松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆つくろう議員提案の政策条例-自治の共同経営者を目指して(市民力ライブラリー・萌書房)

2011-04-09 | 1.研究活動
(2010.4.9)
 「つくろう議員提案の政策条例-自治の共同経営者を目指して」が発売された。今回は学生との共著で、本には全国調査の原稿を書いた学生2名の名前を出しているが、共同研究を行った12名の学生たちの成果がベースになっている。
 出版は、「志は高く、収入は低く」の奈良・大柳生の萌書房(きざすしょぼう。モエ書房ではない)である。今回は、市民力ライブラリーの第2弾と位置づけた。白石さんには、編集作業で大車輪でがんばってもらった。
 本書では、地方議員を自治の共同経営者と位置づけている。昭和22年につくられた地方自治法では、議員を監査役として位置づけているが、平成23年の今、そんなことを言っていると、もはや、まちは持たない。また、今日では、名古屋や大阪などで、首長の言うことをきかない議員は要らないという動きになっているが、これは価値の相対性を基本原理とする民主主義そのものが問われている。
 だからこそ、地方議員に大いに頑張ってもらいたいというのが本書のねらいで、そこで学生たちと全国調査を始め、それらをベースに本書を書いた。
 自治の共同経営者とは、具体的には、次のような現実の中で、問われることになる。
 三陸海岸では、町長以下の幹部職員が、大津波で流された町があった。こういうときにこそ、地方議員は、町の経営者として、町民の救援や避難、あるいは町の再建、復興のためのビジョンを示し、イニシアティブを取ることが期待される。役所機能が壊滅しているのである。生き残った市民代表である議員が、残った若手職員を鼓舞して、リーダーシップを発揮しないで、だれがやるのかである。
 地域の議員に期待されているのは、こうした地域自治のリーダーの役割である。それが共同経営者ということであるが、議員たるもの、こうした高い矜持と実践力を持ってほしいというのが、私の思いである。
 大地震、大津波、原発事故のなかで、私たちの国は大きく変わっていくが、地域においても、これまでの発想にとどまらない、新たな試みを始めるときである。地方分権の時代であるから、新たなまちづくりの全体像を国に示してもらうのではなく、地域自らが考え、提示し、実践していくことになるだろう。いまこそ知恵を出し合うときで、その手伝いをするのが、大学で学ぶ研究者や学生たちの役割なのだろう。
 落ち着いたら学生たちとは、どこかで、打ち上げをすることになる。1年生のときは、フランス料理よりは、お好み焼きがいいといっていた学生たちも、この春で4年生になった。しゃれたイタリアンへ行こうと言うのであろうか。
 
(2010.2.27)
 初校を返した。今回は、ほぼ5日間で直した。だいぶ直しがあると考えて、事前に準備していたためである。校正は大の苦手であるが、哲学が専門の萌書房・白石さんに、過大の負担をかけては申し訳ないので、事前に準備したものである。その分、大幅な訂正になり、ページ数もだいぶ増えてしまった。これで、校正といえるか、ちょっと心配であるが、白石さんは柔軟に対応してくれるだろう。
 タイトルを決めた。『つくろう議員提案の政策条例-自治の共同経営者を目指して-』とした。これまで地方議会・議員は、監査役でやってきたが、それだけでは市民の信頼を得られなくなった。今後は、地方議会・議員は自治の共同経営者としての役割も重要になる。こんな視点で、政策条例を考えてみたものである。これに対して、地方自治法に反するのではないかという反論もあろうが、そもそも地方自治法は昭和22年につくられたものである。地域にでてみれば、地方自治法の枠が、いかに時代遅れであるかは、一目瞭然である。この枠をどのように乗り越えていくのかであるが、国による法の改正を待っているようでは、地方自治とはいえない。自分たちで道を切り開いてこそ、自治である。本書を手がかりに、各地域で、さまざまな試みをやってほしい。
 萌書房は、奈良の大柳生である。郵便は、何時つくのだろうか。

(2010.2.2)
 『議員提案の政策条例』の原稿を萌書房の白石さんに送った。年度内処理ということであるから、ここから、大車輪の編集作業になる。
 今回は、学生2名との共著とした。議会提案の政策条例に関する調査を学生と一緒に行い、その調査報告が、この本の1章を構成しているからである。このことを学生にいったら、「先生に直してももらいながら書いた」といっていたが、元があってのことである。本が出れば、学生にとっては、いい思い出になるのではないか。
 今回は、校正作業がタイトなので、送った原稿を読み直して、校正を早くできるようにしようと考えた、すると、気になることがたくさん出てきて、原稿は真っ赤になった。出すのが早すぎたのだろうかと後悔したが、後悔先に立たずである。さらに推敲を重ねよう。
 これで、しばらく原稿がないから(市民協働立法の連載は、流山市の寺沢さんが、先へ先へと書いている)、じっくり取り掛かることにしよう。

(2010.12.31)
 年末は家の仕事と『議員提案の政策条例』である。
 勝手ばかりをしているので、家の仕事である。ただ、家事全般、いずれをとっても、入門程度、まれによくできたと言われることがある。来年は、仕事を大きく減らし、家のことをしようと思う。
 家事の合間をぬって、紅白歌合戦を聞きながら、『議員提案の政策条例』を書いている。内容的には、講演や研修で話していることをまとめているので、机に向かわず、寝転びながら書いている。ここ数日、時間をつなぎながら、書いていて、3分の2くらいは書いた。大学の出版助成であるから、3月までに完成しなければならないということで、もうひとがんばりしよう。
 内容の一部は、学生たちとの共同研究の成果である。相模女子大学に移って、初めての学生たちで、4月には4年生になる。ゼミ生でない学生もいるが、時々、メールがくる。それぞれ、難しい事情を抱えているが、がんばっている。この成果をできる限り活かしながら、まとめようと思う。
 内容は、まだまだ変わるが、議員の政策条例づくりとして、「やってはいけない」という項目を書いている。①作文条例、②後はおまかせ条例、③市民非参加条例である。作文条例とは、コピー条例、パッチワーク条例(寄せ集め条例)などである。

 「はじめに」の一部を紹介しよう。 
 「たしかに現行制度を素直に読むと、地方議会・議員の役割は、監視機能である。ところが地方分権が具体化し、地方財政が厳しさを増すなかで、監視だけは議会は、市民から信用されなくなった。議員は、高い給料をもらっている割に、仕事をしていないと思われるようになってきたのである。
 その不満が、議員定数の削減という方向に向かっているが、このままでいくと、議員は監査役であるから3人でよいというところまで押し込まれてしまうだろう。
 同時に、議員のボランティア化という議論も根強く主張されるようになった。これは、「議員たるものは、まちのためを考え、市民のために活動してほしい」という市民の素直な思いの表現であるが、ボランティア化というのは、議員になれるのは、ボランティアができるお金持ちや年金暮らしの定年退職者だけということでもある。
 このままでいくと、地方議会・議員は、多元的な価値を体現し、多様な市民の思いを代弁する機能を失ってしまうというのが私の問題意識である。ここで踏ん張らないと、価値の相対性を基本原理とする民主主義が崩れてしまうことになる。」

 これを終えたら、旅の本をまとめよう。
 来年も、精一杯、がんばろう。
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