松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治基本条例-条例をつくるのか自治をつくるのか(新城市)

2011-03-29 | 1.研究活動
 自治基本条例は自治をつくる条例である。ただ、これまでは条例をつくることに目一杯で、その先の自治を創ることまで、手が届いていないものが多かった。だから、つくりっぱなしになってしまう。
 新城市では、「自治を創る」ということを射程に入れた条例づくりを行っている。28日には市民から提言が行われた(ごくろうさまでした)。
 ここの優れたところは、まず、自治基本条例は、市長のマニフェストであったが、市長自身が、あえて拙速を避けたこと(あわててつくらなくてもよいと言ったこと)。こんな基本的で重要なものを形だけ作っていはいけないと考えたからである。政治学の基本では、市長は再選されるために活動するとされる書かれているが、テキストどおりでないところが魅力的である。
 それゆえ、この条例の検討は長期戦になるが、平成22年度は、「市民のことばによるたたき台」を作った。何度も言っているが、条文をつくってはいけない。自治づくりではなく、条例づくりになってしまうからである。
 このたたき台の冒頭の定義「まちづくりとは」では、
・住みやすいまちとなるために、市民が行動することである。
・住みやすいまちとなるために、行政が行動することである。
・住みやすいまちとなるために、議会が行動することである。
が「まちづくり」と書いてある。
 平成23年度の計画は、市民委員40人(平成22年度は約20名)に倍増し、あわせて行政職員40人を募り、市民と行政職員とでセットで、各地域、各種団体へ出かけて、自治を議論することになる。市民が提案したから、「行政これをやれ」というのでは、今までと変わらない。協働で市民のところへ行き、自治を論じ、自治の仕組みを地域で考えていこうという計画である。
 この提言に書かれた自治を創造する仕組みも興味深い。ひとつは、市長と議員が市民のところに出向き、議論する「市民会議」である。議場で市長と議員が議論するから、市民に聞きに来いという発想が、そもそも逆である。市民の前に出かけ、丁々発止の議論をすれば、市民にも分かりやすい。適切な判断もできる。市民の代表である市長や議会の意義にも理解が進むだろう。
 無作為抽型市民参加も本格的に取り入れる。ふだん公的な場で意見を言わない人が、発言することができる仕組みをつくるとしている。一部の人だけで自治をやっていては、まちが持たないからである。
 当初は、私たちを頼りきりであった事務局も、すっかり実力をつけ、今では、私の力の及ばないところまで歩を進めている。
 むろん、曲折もあり、困難もあるだろうが、がんばってほしい。人口5万人のまちに注目してほしい。

 自治基本条例を担当する職員は、同じような車に乗っていることに気がついた。
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