松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★協働のまちづくり-なぜまちづくり基本条例なのか(西和賀町)

2010-02-22 | 2.講演会・研修会
 20年ぶりの西和賀町。自治基本条例のフォーラムに参加した。
 岩手県西和賀町は、湯田町と沢内村が合併してできた町である。日本有数の豪雪地帯で、10メートルを超える雪が降るときもあるという。たしかに北上駅から入っていくと、どんどん雪が深くなる。今年はいつものの平均、6メートルの雪だという、
 沢内村は、地方自治では知る人ぞ知る町である。こんな豪雪地帯であるから、冬の間は閉ざされる。昭和30年代、道路交通網が整備される前、病人が出たときは、背負って峠を越えていく。吹雪の中、途中で息が絶えることもあったという。病院へ行くときは、もう手の施しようがないときで、死亡証明書をもらうために病院へ行くようなものだったそうだ。
 こうした村の暮らしを打開するためにがんばったのが、町長以下の役場の人たちである。お医者さんや保健婦さんの活動は、単なる医療保健活動にとどまらず、たとえばトイレが外にあり、それが脳卒中の原因となるからと、家の設計までも手がけるのである。20年ほど前、この沢内村を訪ねて、保健婦さんの話を聞いたが、保健婦さんの一人ひとりが、村民一人ひとりの健康状態や生活状態を書いたノートを持っていた。横浜市役所に入って、係長になり、総務局のような管理畑を歩くようになって、自治が実感できなくなっていたが、この町にきて、私自身の進むべき道を見つけたような気がした。
 その他、この町には、たくさんの思い出があるが、限られたスペースでは到底書ききれない。ちょうど今、当時の深澤村長を主人公とした映画、『いのちの山河』(長谷川初範主演)が上映されているので、村の人たちの活躍はこれをぜひとも見てほしい。
 自治というと、都会の専売特許のように思われているが、そんなことはないということである。こうした誇るべき自治の実践が、全国でたくさん行われている。ここでも日本は層が厚い。大いに自信を持って、がんばってほしいと思う。
 フォーラムでは、岩手県立大学の高橋先生はじめ、多彩なメンバーで有意義だった。終了後、意見交換会、懇談会と夜9時まで続いたが、驚いたのが、議員さんも2名参加していて、和気藹々と議論していたことである。その自然さが、見ていて気持ちがよかった。本人たちは気がついていないが、これは強みである。7千人の町の強みを活かしてもらいたい。
 担当はIさん。何度もメールのやり取りをして、すっかり生真面目な男性職員と思っていたが、実際にあったら、素敵なお嬢さんだった。町長さんはじめ、職員のみなさんには、いろいろとお世話になった。
 夜は湯川温泉に泊まった。いいお風呂だった。横手から来たという人とここでも長話となった。翌朝、布団にもぐりながら、雪山を見ながら、ゆっくりとトクヴィルを読んだ。ひさしぶりにゆったりとした至福の時を過ごした。今度は連れ合いと来ることにしよう。
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