(20106.3)
4回が終わった。最終回は、議会を取り上げた。地方自治法における地方議会を勉強するコツは、国会(国の仕組み)との違いから考えることである。
国の仕組みは、議院内閣制で、国会は最高機関である。したがって、議会の権限もぐんと大きい。他方、地方議会は、二元代表制のもとの議事機関である。つまり、地方には、首長と議会という、2つの「最高」機関があることになる。したがって、議会ができることは、議会の仕事の範囲内で、もう一方の市民代表機関である首長に任されていることまで、手を出したら違反である(条例でも決められないことがあるということ)。
この問題が顕在化するのが、議決権の対象事項で、最近では、96条2項で、議会の議決事項を広くとる傾向があるが、それはどこまでできるのかという問題である。議員も市民も、時には自治体職員も、地方議会の権限を国会に当てはめて考えてしまいがちになるため、無原則になるが、両者の違いをしっかりと理解することが、地方自治法を理解する出発点になる。
ここまでが、地方自治法の講義で、それはそれでよいが、では地方議会の在り方として、現行地方自治法の枠組みのとおりで本当にいいのかという、もうひとつ重要な問題がある。つまり、議員を地方自治の共同経営者に位置付けると、これまでダメとされていることが、議会・議員のやるべきことになってくる。その答えは、簡単には出せないが、少なくとも、昭和22年にできた、地方自治法の枠では(少なくとも総務省の解釈では)、妥当でない(新しい社会の胎動に答えられない)ところがたくさん出てきているということである。
これを乗り越える提案が、政策法務側に問われている。7月に自治体法務研究会の全国大会があり、テーマが大震災を超えてということである。今回の大震災は、地方自治にも多大なインパクトを与えたが、霞が関法務を乗り越える提案や議論がたくさん出されることを期待している。
帰り、横浜球場わきを通ったら、ヒーローインタビューをやっていた。横浜が勝ったらしい。ここでも、時代が動いているのだろうか。
(2011.5.13)
横浜市の夜間研修会に、昨年度に続き参加した。
これは、横浜市職員の自主研修である。夜の6時半から8時半まで、仕事(残業)ではなく、自らの研鑽の一環という位置づけという研修になる。4講座あるとのことであるが、電力不足を考えて、今回は2講座に絞ったということで、170名が登録している。研修所の大教室がいっぱいとなった。
この夜間講座は、ずいぶんと歴史があり、私が職員だったころからあった。当初は、中学や高校を卒業して、横浜市に入った職員も多かったために、地方自治法や地方公務員法を無料で教える機会だったのだと思う。短時間といえども、全部で4日間あり、その日(金曜日)は、予定が縛られてしまうというつらさがあるが、こうした歴史もあり、私は、引き受けることにしている。
私の担当は、地方自治法である。
すでに、『図解はやわかり地方自治』にも書いてあるが、地方自治法は、野球のルールで、地方自治は野球をすることである。ルールを知らなければ野球をできないが、ルールを知っているだけでは野球に勝てない。3つストライクでアウトであるが、だからと言って、真ん中のストライクを投げ続けたら、3球目には打ち返されてしまう。ボールを投げて、打って取るというのもあるというのが、地方自治である。
地方自治法は、400条近くに及ぶ条文があるが、実に、細かく、とても基本法とは言えない作りになっている。選手(自治体)に任せたら、何をするかわからないから、国がこと細かに、手取り足取り決めておくというのが、この法律の設計思想であるためである。これでは、地方の自主性は望むべくもないことから、早晩、抜本的な大改正が予想されるが、今回の4日間では、この膨大な法律の肝の部分を説明することに心がけよう。
やや早めに、会場に行ったら、私が係長だったころの職員が、待っていてくれた。一緒に面白い仕事をした職員で、いまは係長をやっている。去年も顔を見せに来ようと思っていたが、果たせず、今年は満を持して、やってきたとのことである。当時、一緒に仕事をした人たちの近況について、一人ひとりの話になったが、大半が退職し、再任用も終えたようだ。当時、私も若かったが、ずいぶんと年を取ってしまったということだろう。
帰りがけ、横浜球場は盛り上がっていた。ヤクルト戦らしい。
