ひろがり主催の食べる力を育てる研修会のひとつである講演
会が、6月7日に小児の摂食嚥下分野では第一人者の田村文誉
先生をお招きし、約60名が参加し開催さました。
先生は現在、日本歯科大学の教授で大学の運営する口腔リハ
ビリテーション多摩クリニックで、主として障害児の摂食嚥下
障害の診療に取り組まれる一方、多くの専門学会に属し、発表
や講演、シンポジウムに参加されるなど大活躍の先生です。
今回は「小児の摂食嚥下指導の考え方」として、摂食嚥下時
の外部からの観察評価の方法、とくに発達的視点で口唇、口角、
舌、オトガイの動きなどを見ることが重要であることを、動画
で提示しながら説明されました。また、機能の発達段階に応じ
た目標設定と、それに応じた指導法のポイントを、詳しく述べ
られました。
その上で、摂食嚥下指導は、その場によって異なるもの
であり、医療の場と教育や保育の場での違いを指摘され、とく
に保護者に対しては、食べることの支援を通して、「子育て」
が楽しくなるように指導することが必要をであることを強調
され、指導者側の様々な感性を磨くことの大切さを指摘され、
講演を結ばれました。
1時間半の講演でしたが、そのソフトな口調でわかりや
すい話し方に、参加者も最後まで耳を傾けていました。
田村先生、貴重なお話をありがとうございました。
<参加者の講演後の感想の一部です>
・とても分かりやすい言葉・話し方で、大変わかりやすく参
考になった。(今までで一番分かりやすかった。とても頭と
心が整理できました)
・外部観察評価の仕方、目標の立て方、具体的なアプローチ
法など、知りたかったことがたくさん入っていて参加してよ
かったと思います。
・外部からの観察が重要としつつも、反面、それだけにとら
われ「生活を見ないのは本当の支援にならない」という言葉
が印象に残りました。
・外部からの観察というテーマで、教育現場で役立てられそ
うなお話でした。スケールについても捉われすぎては…と言
っていただけたことも嬉しかったです。
・主訴によって求められる支援は異なるというフレーズがあ
り、本当にそうだなあと痛感し、子どもたちの生活のすべて
を見ないと本来の支援のあるべき姿が分からないなあと思
いました。
・歯科医師の立場からの摂食指導の考え方を、発達の過程
や検査などを動画で紹介していただき、勉強になりました。
・個人差があることは分かっていても、つい時間がかかり焦
ってしまうことが多いが、「できることから行えばよい」
ということ、また、姿勢を抑制するとかわいそうだと思って
いたが、「よい動きを教えるための訓練」ということを聞き
安心した。
・障がいのある方の支援は、医療と教育・福祉の連携が大切
ですが、その連携の中で、それぞれの立場での専門性と考え
方のチームで合わせていくことが大切だと思いました。
・連携という方法論ではなく「考え方」が大切な内容だった
ので、よかったです。
・自分の知識が曖昧な部分については、解説を受けても、引
っ掛かりはあるものの未消化になってしまいました。また、
お話を聞くことができれば嬉しいです。