神秘主義宗教の主な特徴として「光」の体験が挙げられます。そしてそれは普通に見られる光とは異なったものです。
これに関しては多くの記録が残されていますがそれらの中でも特に有名な人の体験をいくつか紹介します。
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アウグスティヌス(4~5世紀)はキリスト教の神学者。聖ヒエロニムスに助言を求める手紙を出したところ、書斎に光が満ち、ヒエロニムスの声が聞こえたという。
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わたしは書物から自分自身にたちかえり、わたしの心の内奥に進んでいった。
わたしは進んでいったとき、私の魂の目にはそれはなおかすんでいたが、まさしく魂の目の上に、わたしの精神の上に、不変の光を見た。
それは、肉眼にも見えるような普通の光ではなく、万物を照らすというような光でもなかった。
わたしが見た光は
そういう光ではなく
このようなすべてとはまったく異なったものであった。
…真理を知るものは
この光を知り、
この光を知るものは
永遠を知る。
それを知るものは愛である。
―中略―
天上からあなたの声が聞こえるように思った。そこでわたしは「真理は有限の空間にも無限の空間にもひろがらないから、無であるのではなかろうか」とたずねた。
そうすると、あなたははるか彼方から、
「わたしは
存在するものである」
と叫ばれた。
わたしはこの声をあたかも心で聞くように聞いたので、疑いの余地はまったくなくなり、「造られたものによって悟られ、明らかに知られる」真理の存在を疑うよりはむしろ自分が生きていることを疑ったであろう。
アウグスティヌス/「告白」7巻10章