本日5月28日は
一つ前の記事に書きましたように
朝早くから
石清水八幡宮の献茶式に出かけましたが
もし時間があれば
大徳寺瑞峯院にも行きたいと
思っていました
というのは
茶道雑誌に
名古屋の中村道年さんが
釜を懸けると書かれていたからです
私が名古屋でお茶を始めた頃
ご指導していただいていた先生が
名古屋の八事の先生で
道年さんの所へは
度々連れていっていただき
お茶碗作りをさせていただいたのです
石清水八幡宮のお献茶の後
車を走らせて
午後2時過ぎには
大徳寺に着くことができました
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瑞峯院
いつもは
大徳寺の月釜へは
午前中に出かけます
10時や11時頃は
大勢の方で賑やかですが
午後2時過ぎともなると
待合の方も少なく
ゆったりと
会記を拝見させていただきながら
ご案内を待ちました
たまさか
待合でご一緒になった方が
名古屋のご出身ということで
同郷同士
親しくお話をさせていただきました
しばらくして
お席のご案内を受けて
席に入りますと
他に着物姿の方がいらっしゃらず
私が名古屋出身ということで
正客を勧められ
皆様に助けていただく形で
座らせていただくことにしました
お道具は
お茶碗はもちろんのこと
風炉から水指 花入れ 棗 灰吹きに至るまで
初代から当代までの
「八事釜」尽くし
圧巻は
何と言っても
シルクハットの形を模したという
大胆な形をした
当代道年作 飴釉の風炉
今日初めて教えていただいたのですが
初代道年は
楽焼だけでなく
あらゆる種類の焼物を手がけたのだそうです
染付の水指は初代の作
そして
私がいただいた
主茶碗の「金海」の写しも
初代作の美しいお茶碗でした
次客からは
二代以降歴代のお茶碗が続きました
三代道年の奥様である
四代道年尼の
気取らないお話もうれしく
正客の座にいながらも
ご連客の方々と共に
お席を存分に楽しませていただきました
心弾む思いで
お席を退出し
寄付きに戻って
あらためて会記を拝見しながら
そこに座っておられた名古屋の道具商の方と
歓談しておりました
そこへ
瑞峯院の前田昌道和尚様が通りががり
声をかけて下さいました
ご挨拶申し上げますと
突然
道具商の方と私の前に
ぺたんと腰を下ろされて
にこやかにお話下さるのです
他のお客様はもう既に帰られ
初夏の緑風が心地よい
静かな待合で
和尚様と
道具商と
私
何の関係も無い三人が
向かい合って
しばし歓談しておりました
その道具商の方が
偶然
和尚様と同じ和歌山のご出身で
しかも同じ
「前田」という姓で
その上
ご親戚がお寺さんということで
お話がはずみました
そういえば
私の母方の曽祖父も
名古屋にある
常徳寺という小さなお寺の住職でした
仏様の不思議なご縁を感じました
「花が綺麗 月が綺麗
それを感ずる心が綺麗
お茶はそれでいいの」
そんなことを仰って
にこりとされた和尚様の目を見ていたら
このご縁のありがたさに
なぜか
涙がこみあげてきました
瑞峯院での
思いがけない
一期一会でした