ふるさと納税は、平成20年度税制改正から始まった制度で、都道府県や市区町村に寄附をすると、寄附金額から2,000円を差し引いた全額が個人住民税(地方税)の寄附金税額控除と所得税(国税)の寄附金控除(所得控除)の合計とし て受けられる制度である。
本来のねらいは、①納税者が寄附先を選択する制度であり、選択を通して、その使われ方を考え るきっかけとなる。その結果、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分 ごととしてとらえる貴重な機会になる。②生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度である。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になる。③自治体が国民に取組みをアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考える きっかけへとつながる。とされる。
実質的にも、国税を地方に振り分けることになり、また大都市から地方への税移動が起こって、地方産業の活性化など、地域振興に役立つことになる。反面、高所得者優遇という批判もある。
そのふるさと納税は、毎年、急速に伸びている。平成27年度のふるさと納税の納税額は、1,653億円で、前年の4.3倍に拡大した。申し込み件数も726万件で、前年の3.8倍に増えている。今年の1位は、都城市、2位は焼津市、3位は天童市となっている。順位の入れ替わりも激しく、自治体間競争が激化していることがわかる。
納税額が増えた理由として、「ふるさと納税の普及、定着」、「納税額の倍増、手続きの簡素化」、「クレジットカードによる受付など収納環境の整備」などがあるが、最大の理由は返礼品の充実になっている。
ネットなどで見ると、本来の趣旨は忘れられ、どれだけお得な商品をゲットできるかが、代行サイトのHPのつくり方になっている。これは国民のニーズに応じた措置で、代行業者を責めるべきものではないだろう。
こうしたなかで、総務省からガイドラインが示された。「返礼品(特産品)送付への対応についての総務大臣通知」(2015年4月)である。
- ふるさと納税自体は無償の行為であり、返礼品が対価の提供であると誤解を招かないこと
- 返礼品の金額や、寄付金に対する返礼品の割合(寄付額の何%相当)などを明記しないこと
- プリペイドカードなどの換金性の高い返礼品は止めること
- 高額または寄付金額に対して返戻割合の高い返礼品は止めること
こうした中で、最近では、ふるさとの空き家、空き地の見回りをしますというふるさと納税が現れた。地元企業やシルバー人材センターが、担当するが、これなどは、すじの良い返礼品といえよう。
ちょっと、調べてみることにしよう。