人形と動物の文学論

人形表象による内面表現を切り口に、新しい文学論の構築を目指す。研究と日常、わんことの生活、そしてブックレビュー。

佐藤亜紀さんの朗読会に行ってきました。

2016-07-18 14:48:35 | 佐藤亜紀関連
7月16日(土)に佐藤亜紀さんの朗読会(@本の場所)に行ってきました。

内装や木の椅子(ちょっとお尻が痛かったけど)も可愛くて、
前(というべきか、演台の後ろというべきか)にかけてあった絵も素晴らしく、
とても素敵な会でした。

絵は真野暁亭のもの。虎の絵の毛並みの描き方、爪の感じなど、可愛くて、中央にかけてあった涅槃図(は涅槃図としか説明がなかったので、特に作者名とかは分かってないのかな??)も、動物たちが集まってきて嘆き悲しんでいる様子が、動物好きにはたまらない感じです。

ちょっとどの程度詳しく書いても大丈夫なのかよく分からないのですが、
(1)最初に少し『吸血鬼』の制作に関わるあれこれについてお話しされて、
(2)その後第4章の朗読、
(3)質疑応答
(4)『スウィングしなけりゃ意味がない』(現在『文芸カドカワ』において連載中)の朗読
という流れでした。盛りだくさん。

偶然なのでしょうけれど、『吸血鬼』のなかには朗読会の場面もあるので、その『吸血鬼』で朗読会、というのが素敵ですよね。
あえて朗読会ではない場面を朗読されたのが佐藤さんらしいと思いますが…。
作中に出てくるクワルスキの詩は、典型的なロマン主義の詩をイメージしてのもの、「バイロン卿ごっこ」とのことでした。

すでに何人かツイートされている方がいらっしゃるようですが、
まず初めに『ブレーキングバッド』の話から入り、『ブレーキングバッド』についていた(付録の?)台本からの発想で、
描写をどこまで切り詰められるか、どこまで省いてもイメージが湧くか、ということをやりたかった、というお話。
また、物(から)の一人称視点というのも、試しているそうです。
これは『小説のストラテジー』や『小説のタクティクス』からも連続する内容でした。

あと、これは質疑応答のときに出てきたお話だったでしょうか、
舞台になっている地方(ガリチア地方)の、言語の話や、ルテニアカトリックの話も面白かったです。
ルテニア語というのはほぼウクライナ語なんだそうです。

本文中で使用している方言は佐藤さんの地元の方言なのだそうですが、
あ、こういう風に読むんだ、というイメージが朗読を聞いて初めてつかめました。
ただ、新潟方言は全然発声から違う、それを一緒に朗読するのが難しい。
標準語の部分と一緒に読むために、発声などは標準語的なものになっている、とのことでしたが。
実際にはルテニア語とポーランド語(あるいはドイツ語)との違いは、標準語と新潟方言よりも大きい、けれども自分がつかえる方言が地元の方言だけだった、とのこと。

そして何より、ご本人は朗読というものをするのは初めてだ、とのことでしたが、
朗読の時間が素晴らしかったです。
『スウィング…』の朗読まで聞けて…。

サインいただきました(ちゃんとサインペン持ってくんだった)。





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