松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆適訳・プラーヌンクスツェレをどう訳すか

2011-08-21 | 1.研究活動
 プラーヌンクスツェレ、ワークショップなど、うまく訳せず、そのまま使っている。適訳はないのだろうか。
 プラーヌンクスツェレは、ドイツ語でPlanungszellen、英語でPlanning cellsであり、それを直訳して、計画細胞とされる。しかし、あまりに直訳過ぎて、何の事だかわからない。
 複数の小グループに分かれて、ワークショップをするところが、「細胞」のようだということのようであるが、ポイントは、「小集団」で「意見交換」をし、「熟議」の結果として、「意思決定」する「会議」が、キーワードなのだろう。この要素を凝縮すると適訳ができるかもしれない。
 ちなみに、JCは プラーヌンクスツェレを「市民討議会」と訳していて、日本では、多数説であるが、JC自身も、必ずしも適訳だとは思っていないようだ。
 私は、プラーヌンクスツェレの妙味は、無作為抽出するところと考えていて、「無作為抽出型市民参加方式」あるいは「無作為抽出型市民会議」と書いている。せいぜい4日間くらいで、小集団でメンバーチェンジしながら、検討する方式は、熟議の点では、十分ではないと考えているからである。つまり決定するまでに議論が深まらないからである。抽選で選ばれた人が、短時間で議論しても、事業仕訳けのような表面的な議論にとどまってしまわざるを得ないからである(熟成していくには、1年間くらいの議論期間が必要ではないか)。それよりも、自主性が基本の市民参加を、抽選という割り当てで選んでしまう発想がすごいと思うからである。
 考えてみると、ワークショップも適訳が難しい。地方自治では、一定のイメージができ始めたが、ワークショップの先達である舞台芸術の人たちがいうワークショップとは、ずいぶんとイメージが違うらしい。こちらも適訳を考える必要があろう。キーワードは、「小集団」、「意見交換」、「熟議」、「意思決定」、「会議」と考えると、プラーヌンクスツェレと同じになる。結局、メンバーチェンジをしながら、4日間の拘束で、会議をするという点がプラーヌンクスツェレの特徴とすると、ワークショップのバリエーションのひとつにすぎず、しかもやり方としては、いま一つということになるからである。
 ドイツでは、未来工房(Zukunftswerkstätten)という手法もある。英語では Future Workshopになり、こちらもワークショップである。ただ、日本語訳でみると、作業場をイメージしてしまうので、これは適訳を考え直す必要があるだろう。
 この9月に、大阪府下の自治体職員の人たちが、現地に調査に行くので、この辺りが解明されてすっきりすることを期待している。
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