45第12話Rの機能停止
ファウンデーションの夢
第六部
ベイタ・ダレル
第12話
Rの機能停止
あらすじ
ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。
ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。
ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。
時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。
ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。
その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。
そこに第三者がまた登場する。
二重スパイ!?
そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。
さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。
最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。
トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。
彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。
エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。
ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。
そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。
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トラン ベイタ、大丈夫か?
君が射つ前に、ヴェナさんが射った。その原子銃、よこしなさい!
ベイタ トラン、わからないの?
このマグニフィコ、ミュールなのよ!ミスさんは私の話し、聞いてくれなかったわ。
そして、第二ファウンデーションの居場所をボボ(マグニフィコ)がいる前で話そうとしたのよ。
ボボ(マグニフィコ)、いやミュール。はっきり言いなさい!
ボボ ああ、その通りだ。
ベイタ、最後の最後で、君に負けた。
認めるよ。
もう少しで、この銀河を手に入れられたのに。
一女性にどんでん返しを受けた。
敗北だ。第二ファウンデーションの居場所さえわかれば、私の銀河支配も完成する寸前だった。
はっきり言おう。
ベイタ、君にだけ、生まれて初めて異性を感じた、人間としての誇り、愛、希望を感じた。
君だけが私を一個の命として認めてくれた。だから心を許し、私は、君にだけには感情操作をしなかった。
私が一個の人間として自覚した瞬間、皮肉にも、逆説的に宇宙の支配者から転げ落ちた。しかし、私の命のあるかぎり、挑戦する。
プリッチャー大尉が待ってる宇宙船にこれから行く。ダゼンダ(星界の涯)が第二ファウンデーションだという話がある。
ヴェナ・ビリ( R・ドース) 私はドースよ。
かわいい、ベイタちゃん。あなたには人を殺させる訳にはいかなかったの。
センターさんに頼まれて、トランターにやって来たのよ。
あなたにはこんなに苦労をかけたのには理由があるの。
ごめんなさいね!分かるわよね!
あなただけが真実を知った、ということが大事だったの。そしてあなたが言うことを誰も信じようとはしないようにしたのも私のよ。
そう干渉したの。そうしないとすべてミュールの思う壺だったの。
セルダンの意志を実現しなくてはならなかった。私はハリを愛した。そして自分の子じゃなかったレイチを慈しんだ。そしてあなたに至る子孫のみんなをもね。
どうしてもミュールには第二ファウンデーションの居場所を隠さなくてはならなかったの。そうでないと、この銀河には希望と命が消えてしまう。
もう一度銀河を蘇らせたい。
私は人間を死なせたから、もう直、機能停止するわ...悲しまなくていい..
yatcha john s. 「星界の涯」
※「ダゼンダ」というのは、英語でthe end of stars(星界の涯)をもじった第2ファウンデーションが長い年月を通して巧妙にでっち上げた惑星であるという説もある。
このことが、ベイタの孫のアルカディアの時代で災いを引きずることとなる。
それがまた引き金となって反ミュールの動きが出て来るのであるから、宇宙の因果の糸(意図)は神秘に充ちている。