松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆ごみ屋敷問題の困難性(三浦半島)

2019-06-10 | 1.研究活動

 蕎麦屋でそばを食べながら、何気なくテレビを見ていたら、知り合いのYさんが出ていた。

 美味しい蕎麦に、ごみ屋敷は不釣り合いであるが、インタビューを受けていたのが、Yさんなので、引き込まれてしまった。

 あちこちで、ごみ屋敷条例をつくっている。近年のトレンドは、緊急安全措置が盛り込まれていることである。これは空家条例でもちらほらある。

(緊急安全措置)
第13条 市長は,不良な生活環境に起因して,人の生命,身体又は財産に危害が及ぶことを避けるため緊急の必要があると認めるときは,これを避ける ために必要最小限の措置を自ら行い,又はその命じた者若しくは委任した者 に行わせることができる。
2 市長は,前項の措置を講じたときは,当該措置の内容を不良な生活環境を 生じさせた者(その者を確知することができない場合にあっては,その状態にある建築物等の所有者)に通知しなければならない。
3 第1項の措置を行おうとする者は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があったときは,これを提示しなければならない。
4 第9条第2項の規定は,第1項の措置を行う場合について準用する。
5 第2項に規定する者は,別に定める場合を除き,第1項の措置に要した費用を負担しなければならない。
6 第9条第4項の規定は,第2項に規定する者が負担する第1項の措置に要した費用について準用する。

 行政代執行を行うことも、最近の傾向である。このYさんのケースも、一度、行政代執行をしている。私は、やったことがないので、実務の雰囲気はよくわからないが、強制的な仕事に慣れていない自治体職員は、きっと戸惑うだろうし、そこまでには、何層もの手続きを重ねている。

 Yさんのケースでは、ごみの撤去費用は、60万円ということであるが、そこまでに至る人件費は、その10倍はかかっているのではないか。

 Yさんのケースでは、一度きれいになったが、その後、またごみがたまり始め、3か月後(?)には、これまで以上に、ごみ屋敷になってしまったようだ。リバウンドである。

 つまり、行政代執行が、効果を発揮する場合もあるが、まったく意味がない場合もあるということである。詳しくは知らないが、ごみ屋敷の主人は、一種の依存症なので、急にごみを撤去すると、パニックを起こしてしまう場合もあるそうだ。

 そういえば、Yさんの所管は福祉課で、先の京都市の担当も福祉なので、ごみ屋敷は、福祉案件と考えられているようだ。

 ごみ屋敷の周辺に住む人たちは、いい迷惑で、いやだから、家を売って引っ越そうと思っても、ごみ屋敷が近隣にある住宅を買う人もいないだろう。財産的損害もあるが、裁判で訴えても、訴え損になってしまって、いかんともいがたいのが実際だろう。

 Yさんのケースでは、再度の行政代執行はできないだろう(60万円は回収できたのだろうか、回収できてたとしても、もう無理だろう。未回収ならば、今度は、行政側が住民監査請求のリスク背負うことになる)。

 こういう人たちには、寄り添いながら、時間をかけて解決するのが、本道とされるが、寄り添えるのは、専門的な勉強をした職員でなければできないだろう。実際、任されたら、福祉の職員はやるだろう。その分、コストがかかるが、そういうものだと、私たちは覚悟すべきなのだろう。

 こうした地域の困難案件対策費として、かつて宮崎市がつくったコミュニティ税を使うという方法はどうだろうか。これをプールして、こうした課題に対応する人を雇用するのである。吉岡里帆のような人を雇えば、だいぶ解決するように思う。

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