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『自治体若者参画条例』(萌書房)の3校目が来た。
原稿は、『現代自治体論』(萌書房)より、こちらのほうが先に出ていたが、いろいろな事情があるのだろう、順番が逆になった。すでに2校目を丁寧に見ていたので、3校はいいかと思ったが、出版社の方で、いくつか気になるところが出てきたようで、もう一度、確認してほしいということになった。内容の変更はせずに、判断に迷ったところを確認して返送することになった。
萌書房の状況はよくわからないが、昨今の出版事情は、とても厳しく、資金のやりくりなど、簡単ではないのではないか(そこから出版の順番などがあるのだろう)。たしかに、かつてならば、電車の中で、みんな本を読んでいたが、今では、それがスマホに変わった。私の分野でも、平成の大合併で、自治体が3400から1700に半減し、その分、マーケットは小さくなった。
最近では、職員が担当以外の分野を勉強すると、そんな暇があったら、もっと仕事しろと言われるとのことで、本を買って、新たな政策分野を学ぶということも減っているようだ。
この『自治体若者参画条例』でも、本にするまでには、苦労した。大手の出版社の知り合いの編集者に打診してみたが、「いい本だと思うが営業サイドから、ちょっと自信がないと言われた」、あるいは別の出版社は、「今はトレンドに乗るか、初級者向けの解説本しか出せなくて」という話であった。
私が本を書く動機は、これまでほとんど取り上げられていないが、しかし、今後の自治体政策にとって重要だと思う新しいテーマを取り上げて、それを自治体職員が政策にできるように噛み砕いて紹介し、そして全国の自治体で、導入されるようにリードするためである。
つまり、ほとんどそのテーマに、関心を持っている人がいないと言う状況で、つまり安定的な読者がいないなかで、本を出すので、出版社とすると、売れないというリスクを背負わなければいけないということで、二の足を踏むが、これは無理もないことである。
かつては統一地方選挙のまえ、マニフェストを作る頃に、本を出すというふうに心がけでいたが、昨今は統一地方選挙が崩れてきたので、今では意識しなくなったし、出版事情もそんな大局的なことを言えなくなった。
最初に書いた自治体NPO政策、1%制度(これは大きな流れにならなかった)、自治基本条例、一緒に働かない協働、プラーヌンクスツァレ、若者政策、そして励ます地方自治などが、その実践である。
5年から10年たち、大きな流れになってきたし、これからなるテーマだと思うが、大きな出版社の場合は、手を出しにくく、どうしても安全な『はじめての○○』、『よく分かる○○』のような本になるのは無理もないことだろう(この「はじめてシリーズ」は現役の自治体職員のほうがリアルなので、そういう書き手も増えてきた。とてもいいことだと思う)。
そんななかで、萌書房は、私の新しいテーマを取り上げてくれる珍しい出版社である。もともとは哲学の出版社であるが、社長の白石さんとは、大阪国際大学からの付き合いであるが、「哲学書と比べると松下さんの本は売れます」と言ってくれるので、いつもお願いすることになった。自治体関係のラインナップも増えて、自治体関係者の間で、萌書房は、少しは知られるようになった。ちなみに萌書房は、「もえ書房」ではなく「きざす書房」である。
このぺースだと、この若者参画条例は、7月には出るのではないか。