松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆事業者を励ます条例(焼津市)

2013-03-12 | 1.研究活動
 焼津市では、自治基本条例の検討が佳境に入り、市民が大いに議論している。うまく時間が取れたので、焼津に出かけてみた。
 この日は、いくつかの論点があったが、考えさせられたのが、事業者の役割である。
 自治基本条例において、一般的には事業者を次のようにとらえている。「事業者は、まちづくりの主体の一員として社会的責任を自覚し、地域の環境に配慮するとともに、地域社会との調和を図り、その発展に努めます」。
 この文章から推察される事業者観は、
 ①事業者は自分の利益ばかりに走る存在である。だから少しは、地域や社会のことを考えるべきである。
 ②事業者は、お金を持っている。その儲けた分を少しは、地域に還元すべきである。
 結局、事業者は、決してプラスイメージではなく、首に縄をつけて、善導すべき対象のようである。しかし、本当にそれでよいのか。
 焼津市の自治基本条例の検討では、若手事業者が参加している。この日も、仕事帰りで、会社の作業着を着ての参加である。忙しいなか、なぜ自治基本条例の検討に参加しているのか。その理由は、人それぞれのようであるが、あらためて気がついたのは、
 ①事業活動は、大なり小なり地域の文化や歴史というバックボーンに持っているということである。会議の主力メンバーであるOさんは、鰹節会社の社長さんであるが、たしかに焼津の歴史や文化をたどれば、鰹節会社にも行きつくことになる。自治基本条例づくりは自治の文化づくりであるから、地域の歴史や文化を背景に持つ事業活動をきっちりと知り、事業者が自信を持って取り組めるように大いに励ますことが、地域の文化を支えることになる。このように考えていくと、事業者の条文もずいぶんと違ったものになってくる。
 ②厳しい経済環境と相まって、地域の企業がどんどん消えている。焼津でも、鰹節やさんの倒産が相次いでいるらしい。地域産業は、地域の共感がないと生き残れないが、それゆえ、地域で大いに共感し、励ます仕組みが大事になる。その際のポイントは情報の共有だろう。知ることで価値が見えてくる。知ることで共感が生まれてくる。情報共有というと、行政情報の共有と考えがちであるが、それだけでは、地域の産業を励ますことはできない。行政と市民、さらには市民間での情報共有が重要で、こうした情報の広がり、重層性が、共感の原動力になる。他方、地域の共感を得るためには、事業者側も、大いに努力すべきことがあることも言うまでもないであろう。

 この日は、大学での会議や来客もあり、それを終えて、夕方、焼津へでかけた。相模大野からだと、町田に出て新横浜から新幹線で行くのが一番早いが、戻る感じがいやだったのと、つつましく暮らさなければいけない経済的事情もあって、小田急で小田原まで出て、そこから新幹線で静岡、東海道線で焼津というルートで行った。新横浜で、静岡直行のひかりに乗れれば、新横浜ルートが若干早いが、小田急・小田原でも時間的には、ほとんど遜色ないようだ。小田急は、伊勢原を過ぎるあたりから、山や田園風景がきれいで、小田原に向かう場合は、向かって左側に座るほうがいい。
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