松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治基本条例の転機(焼津市)

2021-02-05 | 1.研究活動
 この日、焼津市の自治基本条例の委員会があった。緊急事態宣言中なので、リモート会議で開かれた。

 全員が、リモートをできるわけではないので、多摩市方式で、リモート派と会場集合派の混合方式で行われた。焼津市の協働担当では、リモートは初めての試みということで、事前練習したり、モート初挑戦という人もいるなかで始まった。

 まちづくりには失敗はないので、ちょっとした失敗や不手際も、笑いになり、楽しみになる。

 失敗の一例を言うと、会場を写す画面から、はみだている委員がいて、私は、ずっと気づかず、その人には話を振らなかった。そのうち、だいぶたってから、会場側が、どうも変だと気がついたようで、カメラを動かしたら、ようやく写った。

 写ったので、「今来たのと?」と聞いたら、「ずっといました」ということで、本当に、失礼した。そんな失敗もあるが、「初めてやったがなかなか面白い。またやろう」という意見や、面白かったので「今度挑戦している」といった意見もあり、可能性が拓けたと思う。私と同世代の人達がメンバーの主力であるが、ともかく、やってみることだと思う。

 焼津市は、委員は3期までなので、この3月で、当初からいたメンバーの大幅交代となる。自治基本条例の策定当初からのメンバーで、長い付き合いになった。

 その委員の一人が、すごい事を言った。要するに、自治基本条例は、東日本大震災を契機に大きく変容したが、今回のコロナは、次の新たな変容の機会というものである。

 確かに、東日本大震災までの自治基本条例は、民主的統制型の自治基本条例であった(ニセコ町)。役所をコントロールしていればハッピーになれるという考え方である。

 ところが、東日本大震災では、それだけではハッピーになれないことが明らかになった。地域における連帯や絆、人のつながりの重要さが見直された。もともと自治とはそういうものだと思うが、そこで協働をキーワードに自治基本条例が作られ始めた。焼津の自治基本条例は、まさに、その思想に基づいている。

 ここから、市民、行政、議会が共同して主催するまちづくり市民集会等が開かれる。

 ところが、コロナは、人と人とのつながりを分断した。蜜にならない、人と接触しないことが是とされたのである。これまでの自治に、この新たな関係をどのように取り入れたら良いのか、これを自治の発展に活かすにはどうしたらよいか、模索が始まったというわけである。

 たしかに、コロナは、課題であるが、課題があればこそ、それを乗り越える新しい知恵がでてくる。焼津あたりだと、東京で面白い試みがあっても、行くまでには、時間も費用もかかる。リモートなら、簡単に参加できるようになったという体験談もでた。コロナを転じて、もう一つの自治のあり方を模索する、次の10年が始まったということである。

 その答えは、まだまだおぼろげであるが、発想は簡単で、「強みを伸ばす」ということだと思う。励ます地方自治の発想でもあるが、コロナ時代の良さ(これまでできなかったところ)を伸ばしていくという視点で考えていったら良いのだと思う。来期は、こんな点を中心に、自治の推進を考えていきたい。

 ともかく、初めてのリモート会議は、面白かった。
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