもんじゃ焼きが大好きである。月
島に住んでいる友人が、いきつけの店で定期
的にもんじゃの会をしている。

 もんじゃには型がある。これを守らないと
正しくもんじゃが出来上がらない。

 最初に、なぜかやたらと小さなボウルに具
材がいっぱいに入って運ばれてくる。
 このボウルをなるべく傾けずに、熱々の鉄
板に具材をあける。とはいっても汁もこぼれ
てじゅうじゅうとはねるので、鉄板に手を近
づけすぎないように気をつける。周囲の人は
てきとうに鉄板からさりげなく遠ざかる。

 具材でドーナツ型のダムを作る。
 この中心に汁を入れ、混ぜながら具材を刻
んでいく。全体にぐつぐつ、とろみがでて、
はじがこげてきたら、各自のへら(ハガシ)
で食べていく。

 食べる前に一定の仕事をしなければいけな
いところが、もんじゃ焼きのよいところだ。
 数ヶ月に一回、この儀式を行う。久々の友
人と時間の経過を確認しあい、「なにしてた
?」「元気だった?」と、話に花が咲く。

 食べていくと、鉄板の上でもんじゃの形が
変化していく。時には形を作って遊ぶ。オー
ストラリアの地図をかたどり、「ここがケア
ンズ、ここがシドニー」などといっていると
「前にゴールドコースト行ったよ。この辺だ
ね」と、話も弾む。

 もんじゃの最後は真ん中だ。このころには
だいぶ煮詰まっていて、焦げ目もおいしくな
っている。「これ、食べちゃって~。一番お
いしいとこ!」というと、だれかが「いただ
きます!ありがとう!」とすくいとる。

 知らない同志とか、気の合わない相手とだ
と、もんじゃはちょっといやだろう。最後を
うきうきと食べられる関係が、もんじゃの友
ならではの親密感だ。

 焼肉は肉が切ってあるし、鍋は直箸でとり
わけなければよい。お好み焼きも、焼きあが
りに切ってしまうので、ほかの人と触れるこ
とはない。もんじゃは全体がひとつで、それ
ぞれに食べたい場所から攻めていく。鉄板の
上の陣取り合戦だ。にんにくたっぷりのもん
じゃもいいし、牡蠣とキムチもすばらしい。
コンビーフやベビースターなどもあり、
B級グルメな見た目と味が、会話を盛り上げる

 さて食べ終わると荷物をイスの下の収納か
ら出す。外に出ると風が心地よく、ついでに
髪にも服にもたっぷりにおいがついている。
 「わたしたち、今日もくさい仲だね」
 それは鉄板の遊び場帰りの連帯感だ。

 もんじゃの友は、たとえ離れて会えなくな
っても、一生ものの盟友なのだ。
(2011年8月25日)

----------
そういえば10年位前真夏にもんじゃやったね
その仲間で311のあと、月末に集まって
なんかすごく心があたたまったよね
寒くなってきたからまたやろうね~♪
にんにくたっぷりもんじゃ♪

カウントダウンは世界の境い目★のりひめエッセイ

2011-10-11 23:32:20 | のりひめエッセイ
夏に書いていた1200字エッセイです
全20回 残り2回です(カウントダウン)


その18「カウントダウンは世界の境い目」

 5、4、3、2、1、GO!
 カウントダウンの記憶の原点といえば、昭
和40年生まれの私にとっては、サンダーバ
ードというアメリカの人形劇のオープニング。
日本には当時なかった、大人の雰囲気のSF
だ。ここから英語の歌が始まる。
 小さい頃、オープニングに胸を躍らせて一
緒にカウントダウンしたものだ。英語でカウ
ントダウンするのがまたおしゃれだった。

 また、宇宙戦艦ヤマトのテレビ版アニメで
は、毎回「地球滅亡まであと○日」と最後に
出てくる。こちらもカウントダウンだ。
本当にイスカンダルから放射能除去装置を地
球に持って帰れるのか、どきどきして毎日観
ていた。ストーリーでは波動砲が発射される
日もあり、ロマンスの日もある。だが、必ず
最後に時間が確実に過ぎていっていることを
はっと気づかせる、物語をぴりっとしめる仕
掛けだった。

