松下啓一 自治・政策・まちづくり

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◇車いすの旅となる(富山)

2015-08-03 | 5.同行二人

 夏は、研修のシーズンである。比較的まとった時間が取れるので遠方に行く。今回の富山の研修は、政策法務研修で、政策法務の基礎を学び、その後、実際に条例をつくってみる。ただ、研修の様子については、別の機会に報告したい。

 今回は、思いもしない、車いすの旅になったのでその報告としたい。初めての車いすの旅で、気が付いたことがたくさんある。

 研修を終えて、連れ合いと待ち合わせた。今回は、富山県東部の魚津で待ち合わせた。富山の東部地域にも、魅力的な町が多く、滑川や魚津など、どこも水と魚の町である。実際、魚津で食べた地魚は新鮮でうまかった(岩カキは。とりわけよかった)。

 不幸は、いつやってくるか、誰にもわからない。そして誰にもやってくる。翌日、急遽、涼を求めて、美女平を散策しようということになり、立山ロープウエーまで行った。その駅前公園で、連れ合いが、小さな段差に足を踏み外し、足首を大きくひねった。段差と言っても、1センチほどなので、よほどタイミングが悪かったのだと思う(連れ合いの弁では、帽子を持たない私に、日傘をさしていたため、足元を見ていなかった。要するに、自らの犠牲で、夫の日焼けを防いだとのことである。私の見解は、更年期を脱した連れ合いがすっかり元気になって、その結果、食べ過ぎで、体重が7キロも増えたためだと思う)。

 捻挫は思いのほかひどく、私の肩を借りて歩くのもままならない。そこから、多くに人に助けられる車いすリレーの旅となった。

 まずは、ホテルである。その日は、朝日町の小川温泉ホテルに宿をとっていた。露天風呂が4つもある一軒宿で、とりわけ洞窟露天風呂が有名である(多くの洞窟露天風呂は、岩がごつごつして概して居心地がよくないが、ここは石灰石で湯船が白くなっているお風呂である)。

 心配したのは、こんな一軒宿に車いすがあるのかということである。もし車いすがなければ、キャンセルして帰ろうと考えたが、当日キャンセルは、100%キャンセル料なので、もったいないとも考え、ともかく、行ってみようということになった。行ってみると、全館車いす対応で、玄関に車いすが置いてあり、部屋まで楽に行け、またレストランでの食事も車いすでできる。仲居さんたちも、大いに気を使ってくれた(ちなみに、連れ合いは、お風呂にも入れなかったので、男女混浴の露天風呂の初体験も実現できなかった。今度、一人で来るそうである)。

 次に心配したのは、帰りの電車である。黒部宇奈月温泉駅から新幹線に乗り、東京駅、横浜駅、そして京急急行で三浦半島である。日曜日なのでさほどの混雑はないが、はたして帰れるか。借りていたレンタカーで、三浦半島まで帰ろうかという案も出たが、SAごとに一休みする私の運転能力ではいつ到着するのはおぼつかない。タクシーで帰ったらという案も出たが、財政面からも即刻、却下となった。

 結局、黒部宇奈月温泉駅から、車いすで帰ろうとなって、そこから車いす初体験となった。詳細は省略するが、
①まず黒部宇奈月温泉駅で、駅員さんの案内で車いすに乗り、北陸新幹線乗車。2時間半で東京駅に到着した。
②東京駅では、駅員さんが待っていてくれて、今度は京浜東北線に移動。この東京駅では、業務用のルートを使った。東京駅の地下は、レンガ造りでレトロな感覚で初体験だった。
③京浜東北線で横浜まで行く。横浜駅でも人が待っていてくれて、今度は京浜急行への移動を案内してくれた。
④京浜急行では、快速特急の一番前の車両に案内してくれた。快速特急は、で金沢八景乗り換えになるが、金沢八景駅でも京急の駅員さんが待っていてくれ、各駅停車に乗り換えさせてくれた。
⑤金沢八景から下車駅まで各駅停車になるが、下車駅でも駅員さんが待っていてくれて、無事、下車駅、到着となった。

 連れ合いとの感想。
①ともかく日本はいい国だということである。車いすで、遠方から帰ってこれる施設や体制が整備されている国は、そうはないだろう。改めて、私たちの国の魅力を実感した。
②道中、多くの人の手助けを受けた。鉄道だけでも、6人の助力をいただいた。それ以外、電話連絡してくれた人など手伝ってくれた人がいるだろう。電車やホームでも、多くの人が席を譲り、道を開けてくれた。改めて、人は助け合いながら生きているということを実感した。

③それゆえ、こうした善意に甘えることのない、自立の心づもりが大切であること。このシステムに甘えだしたら。たちまち崩壊してしまうだろう。
 考えもしなかった体験で、実に多くのことを学び、再確認できた。

 ちなみに、下車駅から、自宅までは150メートルくらいの距離であるが、タクシーに乗った。今までの最短乗車距離だと思う。この記録が破られるときは、相当、足腰が弱ってしまった時なので、ちゃんとジムに行くことにしよう。

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