映画『ミス・ポター』を見ました

2013-04-21 19:39:26 | 読書ログ

今日は温かい家の中でだらだらとロープを結んだり、クライミングの本を見たり、飽きたら、ちょっと散歩したり… 穏やかな休日です。

ミス・ポター [DVD]

図書館から借りてきた『ミス・ポター』…”ピーター・ラビット”の作者のベアトリクス・ポターの半生を描いた映画でしたが、今たまたま読んでいる、ローズ・ワイルダー・レイン(『大草原の小さな家』の作者ローラ・インガルス・ワイルダーの娘…ジャーナリスト)と重なりました。

いつの時代も、女性は「結婚しろ」「子供を生め」という圧力との戦いなんだなぁ…(笑)。

それ以外の生き方が許されない度合いは昔の方が大変だったでしょうな・・・ 18世紀のイギリスなんて現代とは比較にならないほどの圧力だったであろうと映画に描かれる以上の肩身の狭さだったのではないかと思います。

そんな中で裕福な階級に生まれたとはいえ、印税で生活できるほどの財を築き、湖水地方の美しい農村風景を守るために次々と農場をオークションで競り落とし、最後は国に寄付をしたというのは本当に素晴らしい生き方だと思いました。 あまりレビューでは触れられていませんが、父親の存在感が良かった。父親はちらりと触れてあるくらいですが、絵の道をあきらめて法律の道に進んだ、法律家でした。

偉大なる芸術家の背景にはそれを後押しした存在がある・・・ベアトリクスの場合、父親や出版社で最初に才能を見出してくれ、恋人でもあったノーマン、そして、その兄弟でベアトリクスの親友ミリー。ローラ・インガルス・ワイルダーの場合は、娘のローズ。

ただイギリス文学は、封建的な社会との葛藤を描いたものが多いです。独立独歩の精神と開拓者魂…パイオニアライフにおける自然との闘いが根底にあるアメリカ文学の精神性と比べ、自然というより社会との戦い。

それがとても日本の社会と似ていて、げんなりしてくるので、あまりイギリスの女流文学にはそそられず、あんまり詳しくありません。階級主義も鼻に着くんですよね・・・イギリス文学って。アメリカにも近いのはありますけど、WASP文化は。 

封建的な社会との戦いってめんどくさいというか、すごく疲れる・・・絶対に私とは価値観合わないなって感じで(笑)。でも、この映画は自分の愛したものに愛情を注ぎ続けて、経済的独立を勝ち取り、社会の押し付けてくる価値観ではなく、自分自身の価値観を生きた女性の話でしたから、これを機会に少しイギリス文学に触れてもいいかなぁと思ったりしました。

親に結婚を反対されて3か月待たされるのですが、その間に婚約者の男性・・・ベアトリスの才能が世に認められるのを最初に手助けしたノーマンが結婚を待たず亡くなってしまう下りでは泣けました。死に目にも会えず、恋人は去ってしまった…

それにしてもイギリスの湖水地方は本当に美しいですね。いつか行ってみたいです。

イギリス文学で描かれるカントリーライフは、厳しい自然に立ち向かう人間たちのつましくも、たくましい姿というよりは、家畜たちがのんびり草をはむ、牧歌的な農村風景を描く、という感じ…が、とても貴族的です。アメリカのパイオニアライフとは全く違う自然観。むしろ、日本寄りかなぁ…。

思ったのは、アメリカの画家、オキーフの人生との差・・・ジョージア・オキーフは、アメリカの画家ですが、手つかずの荒野を愛し、ニューメキシコに移住したのです。

同じ自然の景色でも箱庭的なイギリス…

実は、私は日本の田舎の情景を美しく描いた児童文学を探しているのですが…なかなか見つかりません。

図書館の司書に相談しても、『遠野物語』止まり…

海外の文学には、たくさんの自然の情景が織り込まれているのになぁ…それも好ましいものとして…日本の文学には日本の圧倒的な自然の素晴らしさを描いたものがそんなにないような気がするのは、単に私が日本文学に疎いからなのかもしれませんが…

日本では自然というものが圧倒的過ぎて、あまりにも生産量が豊かで、当たり前すぎて、その良さをわざわざ愛情込めて語ることがなかったのではなかろうか…と思ったりするのです。

特に山を歩いていると… アラスカなんかまで行かなくても、日本のいま、そこにある自然もとても美しく、素晴らしいもので、守られる価値があるものだと思うんだけどなぁ・・・

なんだか金にならない行為はやらないっていう精神がはびこっているようでときどき悲しくなる現状なんですよね・・・


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