松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★議員提案の政策条例に関する講演会(川崎市)

2013-12-04 | 2.講演会・研修会
 川崎市議会で議員提案の政策条例の講演会に参加した。

 議員の政策条例づくりが静かなブームになっている。全国市議会議長会の調べによると、年間で150件くらいの提案があり、たしかに4,5年前から比べると、提案数は1.5倍に増えている。ブームなのであろう。反面、それに伴って、問題も顕在化している。

 一番の弱点は、実効性のなさである。これは条例をつくるという意味がよく理解されていないからである。議会の関心も、ほかの町で、どんな目新しい条例をつくったかにあるようだ。ある町で、議員さんに条例の話をしたときに、他にはどんなおもしろい条例があるのかと聞かれて、急にテンションが下がったことがある。

 ここではパッチワーク条例といったが、ほかの町の条例を寄せ集めて、条例をつくるという弊害も顕著になってきた。ほかの町の条例を寄せ集めてもよいが、それはあくまでも仮の目標であって、自分の町にそのままあてはまるものではない。

 そんなことで、大川崎市の議員さんを相手に、申し訳なかったが、条例をつくるという基礎から、自分の体験を踏まえて話をした。条例づくりとは、「調査、調整、仕組みづくり、3,4がなくて条文づくり」である。文章を連ねることが条例づくりではない。
 自販機の回収容器設置条例をつくるとき、ドイツまで調査に行ったこと、飲んだ人の後をつける話までしたが、この話を聞いて、条例づくりが嫌になってしまったのではないだろうか。しかし、せっかくの条例提案の動きに水をかけているのではなく、励ましているのである。

 もともと議員提案の政策条例は、執行部だ議会だと言っておられない、地方の小さな自治体向きのものである。議員さんだけ60人もいて、しかもいまだに人口が増加している川崎市のような自治体では、議員提案の政策条例をつくるのは難しい。全員一致を狙うと、どんどん角が取れた、よく分からない条例になってしまう。

 川崎市のような大都市では、議員提案の政策条例は、議会全体の活性化もあるが、究極的には議員の政策形成能力を高めることにあるのではないかと思っている。会派や有志で、政策条例をつくりあげ、執行部との丁々発止とやるなかで、形にしていくことが大事なのではないか。その結果、最終的には、執行部から条例提案することになっても、それはそれでよいのだろう。

 今回の研修で特に強調したのは、市民を巻き込んだ条例づくりである。市民を自治の当事者にしないと、人口減少時代の自治の未来は覚束ないが、議会・議員の役割のひとつが、お任せ民主主義をこえて、市民を自治の当事者にする役割である。議員の教育機能であるが、だから、議員提案の条例づくりは、さまざまな形で市民が参加したものでなければならない。少しずつでもよいが、試してほしい。
 同時に、議会が今後つくる条例も、市民が自治の当事者として存分に活躍できる条例である。奇をてらい、話題になるような条例づくりは、もう卒業なのだろう。
 
 議会でお話しすると、ときどき評論家のような議員さんがいてがっかりするが、川崎市議会では、そういう発言をする議員さんもなく、頷きながら熱心に聞いてくれた。とりわけ議長さんと副議長さんには、特に気を使ってもらった。感謝したい。
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