 カウントダウンといえば、新年のカウント
ダウン、スペースシャトル発射、プロレスの
3、2、1、0!、○○開催まであと何日、
桜の開花予想といろいろある。

 人はなぜかカウントダウンに引き寄せられ
るものだ。

 それには3つの理由が考えられる。

 1つ目はゴールがあるから。時間のゴール
は非常に明確だ。必ず進んでいつかは到達す
る。ほかのゴール、例えば100メートル競
技のゴールや、売上目標のゴールも、プロジ
ェクト成功のゴールも、明確であっても労働
集約的であり、自ら動かなければ到達できな
い。その点時間のゴールは、設定さえすれば、
誰からみても同じ、共有ができる。

 2つめの理由は、誰でもわかりやすいリズム
だ。5、4、3、2、1、GO!英語を知ら
ない未就学児でも言える。
 乾杯の唱和がうまくできなくても、音楽に
あわせてダンスが踊れなくても、カウントダ
ウンだけは誰でもできる。その気軽な乗りや
すさがいい。

 3つめの理由、それは境界線に対するどき
どき感だ。カウントダウンする前と後は、違
う世界になる。旧年と新年、発射前とあと、
勝負が付く前とあと、開催まえと開催開始、
桜の咲く前とあと…。

 まさにビフォア・アフター、この境界線で
世界ががらっと変わるのだ。
 カウントダウンはいやおうなく盛り上がる、
ならば、積極的に利用したほうがよい。

 イベント集客をするときには、日数のカウ
ントダウンと集客目標人数のカウントダウン
を行うとよい。ひとりでやってもつまらない
ので、スタッフはもとより、お客様もまきこ
む。時間の推進力を活用する。私もカウント
ダウンが大好きで、時間がせまってくればく
るほど燃えるタイプである。おそらくこうい
う人は、8月31日に夏休みの宿題をやる人
ではないか。夏休み最終日まであと7日だ。

(2011年8月24日)


ところで、わたしここ数日
めちゃめちゃ夏休み最終日状態でした
講座の卒業プレゼンテーション、必死の練習
終わったら11月のコンサートイベントの準備
プロの方のバックをやるために日曜日は一日集中の
付け焼刃、そして月曜は5時間リハ
本日は11月のイベントのフライヤー入稿
今日中にしないと日曜の実行委員会でお渡しできない。。。
ところがあてにしていた印刷会社が
短期の納品をやらなくなっててたいへん~ みたいな

それぞれの締め切りをなんとかすりぬけて
明日は吉祥寺で楽しく歯医者さん 夜は川口で
ユウサミイさんのコンサート♪
おわったらまたどたばた・・・です

こういう人は一生こうなのかしらね~・・・

子供の宇宙、文房具屋さん★のりひめエッセイ

2011-10-10 10:16:59 | のりひめエッセイ
その17「子供の宇宙、文房具屋さん」 

小・中学校は、毎日一番多く過ごす場所が
学校の机だった。机の上には、筆箱、下敷き。
授業に飽きたり、答えがわからないとき、自
習時間、友達と話せないときには、お気に入
りの文房具たちが味方だ。

 いきつけの文房具屋さんが2軒あって、友
達と遊ぶときのおきまりのコースだった。
 そこには色とりどりの小さなものたちの夢
の世界がある。運動会が近くなるとぽんぽん
をつくるためのカラーテープが入荷したり、
12月はクリスマスカードがはばをきかす。
文房具屋さんで季節を先取りしたものだ。

 一番好きなお店はサイジムという駅前のお
店で、ここは長居できる。100円で10円
の小さな金券をくれて、大事にためた。

 入り口左手のコーナーで新作をチェック、
そのままノートからレターセットへ。ひとつ
ひとつ吟味しながらゆっくり進む。ここから
奥にいくとレポート用紙や帳票類のコーナー
でつまらない。きびすを返して、誕生日やお
祝いのカードコーナーにとりかかる。こんな
の手作りでできるかな、無理かな、などと自
問自答しながら幅90センチほどのひな壇の
ケースをを順番に鑑賞する。

 次は、となりのご祝儀袋少々鑑賞して奥の
通路へ。黒いスケジュール帳や革の手帳のと
なりは筆記用具。子供が好きなキャラクター
の絵がついたぺン、下の段に消しゴム、角に
はこれまた大好きなシールコーナーだ。

