松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★憲法の学び方(千葉県)

2012-11-26 | 2.講演会・研修会
 千葉県職員を対象とする研修会に参加した。今年で3年目になる。
 テーマは、政策手段としての法務で、政策づくりにも重きを置きつつ、法務の真髄にもふれる話となった。
 あらためて感じたのは、やはり県職員は、法務の基礎力があるということである。これは、採用試験で、法律や経済の基本知識を要求されるためであるが、この点が市町村職員との違いのひとつともいえよう。ということは、市町村職員を対象に研修を実施する場合は、職員の法的な基礎的知識は、必ずしも十分でないというところから、出発する必要があるということで、改めて心しようと思う。ただ、市町村職員のために弁明すれば、今回の研修は希望制で、ただでさえ法務の関心がある人が集まることを差し引く必要がある(実際、10人の参加者のうち、政策法務課から3名が参加していた)。
 今回、感じたのは憲法の学び方である。
 2日間という研究期間では、時間的な制約から優先度の高いものから実施するが、その結果、憲法との関係は、ほとんど触れることがない。
 なぜならば、基礎自治体では、稟議システムがあるため、憲法違反になるような条例づくりは排除されるからである。基本的には、慎重の上にも慎重に作られるので、憲法に抵触するような条例はほとんど出てこない。そこで、時間的な制約もあり、条例と憲法の関係を学ぶ時間を取ってこなかったのである。
 しかし、考えてみれば、私たちの仕事の基本は、憲法である。そもそも宣誓書には憲法を遵守しと書いてあるではないか。それゆえ、憲法との関係を一度きちんと学ぶべきだろう。
 その際、大事なのは、裁判所や研究者の立場ではなく、政策マンの立場で憲法を学ぶという姿勢である。
 どのテキストにも、憲法と条例の関係は、条例が憲法違反になるかどうかという観点から書かれている。たしかに憲法に違反するような条例はいけないので、この点もむろん重要であるが、これは裁判所や研究者の発想である。政策マンは、裁判官のようなことをしていたら半人前で、憲法の理念をどのように発揮し、具体化するのかという観点から条例をつくるのが政策マンである。昨今の私たちの社会のように、市民一人ひとりが価値があり、その価値の発露で社会全体が活性化するという憲法13条の理念そのものが、軽視されるようになっていることを考えると、あらためて、憲法の原点に戻り、きちんと憲法を学ぶ必要があるのだろう。
 ただ、言うは易く行うは難しである。従来のごとく、裁判官的視点に立って、条例が憲法に触れるかどうかを審査するかのごとき研修では十分ではないことは分かるが、では憲法を活かすような新たな研修内容をどのように組み立てるのかというと、これは、正直のところ、暗中模索である。容易ではないが、でも、少しずつ、頑張っていくことにしよう。
 千葉県の研修センターは、千葉駅からバスで10分ほどの高台の上にある。近くに県知事公舎や公共施設が多く、江戸時代には、この辺りが官庁街であったのだろう。近くには、千葉刑務所があるが、受講生に聞いたところによると、刑務所で製造した製品の販売所もあるらしい。千葉刑務所は、長期刑者が多く、その分、技術も熟練しているらしい。来年、研修を引き受けることになった、買い物に来くことにしよう。
 
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