くもり のち あめ

うしろ向き、うしろ向き、たまに、まえ向き。

乾くるみ・著 『リピート』

2008-01-08 13:05:43 | 読書


今の記憶を持ったまま過去に戻れるとしたら。
ただし持っていけるのは記憶のみ。
しかも戻れる期間は10ヶ月前限定。

登場人物達は半信半疑ながらその話に乗り、
実際に10ヶ月前に戻ることができた。

ある者はお金儲けを画策し、
ある者は大学受験をやり直そうとし、
ある者は過去で悲惨な結末を迎えた恋愛を
違う形にしようともくろむ。

しかし戻った先の過去で、自分が前回と違う行動を
することにより歪が生じはじめて・・・。

自分だったらどうだろう。
例えば今から10ヶ月前だと3月8日に戻れるのか。

結構仕事がハードな時期だったし、
そういった意味では戻りたくないかも。

それでもとりあえず『ロト6』の当選結果でも覚えておいて、
サクッと10億ほど稼ぐと思う。

でもいきなり10億とか手に入ると絶対に何かおかしな
ことが起こるのは目に見えている。

お金の匂いに釣られて色々と厄介なものまで
やってくるのは間違いないだろう。
妬みや恨みもいっぱい買いそうだ。
下手をしたら命さえ落としかねない。

使い切れないほどのお金が手に入ったら
不安や心配事が減るかもしれないけれど、
失うものや、本来得られたはずの素晴らしいものも
通り過ぎてしまったり、自分の手からこぼれ落ちて
しまいそうな気がする。

今のままが幸せかもしれないし、
10億円あった方が幸せかもしれないし、
そればかりは分からない。

小説のように何度も人生がリピートできれば
少しは分かるかもしれないけれど、
この人生は1度しかないし、
たまに訪れる人生の分岐点の直前でセーブしておいて、
こっちの選択をしたらこうなる、
こっちの場合だとこうなる、
なんてゲームみたいなことは通用しない。

もちろん今の人生だって全くやり直しが利かないというわけでも
ないけれど、それは万能じゃないし
完全にリセットされるわけでもない。
何かを誤ったと感じてやり直すにしても
その間も時間だけは進み続けているのだから。

それでもやっぱり今の記憶を持ったまま
10ヶ月前ではなくて中学校時代に戻れたらちょっと楽しそうだなとか
考えてしまう。

そうすると絶対に前回と違う道を歩んでしまって
波乱万丈になり、今よりも辛くて、大変で
悲惨な人生になってしまうかもしれないので、
結局は妄想レベルで楽しむのが一番いいのかもしれない。