 親におつかいを頼まれたときは、我が物顔
で店内を歩き回る。いつものコースにプラス
して、奥の書道コーナーにいってみたり、ガ
ラスケースの万年筆をじっくりながめる。

 文房具は、子供にとって、自由が許される
小さな宇宙だ。おこづかいのやりくりももこ
こから学んだ。

 高校は電車にのって通うようになり、地元
の文房具屋さんにいかなくなってしまった。
そのまま大学、就職、一人暮らし。たまにし
か実家に帰らなくなった。駅前にあった店は
次々とシャッターをおろした。

 久々に駅を降り立ち、実家に帰る。
 駅前の文房具屋サイジムは、あるだろうか。

 あったあった。昔とかわらない配置だ。商
品はきちんと入れ替えられ、ほこりもついて
いない。小額商品で、毎日買いに来るもので
もないのに、よくつぶれずに残っている。
 父に頼まれた封筒を買ってレジに行ったら
かわらぬ印刷の10円券をくれた。

 100円ショップや大型スーパー、コンビ
ニ、はてはアスクルなどのの大波がきても、
ちゃんと生き残り、店内には中高生の男子が
数人、買い物途中の主婦もいた。おそらく、
私たちの世代がお母さんになり、その子供た
ちがきているのだろう。

 街にあったふとん屋さん、靴屋さん、天ぷ
ら屋さんや生地屋さん、呉服屋さんが姿を消
す中、街の文房具屋さんは変わらず、10円
券を発行しながら、誰かの机の上や筆箱の中
に小宇宙を展開している。

(2011年8月23日)

今でも文房具屋さん 大好き!です~

最強のシニア口コミ力★のりひめエッセイ

2011-10-08 07:17:57 | のりひめエッセイ
その16「最強のシニア口コミ力」

 夫の母が白内障の手術をした。来月は、股
関節の手術をすることになっている。

 彼女のすごいところは、口コミ力だ。
口コミだけで、いい情報と悪い情報の両方を
集める。良いと聴いた病院の患者さんの他の
情報も集め、やっぱり他にしたほうがよさそ
うだとなれば、思いなおして軌道修正もする。
白内障も股関節も、見事なリサーチをして、
自分で手術先の病院をみつけた。

 白内障は、親戚から紹介された。昨年夏に
眼の不調があったのを機会に試しに医
者にかかり、今年の初夏、手術は大成功した。

 股関節は長年の悩みだった。とある日帰り
温泉で、見知らぬ女性に松戸の病院を教えて
もらい、診察に行った。その後友人から「も
っといいところがあり、これからそこで手術
するから、わたしの経過を見てみなさい」
といわれた。友人に同行して手術を決めた。

 この病院は期間が何日かかり、先生が何歳
くらいで、技術が新しいとか古いとか、しっ
かりきいてきた。さらに、手術料がいくら
で、保険でいくら出るかか、情報の密度は高
まるばかり。

 「それどこで教えてくれたの?」ときくと、
プールで出会った見知らぬ女性、温泉でとな
りあった人、越谷市の市民合唱団の友人、親
戚、息子が経営しているお店のお客さんなど。
情報源はいつでも、生の口コミだ。

 口コミとは、マスコミ(新聞テレビ雑誌ラ
ジオなど、不特定多数に向けた媒体による情
報発信)に対しての言葉で、個人的な口伝え
のコミュニケーションを意味する。

 昔は井戸端会議や給湯室などの対面だった
り、電話でのコミュニケーションだったが、
最近はメール、掲示板からブログ、ツイッタ
ーやフェイス・ブック、mixiなどのソーシャ
ルネットワークなど、口コミ情報も多様化し
ている。情報を集めようとすればするほど、
いろいろな情報が押し寄せ、意思決定がしに
くくなる。

 しかし、母のやり方は堅実だ。欲しい情報
をさりげなく発信し、得た情報に耳を傾け、
自分の足で行ってみて確かめ、リスクとメリ
ットについて自分なりの仮説をたてる。同時
に体験者の生の声を収集する。選択肢をいく
つか設けて、最良を選択する。マーケティン
グ担当者から見ると手ごわい相手である。

