松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

★熟議の住民投票(横須賀市)

2014-04-21 | 1.研究活動
 原子力空母の母港化の是非を問う住民投票を成功させる会で話をした。

この会は、誤解されるが、賛成も反対も含めて、自分たちの問題として、考えてみようという集まりである。どんな立場でも、メリットとリスクがあり、それを踏まえず決めると、あとで何かあった時、そんなはずではなかったと、極端にぶれる。自分なりに考えることをしていれば、揺るぎない強さに変わる。

すでに何度も書いているように、私は住民投票にはやや消極的である。話し合って、知恵を出し合えば、より妥当な結論に到達できると思っているからである。そのため、熟議の市民参加方式を考え、実践も積み上げてきた。

 それにもかかわらず、今回、住民投票を推進する会で話をすることになったのは、以前、勉強会でご一緒したOさんからの依頼である。私の考え方を知ったうえで、それでも何か、新しいヒントがあるのではないかと考えて、声をかけてくれたのだと思う。最近、人の話に耳を傾けず、自分の意見ばかり言う人が目立つが、こうした許容がある人に会うと、ほっとし、嬉しくなる。

 少しでも参考になればと考え、プラーヌンクスツェレや討議型市民意識調査、デンマークのコンセンサス会議などを紹介した。ここから学んで欲しいと思ったのは、住民投票にも、これら手法のなかにある熟議を組み込めるのではないか、専門家と市民の意見のやり取りという方式は、議論を整理し、真に議論すべきことを明らかにするといったよさがあるのではないかといったことである。

 住民投票に熟議のシステムを組み込んだ実践例としては、新城市の自治基本条例がある。新城市では、住民投票をすると決定した場合、市民まちづくり集会にかけるという熟議のプロセスを採用している。第1回のまちづくり集会を紹介したが、知恵を絞れば、まだまだ面白いアイディアは出てくるだろう。

 この会で、特に心に残ったのは、私よりずっと年配の女性の人たちの心情と行動である。一般に男は変に物わかりがよく、意外と脆いが、その点、女性は頑固で、揺るがないところがある。そこを非難するのは簡単であるが、むしろ私は、その一徹さに、ある種の畏敬の念を抱いたことを告白しなければならない。ふと、横田めぐみさんのお母さんのような、母は強しという言葉が頭に浮かんだ。

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ★協働の前に行政を知ろう(平... | トップ | ☆地方自治論・実況中継2(相... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

1.研究活動」カテゴリの最新記事