松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆はじめての条例づくり⑫・条例にふさわしいもの

2020-03-13 | はじめての条例づくり
 条例がふさわしいものは何か、条例でもできるものは何かという問題である。質問は、具体的には孤独死防止条例というのができるかである。

 まず、絶対条例でなければいけないものがある。市民の権利を制約し、義務を課すものは、絶対、条例でなければいけない(地方自治法14条2項)。

 地方自治法で、条例で定めると決めているものがある。例えば、公の施設の設置条例である。これも、法律の通りにする必要がある。

 それ以外のものは、どうするかである。特に自治体が独自で定める自主条例では、ルールがない。

 条例とは何かから考えていく必要がある。条例の本質が、強要性だと考えると、計画や予算措置ですむ孤独死防止条例は、好ましくないということになる。

 私は、条例である意味は、納得性と考えるので、納得がいって政策が進むものなら、条例でもよいということになる。

 実は、問題の意味は、もう少し深い。つまり、地方自治の本質、自治体の役割をどのように考えるかによる。つまり、条例は政策実現手段なので、政策を実現する自治体のあり方や姿勢が問われることになる。

 自治体も政府であり、権力的側面もあるが、地方自治の現実は、住民の福祉を実現するサービス提供機関である。それは、行政行為の実態を見ればわかる。私は、励ます地方自治を標榜しているが、市民を後押しするのが、自治体の大きな役割である。

 このように考えると、条例は、市民を後押しする手段なので、後押しになれば、条例を使っていくべきだと考える。予算や計画より、孤独死防止が進むなら、条例を使うことに躊躇すべきではない。

 政策法務の考え方であるが、この辺りは、専門家と言われる人たちが、最も弱い部分である。地方自治のあり方、自治体のあるべき姿の議論を飛ばして、条例理論や技術に走る。「よってたつ土台がずれていませんか」というのが、私の問いかけであるが、おそらく、私が言っている意味そのものが、理解できないのだと思う。

 まあ、人生いろいろなのだろう。
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