松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★空き家問題をまちづくりから考える(千葉県)

2016-09-15 | 2.講演会・研修会

 千葉県で空き家問題をまちづくりから考えた。千葉県自治研修センター主催のまちづくり研修会である。主に技術系の職員20名ほどの参加であった。

 前半は空き家問題の全体概要を説明した。空き家問題は社会の構造的な問題であること、空き家法は救世主のように思われているが、その効果は、一部にとどまることが結論である。

 話をしながら、空き家法の一本調子が改めて気になった。指導、勧告、命令、代執行という流れは、筋が通っているが、空き家の原因はさまざまである。人生いろいろなので、これを一本調子で解決する難しさといってよいだろう。

 代執行の事例で、葛飾区の空き家除去を紹介した。これは所有者がいるケースである。確かに写真を見ると、ひどい建物だし、危険がある。特定空家に当たることは間違いないが、なぜ補修もせずに、このような状態になったのか。ここは借地で土地所有者ともめていたという。別の面から見れば、代執行によって、家がなくなり、これで借地権もなくなり、行政の費用できれいに除去できた。土地所有者にとっては、願ったり叶ったりだと思う。ある種の割り切れなさが残ることになる。

 品川区のケースは、空き家法でごみをきれいにしたケースである。建物のほうは、除去せずに、補修で済ませるということである。こうした代執行もあるというのが、まずはなるほどである。このケースで気になるのは、その後である。いったん、ごみがきれいになっても、またごみをためてしまうケースが多い。それは、ごみをためる原因が、ある種の心の病が原因の場合があるらである。強制的な対応策は、決して問題を解決したわけではない。政策法務では、法務の限界性もきちんと理解しておく必要がある。

 後段は、まちづくりから空き家問題を考えた。予防と利活用という観点から、たくさんの事例を紹介した。この前行ったばかりの直島の空き家を使ったアートなまちづくりも紹介した。

 最近は、質問時間を多くとるようになった。聞いている人たちの関心が分からない場合があるので、質疑を通して重点的に話そうと考えているからである。今回は30分時間が取れた。

 直島についての質問もあった。建築の学生だった頃、訪ねたということである。建築や美術をやる学生にとって、聖地になっているのだろう。私は行ったばかりなので、熱く語ることができた。

 全体には、7,8件の質問があったろうか。それをめぐって私の話が続く。空き家担当の方からは、特定空家にならないケースについて、質問を受けた。実際、こうした事例が多く、所有権との関係で、行政のかかわりも難しい分野である。きっちりとした答えはできないが、多様な相談ができるNPOの存在が問題の解決の一助になる、あるいは京都市の緊急措置を研究してみたらと回答した。

 空き家問題NPOの人たちと話すと、市民は行政の前では本音は言わず(建前的なことを言い)、NPOが聞くと、実はという話をするということである。問題の原因は多様なので、多様なアプローチが必要ということなのだと思う。

 千葉県自治研修センターは、市役所の時からのご縁である。数年前に行ったら、当時の方たちは退職されたということだった。今回もみなさんにお世話になった。

 この日は、前日の夜に白岡市で審議会があり、千葉市に泊まった。千葉には何度も言っているので、ホテルの場所もだいたいわかると思って歩き始めたが、ちっともホテルが見えない。そのうち、携帯の電池が切れてしまった。あきらめて、タクシーにのろうと思った。タクシーに乗り込んで、ホテルの名前を言ったら、「行ってもいいですが、目の前の信号を曲がった角にホテルがある」といわれた。携帯なしでは、暮らしができないというか、何よりも、きちんと調べていない自分にちょっと落ち込んだ。

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