 口コミというのは、小さなおせっかいだ。
 あの人に教えてやりたい、知っておいたほ
うがよい、善意がさわさわと伝わっていく。
 実は母自身も、口コミの中心にいる。大好
きな温泉、おそばやカラオケ、いろいろな楽
しみは人に伝えたい。だから人からも情報が
たくさん集まってくる。、

 インターネットは従来のコミュニケーショ
ンを道具で便利にしたにすぎない。リアルネ
ットワークは何より確実、強靭なのだ

(2011年8月17日)

後日談
無事股関節の手術は成功し
誰よりも早く退院して出てきました
近所の人でも股関節で悩んでいる人がいて
教えてあげてました
面倒をみてくれたお友達もきてくれて
よかったね といってくれました
コーラスの仲間も快気祝いの会を開いてくれました
その病院の評価はあがるばかりです
きっと30名以上には伝わっていることでしょう
ネットがなくてもすごいんだ~


天使が掘ってる落とし穴★のりひめエッセイ

2011-10-07 16:33:15 | のりひめエッセイ
夏に文章の練習で書いていた1200字エッセイを
掲載してます~♪



その15「天使が掘ってる落とし穴」

 人生には落とし穴がたくさん存在する。
 「この集まりに参加しても、時間が無駄
じゃないだろうか・・・」、「この商品をすす
められて買っても、あとで後悔するんじゃな
いか・・・。」といったことから、
「本当にこの会社に入って大丈夫かな」
「本当にこの人と結婚して大丈夫だろうか」
といった人生の岐路となる大選択もある。

 落とし穴には二種類ある。天使が掘る落
とし穴と悪魔が掘る落とし穴だ。

 「だまされたと思って食べてごらん。」
 小さいときに毎年送られてきた叔母お手製
のらっきょう漬け。すっぱくて甘くて独特の
らっきょうのくせのある味は子供心に苦手だ
った。毎年一回食べさせられるうちに食べら
れるようになり、ついに好きになった。

 「絶対つかまえるから、ここまでおいで」
 プールで両手をさしのべる母。ばたあしを
やってみたらすぐにぎゅっと手を握られ、抱
きかかえられた。それが嬉しくてなんどもや
るうちに、バタ足で前に進めるようになった。
 こんな風に少しずつ前に進むことを親や先
生に習ってきた。始める前は、こわい。でも
やってみたら、こんなによいことだったのか!
とわかること、それが人生の喜びだ。

 わたしはこれを「天使の落とし穴」と呼ん
でいる。新しいことに飛び込むときに、「え
いや!」と飛び込んでみる。とびこむ前は怖
い。痛いのではないか、だまされるんじゃな
いか、暗いし冷たいのではないか・・・。不安
はてんこ盛り。そして意を決して飛び込んで
みる。そこは楽しくて気持ちよくて嬉しい場
所。よくぞ落としてくれました。そういうの
が天使の落とし穴だ。あなたもそんな穴には
まったことがあるのではないだろうか?

 最初は天使の落とし穴か悪魔の落とし穴か
はわからない。もしも悪魔の落とし穴だった
ら、落ちたらそこは地獄。どんどん深みには
まって、出るのに相当苦労する。

 でも天使の落とし穴だったら、そこは天国。
即座に温泉のようにいやされるかもしれない
し、目の前の階段を上ったら、すばらしい眺
望が広がっているかもしれない。

 人は年を取るとだんだん臆病になる。経験
が疑いの引き出しを多くする。わたしは集客
やマーケティングの仕事をしてきたが、まさ
に天使の落とし穴を掘るのが仕事。優しくい
ざない、気持ちよくはまっていただき、なん
でしたら一緒にほかの人の分も一緒に掘りま
せんか、というスタイルだ。

 経験をそれなりに積んだ仕事のりのりのビ
ジネスパーソンほど、なかなか手ごわい。
わたしの掘っているのは天使の落とし穴です
よといっても、うさんくさいだけだ。そんな
ときには、天使の落とし穴を信じてくれてい
る人を総動員する。そうすると、そのなかの
一人か二人は信用したくなるもの。人は人を
信用したい動物なのだ。

 もちろん、後悔はさせません。あなたも天
使の落とし穴へ、はまりに来ませんか?

