松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆『現代自治体論 励ます地方自治の展開・地方自治法を越えて』(萌書房)が出版される(三浦半島)

2018-05-10 | 1.研究活動

 『現代自治体論 励ます地方自治の展開・地方自治法を越えて』(萌書房)が出版された。相模女子大学の退職に合わせて、これまでの集大成として書いたものである。

 私にとっては、20冊目の本になる。今回は、300ページ近い大部の本となった。その帯には(これは出版社で書くが)、「多くの市民の活動に寄り添い、また大学等でも「地方自治論」を講じてきた著者が、市民が役所や議会・議員を監視・チェックする従来の地方自治を脱却し、「励ます」地方自治への転換を呼びかける問題提起の書」と書かれている。

 学問領域でいえば、この本は、法律学と政治学の中間を行くものである。法律学では、今日の自治体の政策課題に十分に対応できない。他方、政治学だけでは、今日の自治体の進むべき道筋を安定的につけることができない。これまでも、法律学と政治学を架橋するという観点から、地方自治の諸課題に取り組んで来たが、この本では、それを素直に記述した。その意味で、自然体に書いた本である。

 『現代自治体論』については、これまで何度も、「書くぞ書くぞ」とオオカミ少年のようなことをいってきたので、言った責任をとりあえず果たせたことに、ひとまずホッとしている。

 全体には六部構成となっている。
 第一部 励ます地方自治の意義と理念ー私たちはどういう社会を目指すのか
 第二部 地方自治の経営理念と基本的仕組みー自立・主体・対等・責任・信頼をキーワードに
 第三部 地方自治の法と制度ー地方自治法を超えて
 第四部 励ます地方自治の主体ー存分に力を発揮する自治の担い手たち
 第五部 励ます地方自治の基本制度ー法の欠缺を補う仕組みと実践
 部 励ます地方自治と政策-市民が存分に力を発揮するための政策に

 書いていて一番面白かったのは、地方自治とは何かを論じた第一部である。この本に載せられたのは、ほんの僅かであるが、ジョン・ロックを中心に、ルソー、アリストテレス、さらには和辻哲郎なども、読み広がり、これが、なかなか本として完成しない要因の一つとなった。いずれも私が学生時代に読んだもので、その時と今とでは、理解や感動の違いもあり(理解が深まったかどうかは別にして)、それを実感するのも面白かった。

 一番、自信を持って書いたのが、第二部の協働で、これは関心と実践の賜物だと思う。他方、後悔しているのが自治基本条例の部分で、ストックがたくさん有るのに、あまりにサラッと書いてしまった。書き直そうかと思ったが、タイムアウトになった。これは次の本では、きちんと書こうと思う。

 はじめにも書いたが、この本は、「横浜市役所で26年間、たくさんのことを学んできた。市役所を早期定年退職して、大阪国際大学、相模女子大学と移って、ここでも多くの人たちに出会い、多くのことを学んできた。また、全国の自治体職員や市民、そして学生たちともずいぶんと議論をし、一緒に活動をしてきた。本書は、そうした実践のうえにできあがったものである」。実際、各章のそれぞれの記述で、その人達の顔を思い出す。ここでは、お一人おひとりのお名前は挙げないが、感謝申し上げる次第である。

 連れ合いにも感謝したい。連れ合いは、このブログを読むことがないので、ここに書いても、「私のことを勝手に書かないで」と言われることはないだろう。率直に言って、連れ合いの協力がなければ、多くの人との出会いもなかったし、それを文章に記述することもできなかった。このブログは、私の記録として書いているが、同時に、このブログを読んでくれている人もいるので、他人の目も意識しなければいないので、夫婦の話は、ここまでとするが、感謝する次第である。

 ちょっと高いが、ぜひ手にとってほしいと思う。『現代自治体論 励ます地方自治の展開・地方自治法を越えて』(萌書房)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ▽まちづくり商談会(相模女子... | トップ | ☆『自治体若者参画条例』の3... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

1.研究活動」カテゴリの最新記事