松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆外国人はなぜ民生委員になれないのか(2)

2019-05-15 | 1.研究活動

 地元の市役所で、外国人が民生委員になることで、何か課題があるのか、担当者個人としての実感を聞きに行った。民生委員法6条では、民生委員は当該市町村の選挙権を有する者と規定されている。選挙権は日本国民に限定されているから、外国人は民生委員になれないというのが、現行法制度である。

 日本で事実上の移民政策が始まり、定住外国人が増えてくる。これまでは外国人はお客さんで、民生委員でも日本人が、外国人の面倒を見てあげていたが、定住者が増えてくるとしたら、外国人も、相応の責任を果たしてもらい、民生委員になって、社会のために活躍してほしいというのが、問題意識である。

 市役所に行って、まず驚いたのが、職員の人たちが声をかけてくれることである。ちょっとでも迷った様子をしていると、すぐに声をかけてくれる。玄関を入って、行き先の看板を見ていたら、受付の人が声をかけてくれ、そのアドバイスで、2階に上がり、どっちかなあと思っていたら、また窓口の人が速攻声をかけてくれた。

 私が、頼りなく見えたのかもしれないが、本当に、優しい市役所になっている。

 窓口に行くと、事前に連絡がしてあったので、説明するまでもなく、話を聞くことができた。窓口に行って、すでに連絡ずみなのに、最初から、来た訳を話すのは、結構、疲労感があるが、今回は、そんなこともなく、話に入ることができた。

 話の方であるが、まず、国籍の確認についてであるが、民生委員法があるので、上がってきた推薦人が、国籍要件を満たしているかは、選挙人名簿を閲覧して確認するとのことである。

 外国人が民生委員になることの影響というか、実感については、これまで考えたことがなかったとのことであるが、もともと地域で信望があり、一定の識見のある人が、推薦されるので、その条件を満たせば、日本人でも外国人でも、違いを感じないというのが、「実感」ということだった。常識的に考えても、そうだと思う。

 国籍条項については、外国籍を排除する意味で、民生委員法6条がつくられたのではなく、意識したのは選挙権の有無のほうだと思う。つまり選挙権を行使できないような人は、人格、識見から民生委員にふさわしくないということで、民生委員の基準の一つとして、選挙権の有無を活用したのだと思う。

 民生委員は、非常勤公務員であるが、ボランティアでもあるという二面性がある。私は、今後は、公務員性を強めるべきと考えていたが、実務の実感では逆で、それでは人が集まらず、地域をきめ細かに見て、つなぐという仕事のなり手がいないと見ているようだ。やや気楽なボランティアに位置づけ、行政の専門部署をつなぐ役割のほうが、有効だという判断のようで、この点は、もう少し、勉強したいと思う。

 ともかく、お忙しい中、貴重な時間をとっていただき、感謝申し上げたい。

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