(2011年8月16日)

魔法の小箱商法★のりひめエッセイ

2011-10-06 11:38:00 | のりひめエッセイ

その14「魔法の小箱商法」

 ピンクローズという名前の通りのブティッ
ク。店内はピンク一色、リボンのついたテデ
ィベアが、色とりどりのかわいい服だらけの
店内。わたしはここの服が大好きです。とは
いえ、一度しか行ったことがありません。

 ブティックのオーナーの安部さんは、自分
で東南アジアやイタリアなどに年に4回ほど
買い付けに行き、妹さんとふたりで小さなブ
ティックを経営していました。

 当時わたしは、洋服といえばあわせやすい
黒ばかり。そんなときに出会った安部さんは、
フリル満開のブラウスにきらきらジーンズ、
華やかな雰囲気で、とても元気な人でした。

 「30過ぎたら黒い洋服は老け込むからだ
めよ」「ボトムが明るい色だと3歳若く見え
るわよ」「かわいいんだから自信もって!」
 などとやつぎばやに言われ、会えばとても
楽しい気分にさせてくれました。

あるとき、たまたま大分出張があり、これ
幸いとお店をたずねました。
 「よく来たわね!じゃあ着せ替え人形はじ
めましょうか」と、彼女は、お店中の洋服か
らわたしに似合いそうなものを片っ端から選
び始めました。2時間ほどいままで着たこと
もないタイプの服を着せてもらって、わたし
の気分は絶好調。結果、Tシャツ、ブラウス、
パンツなどあわせて8着を購入しました。

 一週間ほどで、丈つめをしてもらったパン
ツが送られてきました。それだけでなく、ダ
ンボールにほかの洋服も入っていました。

 「新しいのがきたので、気にいりそうなも
のをいれてみたけど、気に入らなかったらそ
のまま着払いで送り返してね」という手紙と
ともに、また好みの洋服が次から次へと出て
きました。気に入ったものだけを選び、お金
を振り込んで、残りはお店に返送しました。

 それをきっかけに年に数回、彼女から洋服
がつまったダンボールがとどき、いるものを
選んでサイズ直しのものといらないものは送
り返す、ということが続きました。

 ダンボールが届くたび、それはわくわくと
箱をあけます。一度は変わったスーツが入っ
ていて、「イタリアで見つけたの。あなたに
ぴったりだと思って」とメッセージがありま
した。「イタリアから私のために仕入れてく
れたんだ~!」と大感激。当時はまだテレビ
携帯通話もスカイプも無かったですが、デジ
カメで写真を撮ってメールして、電話をかけ
て、「どう?似合う?」「似合う似合う!」
なんて、もう大はしゃぎです。

 箱が届くたびに感じること。わたしのこと
を考えてくれたんだなという嬉しさ、信用し
てくれているありがたさ(後払いですから)、
まるで占い師のように、気分をにぴったりの
楽しい洋服たち。

 わたしはひそかに「究極の魔法の小箱商法」
と、名前をつけてみました。
ファッションが天職と、心から仕事を楽しむ
安部さんならではの、素敵なメソッドです。

(2011年8月15日)

夫婦の財布は高速道路★のりひめエッセイ

2011-10-04 18:20:43 | のりひめエッセイ
きぬちゃんへ さっきの話です

母と息子はさすが 同じ感覚なのであった・・・


その13「夫婦の財布は高速道路」

「ここで買えば4足買えた…。」
 買い物であまり後悔しない夫が、がっくり
と後悔している。ふたりでスニーカーを新調
しに地元の安い靴屋にいったときのこと。
 「めったに買わないんだから、靴はちゃん
としたほうがいいでしょ」と、私。
先日ビジネスシューズを買いに彼をひっぱっ
ていき、一足購入した。スーツにも履ける
靴で、18000円ほどだった。

 靴屋に勤めていたわたしとしては、靴に対
してはちょっとだけ思い入れがある。一日履
いて、汗もかくし、過酷な条件で使うものだ
から、数をそろえなくても、作り、履き心地、
素材は、すごく高級はムリでも、まあまあの
ものを選びたい。もちろん自分の靴もだ。

 「音楽用のソフト買ってもいい?」と彼が
先日きいたので、「どうぞ。」といった。そ
れは80000円だという。その前は、パソ
コン入力用キーボードとか、音楽作成に使う
機材、たまにギターのときもある。
 「TOTOが来るんだよ」とか「サイモン
&とガーファンクルが来るんだよ」と、ライ
ブに誘ってくれることもある。チケットはふ
たりで2万くらいになる。