4回が終わった。最終回は、議会を取り上げた。地方自治法における地方議会を勉強するコツは、国会(国の仕組み)との違いから考えることである。
国の仕組みは、議院内閣制で、国会は最高機関である。したがって、議会の権限もぐんと大きい。他方、地方議会は、二元代表制のもとの議事機関である。つまり、地方には、首長と議会という、2つの「最高」機関があることになる。したがって、議会ができることは、議会の仕事の範囲内で、もう一方の市民代表機関である首長に任されていることまで、手を出したら違反である(条例でも決められないことがあるということ)。
この問題が顕在化するのが、議決権の対象事項で、最近では、96条2項で、議会の議決事項を広くとる傾向があるが、それはどこまでできるのかという問題である。議員も市民も、時には自治体職員も、地方議会の権限を国会に当てはめて考えてしまいがちになるため、無原則になるが、両者の違いをしっかりと理解することが、地方自治法を理解する出発点になる。
ここまでが、地方自治法の講義で、それはそれでよいが、では地方議会の在り方として、現行地方自治法の枠組みのとおりで本当にいいのかという、もうひとつ重要な問題がある。つまり、議員を地方自治の共同経営者に位置付けると、これまでダメとされていることが、議会・議員のやるべきことになってくる。その答えは、簡単には出せないが、少なくとも、昭和22年にできた、地方自治法の枠では(少なくとも総務省の解釈では)、妥当でない(新しい社会の胎動に答えられない)ところがたくさん出てきているということである。
これを乗り越える提案が、政策法務側に問われている。7月に自治体法務研究会の全国大会があり、テーマが大震災を超えてということである。今回の大震災は、地方自治にも多大なインパクトを与えたが、霞が関法務を乗り越える提案や議論がたくさん出されることを期待している。
帰り、横浜球場わきを通ったら、ヒーローインタビューをやっていた。横浜が勝ったらしい。ここでも、時代が動いているのだろうか。
(2011.5.13)
横浜市の夜間研修会に、昨年度に続き参加した。
これは、横浜市職員の自主研修である。夜の6時半から8時半まで、仕事(残業)ではなく、自らの研鑽の一環という位置づけという研修になる。4講座あるとのことであるが、電力不足を考えて、今回は2講座に絞ったということで、170名が登録している。研修所の大教室がいっぱいとなった。
この夜間講座は、ずいぶんと歴史があり、私が職員だったころからあった。当初は、中学や高校を卒業して、横浜市に入った職員も多かったために、地方自治法や地方公務員法を無料で教える機会だったのだと思う。短時間といえども、全部で4日間あり、その日(金曜日)は、予定が縛られてしまうというつらさがあるが、こうした歴史もあり、私は、引き受けることにしている。
私の担当は、地方自治法である。
すでに、『図解はやわかり地方自治』にも書いてあるが、地方自治法は、野球のルールで、地方自治は野球をすることである。ルールを知らなければ野球をできないが、ルールを知っているだけでは野球に勝てない。3つストライクでアウトであるが、だからと言って、真ん中のストライクを投げ続けたら、3球目には打ち返されてしまう。ボールを投げて、打って取るというのもあるというのが、地方自治である。
地方自治法は、400条近くに及ぶ条文があるが、実に、細かく、とても基本法とは言えない作りになっている。選手(自治体)に任せたら、何をするかわからないから、国がこと細かに、手取り足取り決めておくというのが、この法律の設計思想であるためである。これでは、地方の自主性は望むべくもないことから、早晩、抜本的な大改正が予想されるが、今回の4日間では、この膨大な法律の肝の部分を説明することに心がけよう。
やや早めに、会場に行ったら、私が係長だったころの職員が、待っていてくれた。一緒に面白い仕事をした職員で、いまは係長をやっている。去年も顔を見せに来ようと思っていたが、果たせず、今年は満を持して、やってきたとのことである。当時、一緒に仕事をした人たちの近況について、一人ひとりの話になったが、大半が退職し、再任用も終えたようだ。当時、私も若かったが、ずいぶんと年を取ってしまったということだろう。
帰りがけ、横浜球場は盛り上がっていた。ヤクルト戦らしい。