 音楽系には10万くらいまでなら抵抗なく
出費できる彼がなぜ、自分の靴に2万円だせ
ないのか。靴は毎日履くもの、音楽は人生に
うるおいをあたえるけど、絶対そのもの(機
材やソフトや楽器)がないといけないかとい
うと、急いで買うこともない。

 などと考えていくと、あやうくけんかにな
りそうだ。しかし、ちょっと待って。

 わたしが靴に興味があるのは、靴屋さんに
つとめていたから。靴が単純に好きなのだ。
 彼が音楽に興味があるのは、音楽家を目指
していたことがあるから。そして今も音楽が
好きだから。

 金銭感覚は、価値観そのもの、人生そのも
のである。過去に楽しかったこと、大切だっ
たことはできる範囲で続けたいし、パートナ
ーと共有したい。私に靴を否定することは、
私の価値観を否定することだし、彼に音楽を
否定したら、彼の幸せを奪うことになる。

 結婚するときに「財布を一緒にしよう」と
彼から提案があった。長らく独身貴族を謳歌
していた私はびっくりした。お互いに金銭
感覚が違って当然だから、それぞれの枠をき
めて自由にお金を使ったほうが、ストレスが
少ないに違いないと、考えていたからだ。
 とはいっても、だめなら変えればいいと、
ためしにやってみた。

 感じたのは、お金がとても大事になったこ
と。節約もお互いのため、無駄遣いも健康へ
の投資や勉強もお互いのためと、腑に落ちた。

 ふたつの人生の出会いは、高速道路の合流
によく似ている。全速で走っているのだから、
すこしだけ技術が必要だ。うまく合流するた
めには、加速車線で、お互いをよく見て合図
を出す。すーっと合流できれば、合格だ。

(2011年8月12日)


後日談

さっきだ~りん母きぬちゃんと話していて
母も靴に対してくよくよしたことがあり、
まったく同じ感覚でした~
やっぱ親子だねっ とほほえましく思いました^^


大人も大好きおまけ本★のりひめエッセイ

2011-10-04 11:04:42 | のりひめエッセイ

その12「大人も大好きおまけ本」

 最近は本屋に行けば、なんでも揃う。傘、
靴下、化粧品から美顔ローラー、シリコン鍋
に、ワンピースまで買える。イブ・サンロー
ランのバッグだって3980円で売っている。

 昔はふろくは子供のものだった。「小学一
年生」や「科学と学習」や、「なかよし」や
「りぼん」などについていた。小さい頃には
親と一緒にふろくを組み立てて遊び、すこし
大きくなると自分で考えて、楽しみながら完
成させた。わたしも毎月「なかよし」を楽し
みにしていた。

 家に持ち帰るとさっそくふろくをあけて、
狭いお茶の間でひととおり組み立てて並べ、
親に「またいらないもの増やして!」と文句
をいわれながら、自分の机に持っていく。

 当時1970年代は紙が素材のふろくが多
く、いまひとつちゃちなものばかりだった。 
 一ヶ月間待ちに待っていたので、いつ読も
うか、食後の落ち着いた時間にしようか、そ
れともいまちょっとだけ読んでしまうか、い
や読みたいがもったいないから読者のおたよ
りコーナーから読もうか、などと悩む。

 あのころ大ヒットだった「キャンディキャ
ンディ」(いがらしゆみこ)は、毎月ほんと
うに楽しみで、悪役イライザのわなにはまり
そうになっているところで終わると、いても
たってもいられない。姉と続きの予想をした
り、次の号がでるまでの1ヶ月間で、何度も
読み返し、にがお絵も描く。当時はあくまで
本の内容が主で、ふろくは従だったのだ。

 ところがいまや、ふろくが主なのか、本が
主なのかさっぱりわからない。この電子化時
代でも本屋さんに寄りたくなる。格安のブラ
ンドものが簡単に手に入り、それも「本を買
ったの」と、正々堂々の口実までついてくる。

 それが戦略だそうで、本屋に寄り付かない
若者を本屋に招き、本屋離れを防いでいる。
おまけ本おそるべし!すばらしい功績だ。

 かくいうわたしも、おまけ本はよく購入す
る。つぼはスヌーピーだ。スヌーピーショッ
プでは手に入らない、一時期だけのレアアイ
テムだ。友人は2冊ずつ買うという。本の内
容は、完全に従。出版社は濡れ手にあわだ。

 宝島社の「ブランドムック」より前の段階
で、ビーズと作り方がついた「ビーズ本」な
どの手芸のムックなどを見かけた。「本の形
をしているだけで、本として流通できるのか
!」と驚きを感じた。

 天然石の豪華なセットにも驚いたが、金額
で驚愕するのはデアゴスティーニのコレクシ
ョンもの。全部そろえると相当な金額になる。
ロボットの場合は90号までつづいて総額1
2万円だという!

 本という形状の発想がどこまで発展するの
か、楽しみでしようがない。同時に、おまけ
本を買うたびに「またいらないもの増やして
!」と母の一喝が聞こえる気がする。
おまけ本とは、大人になっても持っている子
供の心をつかむ、ピーターパン商法なのだ。

(2011年8月10日)


餃子という記号★のりひめエッセイ

2011-10-03 13:50:06 | のりひめエッセイ

その11「餃子という記号」

 あなたは餃子、好きですか?
 いまフェイスブックの仲間で盛り上がって
いるのが餃子。徳島の美人女性社長がはじめ
たグループだが、6月7日にできて1ヶ月ほ
どで、知り合いだけで100人超、毎日、朝
から晩まで餃子談義をしている。

 どこそこの餃子が絶品、ここの餃子が好き、
という話から、今日は海老餃子を作ったとか
100個作って6人で食べたとか、はては餃
子専用冷蔵庫に、材料をストックしている男
性が、赤唐辛子の皮の餃子を作ったとか。

 情報のるつぼのわりに、写真にひとことそ
える程度の情報で、コメントが20も30も
つく。なんと闇餃子パーティなるものも、徳
島で開催されたそうだ!
 さらには「もしわたしが餃子屋をやるとし
たら」、というトピックは妄想が妄想を呼び、
立地から原価計算、店内イベントにシフト案
まで、あやうく開店してしまいそうである。

 なぜ「餃子」だけでこうも話がはずむのか。

 餃子好きの脳には、餃子回路がある。餃子
→ビール、餃子→白いご飯、餃子→にんにく、
餃子→空腹、餃子→お出かけ、餃子→手作り、
餃子→家族の思い出、餃子→休日のご馳走…。

 つまり「餃子」というと、ほわ~んと幸せ
なイメージがわくのである。

 わたしは、父が満州生まれなので、小さい
ときから中華料理に親しんできた。家では定
期的に餃子を山ほど食べる日があり、4人家
族なのに100個作って、夕食で全部食べき
っていた。母が餡を作り、新聞紙を茶の間に
広げてわたしが皮をならべる。餡を分配する
速さとつつむ速さをむきになって競う。

 笑点が終わるころ包み終わると、父のビー
ルのおつまみが出てくる。餃子がやけるまで
のとりあえず、一杯。
 フライパンに一杯にならべられた餃子は、
じゅーっという音とともに焼きあがる。
 母は大きな皿をフライパンにかぶせて、え
いやっとひっくり返し「さあ次いくわよ!」
と、台所で大汗をかきながら焼き続ける。
次から次へとわんこそば状態だ。

 やっと最後の皿ができて、母も座って食べ
る。父はとっくにリタイア、姉も気がすんで
しまっている。でも母はやっと食べられるの
で、わたしはもうおなかいっぱいだが、ひと
りで食べるのがさびしかろうと、母につきあ
う。休日のご馳走で、イベントだった。

 結婚した今でも家で餃子を作る。外でも食
べるので、週一回以上は、餃子を食べている。

 きっと一生、わたしにとって餃子という記
号は幸せを意味するのだ。

 そして友人と餃子について語り合うことで、
それを口実に飲み会をすることも増えそうだ。
フェイスブックの仲間にも、十人十色の餃子
の幸せがあるのだろう。幸せは家から外へ、
冷えたビールグラスで乾杯しながら、餃子愛
を語り合う仲間が増えて嬉しいこの頃である。

(2011年8月9日)


-----
後日談

進化し続ける餃子コミュニティ、
オフ会も開催され、
10月になったきょうも餃子の話でもりあがってます